石川島興業事件 神戸地方裁判所姫路支部(平成7年7月31日)

(分類)

 安全衛生  損害賠償

(概要)

1.工場敷地内で作業中に停止したフォークリフトに、他の従業員が原動機付自転車を衝突させ負傷した事故について、帰宅時間帯に、出入口に通じる一般通路で、暗くて見通しの悪い状況にライトを点灯せずに作業をしていた等の事情から、フォークリフト側の免責の主張を認めなかった事例。

2.工場内の交通事故で負傷し、入院・手術を余儀なくされた労働者が、職場復帰2か月後に急性心不全で死亡した事故につき、右交通事故に関しては過失相殺により損害賠償は認められないものの、死亡については、健康を害した労働者に対し時間外労働等を禁じ、作業量・時間を制限する等の安全配慮義務違反が存在することを理由に、会社の損害賠償責任が認められた事例。

3.工場の敷地内で帰宅のため原付自転車で走行中、フォークリフトと接触して負傷した従業員の事故による損害につき、労災保険等より残損害額を超える給付を受けているとして、損害賠償請求権は現存しないとされた事例。

4.工場の敷地内での交通事故による入院から退院して約2週間で、事故以前と同様の作業をさせ、また、残業、土曜出勤、宿直勤務をさせるなど、被害者の健康状態との関係で加重の負担となる労働を継続させ、慢性的過労状態が急性心不全の誘因となり死亡させたとして、使用者の安全配慮義務違反が認められた事例。

5.安全配慮義務違反の債務不履行による損害賠償債務につき、期限の定めのない債務であり、履行の請求を受けた時から遅滞に陥るものとされた事例。

6.暗がりで、しかも降雨により見通しの悪い状況で、工場の敷地内を帰宅のために原付自転車により走行していた被害者が、ライトを点燈せずに走行していたフォークリフトの積荷に接触した事故につき、ライトを点燈するか、従業員の帰宅を待って作業を開始するかする義務を怠った過失が加害者には認められるが、被害者にも漫然進行した過失があるとして、40パーセントの過失相殺がされた事例。

(判例集・解説)

 労働判例688号59頁  判例タイムズ958号200頁

 

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