労災保険・雇用保険の新規適用手続き
会社を設立して従業員を1人でも雇用した場合には労災保険と雇用保険の適用が義務付けられます。
雇用保険に関する届出は、公共職業安定所へ提出します。労働保険に関する届出は、事業の内容(一元適用事業、二元適用事業)、保険関係の事務処理をその事業所で行うか、あるいは労働保険事務組合(事業主に代わって事務処理を行う組合)へ委託するかによって提出先が異なります。
次に該当する事業所は労働基準監督署へ提出してください。
・一元適用事業で、労災保険・雇用保険とも労働保険事務組合に事務を委託しないもの
・一元適用事業で、労災保険関係のみのもの
・二元適用事業で、労災保険関係のみのもの
次に該当する事業所は公共職業安定所へ提出してください。
・一元適用事業で、労災保険・雇用保険とも労働保険事務組合に事務を委託するもの
・一元適用事業で、労災保険関係のみ労働保険事務組合に委託するもの
・二元適用事業で、労災保険関係のみ労働保険事務組合に委託するもの
・一元適用事業で、雇用保険のみのもの
・二元適用事業で、雇用保険のみのもの
一元適用事業の場合
一元適用事業とは、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等を両保険一本として行う事業です。
労働基準監督署で提出した書類がハローワークで必要になりますので、まず管轄の労働基準監督署で労働保険の加入手続きと保険料の申告をした後、管轄のハローワークで雇用保険の加入手続きを行います。
(1) 労働基準監督署での手続き
① 「保険関係成立届」
保険関係が成立した日から10日以内に、事業所所在地の管轄労働基準監督署へ提出。
届書のなかの ⑧賃金総額の見込額 にて 保険関係が成立した日から保険年度末までの賃金総額(見込額)を記入してください。 保険年度末は3月31日であるが、3月において賃金締切日が20日であれば、保険関係成立日から3月20日までの月数をもとに算定することになります。 総額が 7,225,600円であったとすると、 1,000円未満切り捨てで 7,225,000円 (7225千円)
この用紙は3枚複写になっていて、事業主控に、その事業所の労働保険番号を付して返却されます。
② 「概算保険料申告書」
その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に、保険料率を乗じて得た額となります。)を概算保険料として申告・納付していただくこととなります
添付書類
特になし
(2) 公共職業安定所での手続き
労働保険の適用事業となってから、労働保険の「保険関係成立届」の事業主控えを添付して、公共職業安定所に提出します。
③ 「雇用保険適用事業所設置届」
添付書類
(法人の場合)
・登記簿謄本(3ヵ月以内に取得したもの)
(個人事業主の場合) 少なくとも以下のいずれかは必要
・開業開始届 税務署へ申告済みのもの
・営業許可証 営業登録関係の書類
他に、
・賃貸借契約書(賃貸である場合)
・公共料金の請求書等の事業経営立証書類
などが必要になることがあります。
④「雇用保険被保険者資格取得届」
添付書類
・出勤簿又はタイムカード
・労働者名簿 雇い入れ日が確認できるもの
・パート社員の方は雇用契約書又は雇入通知書
原則として、労働保険は企業単位ではなく事業所単位で適用するので、本社・支社・営業所等、場所が異なっていれば、すべて別個の事業所として手続きをすることになります。
支店など事業所が小規模で事務処理能力が無い場合や、人事・経理の指揮・監督上、独立した1事業所として認められない場合は、雇用保険適用事業所設置届を提出せずに、それぞれの事業所ごとに「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出し承認を受けることにより、当初から支店等の事業所が適用事業所に該当しないものとみなされて、本社などで一括して手続きを行うことができるようになります。
非該当の承認を受けるためには、人事労務関係等(保険料の申告・納付など)がすべて本社等で行われていなければなりません。
二元適用事業の場合
二元適用事業とは、その事業の実態からして、労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別する必要があるため、保険料の申告・納付等をそれぞれ別個に二元的に行う事業です。 一般に、農林漁業・建設業等が二元適用事業です。それ以外の事業が一元適用事業です。
労災保険に係る手続
(1) 「保険関係成立届」
保険関係が成立した日から10日以内に、所轄の労働基準監督署へ提出。
(2) 「概算保険料申告書」
保険関係が成立した日から50日以内に、所轄の労働基準監督署または所轄の都道府県労働局、
日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)のいずれかに提出。
雇用保険に係る手続
(1) 「保険関係成立届」
保険関係が成立した日から10日以内に所轄のハローワークへ提出。
(1)の手続を行った後、又は同時に次の(2)~(4)の手続を行います。
(2) 「概算保険料申告書」
保険関係が成立した日から50日以内に、所轄の都道府県労働局、日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)のいずれかに提出。
(3) 「雇用保険適用事業所設置届」
設置の日から10日以内に所轄のハローワークへ提出。
(4) 「雇用保険被保険者資格取得届」
資格取得の事実があった日の翌月10日までに所轄の公共職業安定所へ提出。
暫定任意適用事業
雇用保険法では、「この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする」(同法第5条第1項)と定めており、原則として事業の種類や規模のいかんを問わず、労働者を雇用する法人や個人事業をすべて雇用保険の適用事業(以下、「強制適用事業」という)とし、そこで働いている労働者を被保険者として取り扱うこととしています。
しかし、個人で農業や漁業を営んでいる小規模の事業所については、雇用保険への加入が強制ではなく、任意(「暫定任意適用事業」という)とされています(同法附則第3条参照)。
一定の要件とは、
(1) 農林水産業
(2) 個人経営
(3) 常時5人未満の労働者を使用する事業に限る
を満たす場合です。
この暫定任意適用事業の要件に該当する場合で、雇用保険への加入を希望するときには、事業所が使用する労働者(雇用保険の適用除外者を除く)の2分の1以上の同意を得て、任意加入の申請を行うことにより、労働大臣の認可を受ければ、加入することができます(徴収法附則第2条)。
ただし、暫定任意適用事業の要件に該当する事業の事業主が任意加入の認可を受けた場合、原則として、被保険者になることを希望しない者を含めて使用される労働者すべて(雇用保険の適用除外者を除く)が被保険者となりますので留意してください。
暫定任意適用事業の要件に該当する事業の事業主が加入を希望しない場合であっても、使用される労働者の2分の1以上の者が加入を希望するときには、事業主は加入の申請をしなければなりません(徴収法附則第2条)。
暫定任意適用事業の廃止の申請を行おうとする場合には、使用される労働者の4分の3以上の同意を必要とします(同則第4条)。
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