精神の障害と等級

主な傷病

  統合失調症  うつ病   双極性障害(躁うつ病)  パニック障害 
  アルツハイマー病  自閉症  てんかん  
  中毒精神病(アルコール中毒、一酸化炭素中毒等)
  器質精神病(頭部外傷後遺症、脳炎後遺症、脳膜炎後遺症、進行麻痺、老年精神病、
  脳血管系疾患、錐体外路性疾患等)
  認知症  知的障害(精神遅滞)  発達障害

 

○統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害

障害の程度

1級

統合失調症・・・高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の介護が必要なもの

気分(感情)障害・・・高度の気分、意欲行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介護が必要なもの

2級

統合失調症・・・残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの

気分(感情)障害・・・気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、またはひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

統合失調症・・・残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの

気分(感情)障害・・・気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり、または繰り返し、労働が制限を受けるもの

障害手当金

 障害手当金症状は3級と同程度で、違いは症状固定が条件です。精神疾患は、症状が変動(=増悪、軽快)し、症状が固定することはないと審査する側は判断します。したがって、精神疾患で障害手当金の支給を受けることはほぼ不可能だと考えられます。例外は、症状性を含む器質性精神障害だけです。

 傷病名に「うつ病」「統合失調症」と書かれなくても、診断書の記載内容から抑うつ状態があることなどが明らかな場合は、障害認定の対象となることがあります。

 統合失調症の方は、正確な診断を受けるまで複数の病院を転々としていることが多くあります。例えば、最初は神経衰弱症状とされ、違う病院に行くと強迫症状とされ、さらに別の病院では抑うつ状態と診断されたというような場合です。この場合、障害年金の申請では、統合失調症と確定診断を受けた病院が初診の病院ではなく、神経衰弱症状とされた病院が初診の医療機関となってきます。

 統合失調症は予後不良の場合もあり、障害の状態に該当すると認められるものが多い傾向にありますが、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また逆に、急激に増悪した状態を持続することもあります。そのため、統合失調症として障害年金の認定がされるには、発病時からの療養及び症状の経過が十分に考慮されます。

 統合失調症等とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、 併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。

 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めること。

 現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を充分確認したうえで、日常生活能力を判断します。

 診断書に統合失調症の陽性症状(幻聴や妄想、解体した会話、緊張病性の行動など)や陰性症状(意欲の欠如、感情の平板化、自閉・引きこもりなど)が具体的に明記され、その症状により日常生活能力がどれだけ低下しているかが判定の大きな部分を占めています。
 労働能力や対人関係など、通常の日常生活ができなくなった場合には、障害年金が認定されます。

WHO国際疾病分類第10版(ICD-10)による統合失調症の分類
 妄想型(ICD-10 F20.0)  
 破瓜型(ICD-10 F20.1)  
 緊張病型(ICD-10 F20.2)  
 鑑別不能型(ICD-10 F20.3)  
 統合失調症後抑うつ(ICD-10 F20.4)
 残遺型(ICD-10 F20.5)  
 単純型(ICD-10 F20.6)  
 その他の統合失調症(ICD-10 F20.8)
 特定不能の統合失調症(ICD-10 F20.9)

 心療内科や精神科で うつ病 であると診断される前に、不眠や頭痛などの症状があり、自宅近くの病院を受診していた場合には、この不眠などで受診した病院が初診の医療機関となり、初診日とされます。

 うつ病統合失調症などの症状を訴えて精神科以外の診療科を受診した場合、最初に受診した病院の医師が、「精神科を受診するように」と指示をしたり、精神科のある病院への紹介状を初診の医師が作成したことが条件です。そうでない場合、精神科以外の病院ではなく精神科を初めて受診した日初診日と認定されることが多い。

 適応障害不安障害パニック障害、パニック発作などを含む)や初診では「抑うつ状態」と診断され、その後に「うつ病」と診断された場合は、相当因果関係「あり」と考えてよいといえます。

 躁うつ病(双極性障害)は、躁 と うつ の周期を繰り返しますが、障害年金の制度では、 の症状についてよりも、うつ の状態が認定のポイントとなります。障害年金の認定基準が、食事、買物、清潔保持、仕事、社会活動といった日常生活能力の制限を評価することとなっているからです。自殺願望が強いことや、激しい意欲低下を訴える人も多く、障害年金において比較的受給者の多い病気です。

