福島郵便局事件 最高二小判決(昭和49年5月9日)

(分類)

 休職

(概要)

 労働協約所定の病気休暇の要件を充たしていないとして賃金カットがなされたことにつき損害賠償請求がなされた事例。

 原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の適法に確定する事実関係のもとにおいては、上告人が本件病気休暇承認申請につき診断書提出義務を尽したと評価することができる旨の原審の判断は正当であり、右判断に従えば、上告人が右休暇承認申請についてA副課長から提出を勧告された診断書を提出しなかったことが、本件賃金相当額の損害金の発生になんらの因果関係をも与えるものでないことは明らかである。したがって、原審の過失相殺の判断には、民法418条の解釈適用を誤った違法があり、その違法が原判決に影響を及ぼすものであるといわざるをえない。それ故論旨は理由があり、原判決中、賃金相当額の損害金の支払を求める請求に関する部分のうち上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして、原審の確定する事実関係(ただし、過失相殺に関する部分を除く。)によれば、本訴中、上告人の賃金相当額の支払を求める請求に関する部分は、結局において、すべてこれを認容すべきことは明らかである。したがって、被上告人の控訴は主文第2項の範囲で棄却を、第1審判決は同第3項の範囲で取消をそれぞれ免れず、更に被上告人は上告人に対し同第4項の金員を支払うべき義務がある。なお、上告人は、原判決中、慰藉料の支払を求める請求に関する部分については、上告の理由を記載した書面を提出していないから、その部分の上告を却下することとする。

(関係法令)

 民法418条

(判例集・解説)

 訟務月報20巻8号73頁  労働判例201号19頁  労働法律旬報865号58頁

 

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