労働保険を本社に一括させる手続き

労働保険料の申告納付に関する事務を本社などでまとめて処理したいとき

  労働保険は企業単位ではなく、事業所(支店や営業所)ごとに加入するのが原則です。その為、同一の会社でも本社、支店、営業所など複数の事業所がある場合は、それぞれで加入しなければならず、また、その後の事務手続きもそれぞれの事業所で行うことになります。しかし、同じ会社でありながら個別に事務を行うのは効率的とはいえません。そこで、労働保険では、条件さえ満たせば、例えば本社で一括するなど、1つの事業所で保険事務を行うことが出来る制度を設けています。

 労働保険では一つの会社でも支店や営業所など個々に申告納付を行っていることがありますが、これら個々の事務処理を指定した一つの事業所(指定事業)にまとめて処理することができます。これを「継続事業の一括」と呼んでいます(徴収法第9条)。

 この、継続事業の一括を受けるためには、都道府県労働基準局長の承認が必要です。

継続事業の一括承認基準
(1) 本社等と支店、営業所などの出先事業場の事業主が同一であること。
(2) それぞれの事業が、継続事業で保険関係が成立していること。
(3) 労災保険に係る保険関係が成立している場合に、事業の種類が同じであること。
(4) 雇用保険に係る保険関係が成立している場合は、雇用保険率が同じであること。
 それぞれの事業の保険関係区分(労災・雇用保険の一元適用事業等の区分)が同一であること。
(5) 指定を受けることを希望する事業の労働保険事務を円滑に処理する能力を有していること。
(6) 指定を受けることを希望する事業場で、一括される事業における使用労働者数及び労働者に支払われる賃金の明細が把握されていること。

 

○継続事業の一括等 申請の手続き

 同一の事業主が2以上の事業(支店・営業所等)を行っているときに、それらを一つの保険関係として処理することを希望する場合に、「労働保険 継続事業一括認可・追加・取消申請書」を、一括の指定を希望する事業所の所在地を管轄する労働基準監督所へ提出して下さい。

【提出書類】

 「労働保険継続事業一括認可申請書」

【添付書類】

 一括される事業所の存在を証明するもの(謄本等)

 この結果、指定事業所以外の事業所の保険関係は、指定した労働保険番号に統一されて消滅することになる。

 その後の労働保険の年度更新や労災事故が起きたときの労働保険番号は、指定した労働保険番号で手続きする。

 「労働保険確定保険料申告書」を提出して、労働保険料の精算が必要。

 

 労災事故が起きたときの労災保険の保険給付の請求先は、指定した事業管轄の労働基準監督所ではなく、一括されたほうの事業所の労働基準監督所となります。

 

雇用保険を本社に一括させる手続き

 「雇用保険適用事業所非該当承認申請書」

 書類は所轄公共職業安定所速やかにへ提出してください。 

 

新規の申請 (支店や営業所等の新設の場合)

 継続事業の一括承認を受けようとする事業主は、「継続事業一括申請書」を、指定を受けることを希望する事業場(本社・本店等)の所在地を管轄する労働基準監督署に提出しなければなりません。

(1) 支店や営業所等を管轄する労働基準監督署に労働保険の「保険関係成立届」(様式第1号 第4条関係)を提出し、窓口で徴収法9条に基づく継続事業一括申請する予定である旨申し出ます。そのうち1部は、事業主控として、労働保険番号を付与して返されます。

(2) 次に(1)の内容を記入した「継続事業一括申請書」(3枚1組 様式第5号 第10条関係)を指定事業(本社等)を管轄する労働基準監督署に提出します。

 提出された継続事業一括申請書は、都道府県労働基準局長が、その内容を審査し申請に対する認可又は不認可の通知が事業主あてに行われます。3枚1組のうち1部は、事業主控として返されます。 なお、新規が2件以上の場合は、「継続事業一括申請書」の続紙(適用事務様式34)を使用することになります。

 

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