医療法人財団東京厚生会(大森記念病院)事件 東京地方裁判所(平成9年11月18日)

(分類)

 降格

(概要)

1.民法628条に基づく損害賠償は、即時解除についてやむを得ない事由が存在し、かつ相手方に過失がある場合にのみ認められ、また損害の範囲は予告期間をおかずに即時に解除したことによって生じたものに限られるので、降格処分を不満として自ら退職した労働者の場合は、やむを得ない事由も存在せず、また即時解除ゆえに生じた損害も認められないとされた事例。

2.降格を含む人事権の行使は使用者の経営上の裁量判断に属し、社会通念上著しく妥当性を欠き権利の濫用に当たると認められないかぎり違法とはならないが、重要書類の紛失等を理由として病院で行われた婦長から平看護婦への2段階の降格は、業務上の必要性がなく、裁量判断を逸脱した違法なものであるとされた事例。

 (判例集・解説)

  労働経済判例速報1660号3頁  労働判例728号36頁

 

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