 障害年金の認定上、双極性障害のⅡ型については の症状は比較的軽いので、意外と評価されません。医師に診断書の作成を依頼するときは、この点を意識し、できれば「うつ状態」について現在ある症状を伝えたほうがよいでしょう。双極性障害Ⅰ型については、躁状態にあるときに、人間関係でトラブルを起こしたり、無計画に大きな買い物をしたり、ギャンブルなどで散財したり、大きな借金をしてしまうことがあります。したがって、双極性障害Ⅰ型については、うつ状態のみならず、躁状態も障害年金の認定上、評価対象になるでしょう。

 

 気分(感情)障害は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものであると指摘しています。その上で、現症のみによって認定する事は不十分で、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮するとしています。

 日常生活能力等の判定に当たっては、身体機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するように努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断するとされております。

 

 神経症は、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とはなりません。
なぜ神経症を(原則として)認定対象としないのか?
 患者自身が病気であることを自覚でき、それに対応した行動をとることができる。つまり自分で治そうと考えれば行動に移せること。また、症状が現れ、その症状を他人に訴えることで心理的な充足感を得られることがあるからです。神経症は、うつ病や統合失調症と比較すると障害の程度が軽いから日常生活への支障は少ないと考えられていることも理由のひとつです。神経症は、うつ病や統合失調症と比較すると障害の程度が軽いので、日常生活への支障は少ないと考えられていることと、主体的治癒可能性があるため、障害年金による生活保障を行うと、疾病利得により病気を自分で治す意欲を失わせることとなると考えられているためです。

 単独では原則として障害年金の対象とならない神経症とは、パニック障害強迫性障害、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)、身体表現性障害、適応障害、抑うつ状態、社会不安障害解離性障害、転換性障害、摂食障害、睡眠障害などです。ただし、医師の書いた診断書と実際の状態により、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱います。

 例えば、「パニック障害+うつ病」など精神病を併発した場合、傷病名は神経症であるものの、症状が重篤で精神病と同様の病態があるというような場合には、認定の対象となるのです。

 認定に当たっては、精神病の病態が ICD-10 による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断することとなっております(診断書に人格障害や神経症だけではなく、精神病の病態について傷病名とICD-10コードが記載されていること)。肢体の障害や精神障害等の併発などとともに、総合認定の判断材料として位置づけられるのです。神経症の病名でも症状が重く、日常生活や社会生活を送る上で支障があるならば認定される可能性があるのです。

 人格障害は、原則として認定の対象となりません。例外的に「境界性人格障害」については、その症状が精神病との中間的な性格を持つため、症状が重篤な場合は対象とされています。被害関係妄想・幻聴を生じるなどの精神病(統合失調症)の病態を示す場合の認定例があります。

 神経症は、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とはなりません。

なぜ神経症を(原則として)認定対象としないのか?
 患者自身が病気であることを自覚でき、それに対応した行動をとることができる。つまり自分で治そうと考えれば行動に移せること。また、症状が現れ、その症状を他人に訴えることで心理的な充足感を得られることがあるからです。神経症は、うつ病や統合失調症と比較すると障害の程度が軽いから日常生活への支障は少ないと考えられていることも理由のひとつです。神経症は、うつ病統合失調症と比較すると障害の程度が軽いので、日常生活への支障は少ないと考えられていることと、主体的治癒可能性があるため、障害年金による生活保障を行うと、疾病利得により病気を自分で治す意欲を失わせることとなると考えられているためです。

 単独で原則として障害年金の対象とならない神経症とは、パニック障害強迫性障害、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)、身体表現性障害、適応障害社会不安障害解離性障害、転換性障害、摂食障害、睡眠障害などです(IDC-10コード F40~F48)。ただし、医師の書いた診断書と実際の状態により、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱います。

 例えば、「パニック障害+うつ病」など精神病を併発した場合、傷病名は神経症であるものの、症状が重篤で精神病と同様の病態があるというような場合には、認定の対象となるのです。

