杵島炭坑事件 福岡高裁判決(昭和35年9月28日)

(分類)

 解雇

(概要)

 レッドパージにより解雇された者が解雇無効確認を請求した事件の控訴審。(控訴棄却、労働者敗訴)   

 会社側は家屋明渡請求を反訴として提起。 (請求認容)

 被控訴人が昭和25年10月16日内容証明郵便をもって、同控訴人に対し、同月19日までに退職願を提出して退職することを勧告し、退職願を同日までに提出した場合は被控訴人主張のような金員(右734号事件の被控訴人の主張4の(1))を支給するが、同日までに退職しないときは、本通告をもって即時解雇の通告とし、この場合は、解雇予告手当と退職金とのみを支給し、特別加給金は支給しない。なお右の各金員は、A会社経理課において同月20日15時までに受け取るよう附記して解除条件付解雇の意思表示をなしたが、同控訴人は所定の期限内に退職願を提出せず、また金員を受領しなかったので、被控訴人は同月21日佐賀地方法務局武雄支局に解雇予告手当金9,887円40銭を弁済のため供託したところ、同控訴人は同年11月3日退職願を提出した上、被控訴人から退職金95,158円79銭と特別加給金5,932円44銭計101,091円23銭を経理課において受け取り、同月6日供託局から供託された予告手当金の還付を受けたことは、当事者間に争がない。この争のない事実及び成立に争のない右734号事件の甲第17号証から第19号証まで並びに原審証人Bの証言、当事者弁論の全趣旨を合わせ考えると、昭和25年11月初め頃控訴人所属の労働組合の斡旋により被控訴人は暗黙のうちに解雇の通告を撤回して、同月3日控訴人の退職の申込を承諾して、ここに合意による退職が成立し、前示退職金、特別加給金を受領し、異議をとどめずして、無条件に解雇予告手当の供託金を受領していることが認められるので、同控訴人との被控訴人との労働契約関係は消滅したことが明らかである。

(関係法令)

 労働基準法2章

(判例集・解説)

 労働民例集11巻5号992頁

 

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