住友電気工業事件 大阪地裁判決(昭和56年8月25日)
(分類)
労働時間
(概要)
入門時刻から始業時刻まで、終業時刻から出門時までは労働時間であるとして、右時間相当分の賃金等の支払を求めた事例。 棄却
入門時刻に遅れた場合及び出門時刻に先立って出門した場合の考課及び一時金支給についての不利益な取扱いは、単に右入門時刻及び出門時刻を遵守しなかったことに対する不利益な取扱い以上のものであることを認めるに足りる証拠がないから、仮に右考課上の不利益が昇給及び昇格にまで影響を及ぼすとしても、それが賃金カット等労働を提供しなかったことそのものについての不利益な取扱を含むことを認めるに足りる証拠がなく、かつ、前述の如く、入門時刻から始業時刻までの10分間及び終業時刻から出門時刻までの五分間に、被告がその従業員を指揮監督下に置き、現実の労働の提供ないしはその時間においていつでも労働の提供をさせうべく準備させるなどの、右時間が実質的に労働時間であることを認めるに足りる証拠がない以上、右入門時刻及び出門時刻は、いわば集合時刻及び解散時刻を定めたのと異るところがなく、右時刻を遵守しなかったことに対して不利益な取扱いをすることは、いわば集合時刻または解散時刻を遵守しなかったことに対するものに過ぎず、労働を提供しなかったことに対する制裁とは別異のものというべきであるから、その不利益が前記の範囲にとどまる限度では、その遵守を確保するためのものとして許容され、右1の就業規則、協定等の効力を妨げるべき事由とはなりえない。
(関係法令)
労働基準法32条
(判例集・解説)
時報1027号127頁 労経速報1098号3頁 労働判例371号35頁
労働経済判例速報1118号17頁 ジュリスト768号 226頁
ジュリスト782号153頁 判例評論282号52頁
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