 認定に当たっては、精神病の病態が ICD-10 による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断することとなっております(診断書に人格障害や神経症だけではなく、精神病の病態について傷病名とICD-10コードが記載されていること)。肢体の障害や精神障害等の併発などとともに、総合認定の判断材料として位置づけられるのです。神経症の病名でも症状が重く、日常生活や社会生活を送る上で支障があるならば認定される可能性があるのです。

 

 ○症状性を含む器質性精神障害

障害の程度

1級

・高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の介護が必要なもの

2級

・認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

・認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの

・認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの

障害手当金

・認知障害のため、労働が制限を受けるもの

 症状性を含む器質性精神障害とは、先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものをいいます。

 器質性精神障害とは脳神経の異常により起きる精神障害です。 症状性精神障害は、脳神経系以外の身体疾患により起きる精神障害です。

 器質性精神障害は、(アルコール依存によるもの、頭部外傷によるものなど) 原因が明確なものをいいます。アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とはなりません。

 違法な薬物(覚せい剤やシンナーなど)を故意に使用した場合の後遺症は障害年金の対象とはなりません。

 症状性を含む器質性精神障害の程度については、検査数値等が用いることができるわけではない為、診断書の日常生活能力の判定が大きな意味を持ちます。

 器質性精神障害とは、先天性のものでなく、高次脳機能障害アルツハイマー型認知症などの後発性のものとします。
 別傷病とされる可能性があるのは、例えば、うつ病で治療中の方が、脳出血脳梗塞などの脳卒中を発症し、高次脳機能障害の記憶障害が生じたようなケースです。

 器質性精神障害の後に、統合失調症気分(感情)障害てんかんまたは発達障害と診断された場合には、これら後発傷病の原因が器質性精神障害によるとされたとき、または、器質性精神障害の病態として後発傷病の病態を示しているとされたときには、「同一傷病」となります。
 ただし、器質性精神障害の後に他の精神障害が発症したケースであっても、診断書作成医が別傷病と判断し病名が併記された場合には、認定上も別傷病と認定される可能性があります。
 
つまり、その病態または前発傷病の初診から後発傷病の診断までの期間などにより、同一傷病か、別傷病かが認定されるものと考えられます。これらのケースは、診断書作成医に、その相当因果関係について十分な確認をする必要がある案件です。前発傷病と後発傷病が別傷病とされた場合には、それぞれの初診日を特定し、請求方法を検討することになります。

 症状性を含む器質性精神障害 の程度については、検査数値等が用いることができるわけではない為、診断書の日常生活能力の判定が大きな意味を持ちます。

 症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、病態を分けることができないことが多いので、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。

 脳の器質障害については、神経障害と精神障害を区別して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合し、全体像から総合的に判断して認定するのです。

 例えば、脳血管障害により高次脳機能障害と手足の麻痺が後遺症として残った場合は、それらの障害の全てを評価して障害認定されます。高次脳機能障害の症状に対して精神の診断書、手足の麻痺に対して肢体の診断書を準備すること。手足の麻痺を「肢体の障害」の認定基準により認定し、精神の障害と併合認定される可能性はあります。

 高次脳機能障害とは、病気や事故等の様々の原因で受けた脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となります。その障害の主な症状としては、失語、失行、失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。

 高次脳機能障害は、さまざまな傷病から引き起こされます。主に以下の原因によるものと考えられます。

頭部外傷

硬膜外血腫  硬膜下血腫  脳挫傷

脳血管障害

脳内出血  脳梗塞  くも膜下出血  もやもや病

感染症

脳炎  エイズ脳症

自己免疫疾患

全身性エリテマトーデス  神経ベーチット病

中毒疾患

アルコール中毒  一酸化炭素中毒

その他

多発性硬化症  脳腫瘍

 脳出血くも膜下出血脳梗塞などの脳血管疾患により、高次脳機能障害の症状が出るようになった場合は、脳血管疾患により初めて病院を受診した日が初診日となります。

 ヘルペス脳炎やウイルス脳炎、低酸素脳症が原因で脳が損傷し、高次脳機能障害に至ったようなケースは、初診日の特定が難しいとされます。

 高次脳機能障害による精神の障害は、代償機能やリハビリテーションにより改善する可能性があります。障害認定日1年6ヵ月を経過した日です。

 高次脳機能障害の「記憶力の低下」などの症状により、適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達及び対人関係、身辺の安全保持及び危機対応、社会性といった日常生活がどれだけ制限されているかで等級が決まります。

