ニッセイテック事件 大阪地裁決定(昭和59年2月2日)
(分類)
雇止め
(概要)
契約期間を1年とする嘱託契約を2度更新されたところで会社営業部門が新会社として独立したことに伴い、労働条件等を従前のままとして右新会社に移籍した従業員が、3度目の契約更新に際し契約を出来高払の業務委託契約に変更する旨の申し入れを受けたが、これを拒否したため雇止めされたのに対し、地位保全等求めた仮処分申請の事例。 (却下)
以上の認定した事実によれば、そもそも嘱託契約は営業上の必要から期間を1年に限って臨機応変に雇用量の調整を図る意図で活用され、しかも、右契約は高令者を対象とするためにその年令上、健康上の観点から契約更新の可否を1年毎に検討する必要があったこと、申請人との嘱託契約は過去2回に亘って更新されたが、その際労働条件について個別に具体的な交渉がなされたうえで、毎回仕事の内容、賃金等重要な事項の変更を経て契約書作成、契約更新に至っていることが明らかである。 これらの諸般の事情に鑑みれば、期間の定めのある本件契約が更新により期間の定めのない契約に転化したとは到底認められないし、また、当然更新を期待するべき客観的状況も窺われず期間の定めのない契約と実質において異ならない状態になったとも認められないものである。したがって、申請人において昭和58年3月21日以降も契約が更新される旨期待していたとしても、それは巣なる主観的な期待にすぎないというべきである。
(関係法令)
労働基準法15条,2章 民法628条
(判例集・解説)
労経速報1179号3頁 労働判例426号31頁
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