在沖縄米軍基地事件 福岡高等裁判所那覇支部(昭和53年4月13日)

(分類)

 服務

(概要)

1.在日米軍基地の従業員らが、在日米軍の警告に従わず、幅約5センチメートル、長さ約80センチメートルの赤布に「全軍労」等と記載し、あるいは何らの文字も記載しないはち巻きを着用してなした労務の提供は、雇用契約上の債務の本旨に従つた履行の提供とはいえない。

 2.
(1) 労働契約の場合に、債務の本旨に従つた労務の提供でないということから、使用者が就労を拒否することが正当であるか否かは、瑕疵の内容、それが職務の遂行に及ぼす影響の程度・範囲、双方の受ける利害得失等の諸事情を具体的に検討して判断すべきである。

(2) 在日米軍基地の従業員らのハチマキ着用のうえでの就労申入れを、在日米軍側が拒否した場合に、右就労拒否は正当なものであり、債権者側の責に帰すべき事由による履行不能には該当しないとされた事例。

3.在日米軍基地内において、組合の指令によりハチマキを着用して就労することは、労働者の職務専念義務に違反し、ひいては職場秩序を乱すものであつて、債務の本旨に従つた履行とはいえず、右就労の拒否は使用者の責に帰すべき履行不能に当らず、またハチマキを着用して就労した者も労働契約に基づく労働基準法24条の労務の提供とはいえず、賃金請求権を有しない。

4.在日米軍基地の従業員らが、在日米軍の警告に従わず、幅約5センチメートル、長さ約80センチメートルの赤布に「全軍労」等と記載し、あるいは何らの文字も記載しないはち巻きを着用してなした労務の提供は、雇用契約上の債務の本旨に従つた履行の提供とはいえない。

5.
(1) 労働契約の場合に、債務の本旨に従つた労務の提供でないということから、使用者が就労を拒否することが正当であるか否かは、瑕疵の内容、それが職務の遂行に及ぼす影響の程度・範囲、双方の受ける利害得失等の諸事情を具体的に検討して判断すべきである。

(2) 在日米軍基地の従業員らのハチマキ着用のうえでの就労申入れを、在日米軍側が拒否した場合に、右就労拒否は正当なものであり、債権者側の責に帰すべき事由による履行不能には該当しないとされた事例。

(判例集・解説)

 労働関係民事裁判例集29巻2号253頁  訟務月報24巻4号842頁
 判例時報909号99頁  労働判例297号18頁  労働経済判例速報986号22頁

 

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