 高次脳機能障害の症状では、障害年金の認定上「記憶力の低下」が一つの大きな評価ポイントです。
 例えば、
 ・病院までの道順を忘れてしまう
 ・薬を都度用意してあげないと飲み忘れてしまう 
 ・財布をどこに置いたか忘れてしまい、家族が隠したと疑う  
 ・行き慣れた場所にも行けないことがある
 ・友人や知人の顔や名前が覚えられない
 ・ちょっとしたことでイライラし激怒する
 ・仕事でミスを繰り返し退職に至った
などの「記憶力の低下」です。脳の損傷した場所によって、症状は変わってきますので、記憶力の低下が評価のすべてとはいえませんが、重要な評価ポイントであることは確かです。

診断書について
 後遺症によって診断書が違います。また、複数の障害がある場合は2種類以上の診断書を書いてもらい、提出いただく場合もあります。
 ・肢体の麻痺:   肢体の障害用の診断書
 ・失語症:     言語障害用の診断書
 ・高次脳機能障害: 精神の障害用の診断書

 高次脳機能障害により失語障害が生じる場合は、失語障害を「音声又は言語機能の障害」の認定要領により認定し、精神の障害と併合認定が考えられます。「精神の障害用」の診断書のほかに「言語機能の障害用」の診断書の用意が必要になります。手足の麻痺等の肢体の障害がある場合は肢体の診断書(様式120号の3)を使用し、精神の障害と併合認定されます。

 脳血管障害により高次脳機能障害と手足の麻痺が後遺症として残った場合は、それらの障害の全てを評価して障害認定をします。

 交通事故等による頭部外傷により、四肢の麻療に加えて、「高次脳機能障害」など器質性精神障害が併存する場合は、それらの障害も認定の対象となり、併合認定により障害等級が繰り上がる可能性があります。

 癲癇発作については、好転寒剤の服用によって抑制される場合にあっては原則認定の対象にはなりません。

 

○てんかん

障害の程度

1級

・十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の介護が必要なもの

2級

・十分な治療にかかわらず、十分な治療にか十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

・十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの

障害手当金

(発作のタイプ)
  A: 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作    
  B: 意識障害の有無を問わず、転倒する発作    
  C: 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作    
  D: 意識障害はないが、随意運動が失われる発作

 障害年金の対象になるものは「難治性てんかん」と「てんかん性精神病」です。

・難治性てんかん
 
発作の抑制が薬物療法ではできないもの
 「難治性てんかん」 では、薬を飲んでも発作が生じてしまうことから労働や日常生活が制限されている人に対し、てんかん発作の頻度に応じて、1級~3級の障害年金が支給されます。

・てんかん性精神病
 
てんかん発作は発作間欠期(症状が出たり消えたりしている場合、症状が治まっている期間)においても、てんかんに起因する精神神経症状(被害妄想や抑うつ気分といった統合失調症や気分障害にみられる症状)や認知障害などが出現することがあります。発作は治まったが、その後被害妄想や抑うつ気分といった症状が出現するものであることから、被害妄想や抑うつ気分といった精神症状による労働や日常生活の制限の程度に応じて、1級~3級の障害年金が支給されます。

 てんかん発作について、抗てんかん薬の服用や外科的治療によって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象になりません

 てんかん発作の原因疾患がある場合は、現在は、てんかんが治まっていたとしても、てんかん発作で初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。

 てんかんは、発作時ばかりでなく発作と発作の間の時期(発作間欠期)にも、さまざまな精神症状を示す「てんかん性精神病」もあることから、てんかん性精神障害等とひとくくりに診断可能な場合には、同一傷病と認定される場合が多いようです。

 てんかんの認定に当たっては、その発作の重症度(意識障害の有無、生命の危険 性や社会生活での危険性の有無など)や発作頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した観点から認定します。

 てんかんは、発作と精神神経症状や認知障害などが相まって出現することに留意する必要があります。

 てんかんは、発作時ばかりでなく発作と発作の間の時期(発作間欠期)にも、さまざまな精神症状を示すてんかん性精神病もあることから、てんかん性精神障害等とひとくくりに診断可能な場合には、同一傷病と認定される場合が多いようです。

 前発初診から長期間が経過した後に後発の初診日がある場合には、診断書作成医により別傷病と診断される可能性が出てくると考えられます。この場合は原則として別傷病として請求することになります。

 てんかん とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。

 様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症状や認知障害を有する場合には、治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定します。

 癲癇発作については、好転寒剤の服用によって抑制される場合にあっては原則認定の対象にはなりません。

 

○知的障害(精神遅滞)

障害の程度

1級

・知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意志の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの

2級

・知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに一部援助が必要であって、かつ、会話による意志の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

3級

・知的障害があり、労働が著しい制限をうけるもの

障害手当金

 -

 知的障害(精神遅滞)とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいいます。

 知的障害(精神遅滞)は、医学的に、18歳までに発病するものとされているため、初診日要件がありません。知的障害をはじめとする先天性障害の場合は、例外として生まれた日をもって初診日とみなされます。初診日の証明は必要ありません なお、療育手帳の提示が必要です。地域の精神職業センターなどで職業の適性検査を受けていたということがあります。この場合は、精神職業センターなどで証明となる資料を整備いただくお望ましいです。

 20歳を過ぎて以降、精神遅滞という診断を受けた場合でも、他の疾病のように初診日から1年6ヵ月経過した後でなければ障害年金を請求できないという訳ではありません。知的障害は、先天性のものとされますので、1年6ヵ月を経過するまで待つ必要はなく、障害年金をすぐに請求することができるのです。

 知的障害が3級程度であった人が社会生活に適応できず、発達障害 の症状が顕著になった場合は「同一疾病」とし、事後重症請求の扱いとします(この場合の初診日も誕生日です)。

 知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害のある人については、障害の症状により「別疾病」として扱います。初めて診療を受けた日を初診日とします。

 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断します。

 (参考)

知的障害の程度

IQ

精神年齢

療育手帳の基準(参考)

最重度

20未満

 

A1

重度

20~34

3歳~6歳未満

A2

中等度

35~49

5歳~8歳未満

B1

軽度

50~69

7歳~10歳未満

B2

 障害等級に対応する日常生活上の支障の程度は、うつ病統合失調症とほぼ同じですが、会話による意志疎通能力が認定の判断ポイントと考えられます。

 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して決定される。

 知的障害の中で軽度の精神遅滞(IQ50~70)であっても、日常生活能力の低下等で社会生活をすることが困難なため、日常生活に多くの援助が必要な場合に障害年金の対象ということになる。

不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められると、障害等級2級の可能性が高い。

不適応行動とは、例えば以下のような行動をいう。
 ・自分の身体を傷つける行為
 ・他人や物に危害を及ぼす行為
 ・周囲の人に恐怖や強い不安を与える行為
   (迷惑行為や突発的な外出など)
 ・著しいパニックや興奮、こだわり等の不安定な行動
   (自分でコントロールできない行為で、頻発して日常生活に支障が生じるもの)

 一般に「労働能力がある」という場合は、健常者の方などと同一の労働環境下、同様の仕事をしている場合をいいます。働いているといっても、周りの方の援助や配慮があってなんとか働けている状態なら、障害年金の受給の可能性はあります。職場において、仕事が限定されている、残業(超過勤務)は免除されている、同僚の手を借りながら(同僚に助けてもらいながら)仕事をしている場合など、特別な配慮がなされている場合は「労働能力がある」とはいえないのです。障害者雇用促進法の保護の下や社会復帰施設、就労支援施設、小規模作業所での簡易な軽労働の場合も、「労働能力がある」とはいえません。

 知的障害統合失調症の間に因果関係がなければ、それぞれを別疾患として扱います。

 知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。精神の場合には別傷病であっても、病態を分けることができないことが多いので、併合ではなく総合認定で行われる可能性が高いものです。

「病歴・就労状況等申立書」にて
 精神遅滞の場合は先天性のものとなりますので、出生時から障害年金請求時までの日常生活や病状に関する申立てをすることになります。幼少期、小学生、中学生、20歳までというように転機ごとに区切って記入していきましょう。

 

○発達障害

障害の程度

1級

・発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、またかつ、著しい異常行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

2級

・発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、異常行動がみられるために、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

3級

・発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、また、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

障害手当金

 -

 発達障害とは、自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害性、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものをいいます。

 知的障害を伴わないアスペルガー症候群や広汎性発達障害については、医学的には先天性であるとされています。幼少期に両親が子供を医師に受診させていた場合には、その時が初診日となり、「20歳前による障害基礎年金」として請求することになります。幼少期から発達障害の特徴である症状が出ていたとしても、そのときには受診せず、20歳以降になって初めて医師の診察を受けたような場合は、その20歳以降に「医師の診察を受けた日」が初診日となります。発達障害で一律に初診日を20歳前にすることが、障害年金の受給権を阻害することにもなるためです(発達障害は知的障害とは扱いが異なります)。20歳前障害による障害基礎年金ではなく、通常の障害年金を請求することになります。  

 発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定します。

 知的障害が3級程度であった人が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合は「同一疾病」とし、事後重症請求の扱いとします。初診日は誕生日です。

 知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害のある人については、発達障害の症状により「別疾病」として扱います。初めて診療を受けた日を初診日とします。

 発達障害と診断された方が、うつ病などの他の精神疾患を併発した場合は、同一疾病と考えられ、発達障害で初めて受診した日初診日と扱われます。

 発達障害や知的障害である者に後から統合失調症が発症することは、極めて少ないとされていることから、原則「別疾病」とします。
 うつ病などの精神疾患診断されていた方が、後から発達障害だと分かった場合は、診断名の変更であるとみなされ、うつ病等の精神疾患で初めて医師の診察を受けた日が初診日と扱われます。
 知的障害である者が、後からうつ病となった場合には、先天性の障害とされ、初診日が「誕生日」と扱います。

 「同一疾病」と考えられるケースとしては、発達障害や知的障害の症状の中には、稀に統合失調症の様態を呈すものもあり、このような症状があると作成医が統合失調症の診断名を発達障害や知的障害の傷病名に付してくることがあります。したがって、このような場合は「同一疾病」とされることがあります。

知的障害や発達障害と認定対象とされる精神疾患を併発した場合の初診日の取り扱い

前発疾病

後発疾病

判定

統合失調症

発達障害

同一疾病として扱う。(診断名の変更となるが、新たな疾病が発症したものでない。) 統合失調症のほうが初診日

うつ病

発達障害

同一疾病として扱う。(診断名の変更となるが、新たな疾病が発症したものでない。) うつ病のほうが初診日

知的障害

統合失調症

別疾病として扱う。 初診日は別々

(知的障害が原因で統合失調症を発症したと診断された場合は、知的障害のほうが初診日とされる。)

知的障害

うつ病

同一疾病として扱う。 (知的障害が基因で発症したものとして) 誕生日が知的障害としての初診日

知的障害

神経症で精神病様態

基本的に別疾病として扱う。 初診日は別々 知的障害が原因で統合失調症を発症したと診断した場合は、誕生日が知的障害としての初診日とされる。

知的障害

その他精神疾患

原則別疾病として扱う。

軽度の知的障害(3級程度)

発達障害

同一疾病として扱う。 誕生日が知的障害としての初診日

3級不該当程度の知的障害

発達障害

別疾病として扱う。 初めて診療を受けた日を初診日(20歳過ぎということがある。)

発達障害

統合失調症

別疾病として扱う。 初診日は別々

(発達障害が原因で統合失調症を発症したと診断された場合は、発達障害のほうが初診日とされる。)

発達障害

うつ病

同一疾病として扱う。(発達障害が起因で発症したものとして) 発達障害のほうが初診日

発達障害

神経症で精神病様態

同一疾病として扱う。(発達障害が起因で発症したものとして) 発達障害のほうが初診日

発達障害

その他精神疾患

原則別疾病として扱う。

 たとえ知能指数が高くても、社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために、日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行います。

 一般に「労働能力がある」という場合は、健常者の方などと同一の労働環境下、同様の仕事をしている場合をいいます。働いているといっても、周りの方の援助や配慮があってなんとか働けている状態なら、障害年金の受給の可能性はあります。職場において、仕事が限定されている、残業(超過勤務)は免除されている、同僚の手を借りながら(同僚に助けてもらいながら)仕事をしている場合など、特別な配慮がなされている場合は「労働能力がある」とはいえないのです。障害者雇用促進法の保護の下や社会復帰施設、就労支援施設、小規模作業所での簡易な軽労働の場合も、「労働能力がある」とはいえません。

 精神の場合には別傷病であっても、病態を分けることができないことが多いので、併合ではなく総合認定で行われる可能性が高いものです

 これまで神経症に分類されていた傷病のうちパニック障害強迫性障害は、最近、内因性であるという学説が有力となり、それを根拠に強迫性障害について認定された例があります。

 

精神疾患が2つ以上ある場合

(1) 同一傷病とされる場合とは

 精神科領域の受診がある場合には、傷病名の変更があっても、社会的治癒と判断された場合を除き、最初の受診日を初診日とするのが原則と考えられます。例として、適応障害不安障害パニック障害、パニック発作などを含む)や初診では「抑うつ状態」と診断されその後に「うつ病」と診断された場合は、相当因果関係「あり」と考えてよいといえます。これらの場合は、診療期間中に診断名の変更があったと考えられるからです。

(2) 別傷病と認定される可能性がある場合とは

 以下のようなケースだと別傷病とされる可能性があると考えられます。
 てんかん統合失調症
 ・てんかんと気分(感情)障害
 ・てんかんと発達障害
 ・てんかんと知的障害

 器質性精神障害てんかん精神遅滞を除く精神病の場合は、一般的に、最初から精神科に受診される方は少なく、当初、自立神経失調症や不眠症などの内科疾患として受診され、治療を受けている場合が多い。正確な傷病名が確定した日ではなくても、申請傷病の症状として診療を受けていたと認められる場合は、その日が初診日となります。

 最初に受診した精神科以外の病院で精神疾患と診断されなくても、その病気の症状改善のために治療や薬の処方が行われた場合は、その病院を受診した日を初診日と認定されることがあるのです。

 体調が優れないので内科を受診し、その後精神科を受診するという場合、最初に精神科を受診していない場合でも、同一の傷病である場合は原則として、共に病院に初めて行った日が初診日となります。

 傷病が先天性で、20歳以降になって初めて診療を受けたような場合は、20歳以降のその診療を受けた日が初診日となります。

 C型肝炎の人がインターフェロンの治療をして、それが原因で脳の機能不全となり、精神疾患になった場合、C型肝炎を基礎疾患として初診日とします。

 受診を中断していた期間について、障害年金の審査では「病状が治癒した」とみなされてしまうことがあります。この場合、再び陽性症状が再燃し、病院を受診した日が初診日となります。「病歴・就労状況等申立書」で、通院を中断していた期間についても病気の陽性症状が治まっていただけで、病気そのものは最初の初診からずっと継続していたことをしっかり審査側に伝える必要があります。

 精神疾患であるというだけで、障害年金が受給できるわけではありません。「日常生活にどれだけ支障があるか」、「どれだけ他人の援助を必要としているか」という点が審査において重要視されます。

 診断書においては、日常生活能力の判定として次の項目あります。
 ・適切な食事
 ・身辺の清潔保持
 ・金銭管理
 ・通院と服薬
 ・対人関係
 ・安全保持、危機対応
 ・社会性

 一人でどれだけできるのか、どれだけ他人の援助を必要としているのかを正しく表した書類の作成が必須です。

 診療内科などの医師でも精神の診断書を記載することが可能であれば、その診断書提出で支給を認められることがあります。

 

○精神障害の認定等級の目安

 障害年金の診断書の記載項目にある「日常生活能力の程度」の結果と「日常生活能力の判定」の平均を出し、両者を以下のマトリックス表に照らし合わせて等級の目安を出します。

程度

判定

(5)

(4)

(3)

(2)

(1)

3.5以上

1級

1級

又は2級

     

3.0以上 3.5未満

1級

又は2級

2級

2級

   

2.5以上 3.0未満

 

2級

2級

又は3級

   

2.0以上 2.5未満

 

2級

2級

又は3級

3級

又は非該当

 

1.5以上 2.0未満

     

3級

又は非該当

 

1.5未満

 

     

非該当

非該当

 日常生活能力の程度(5段階評価)
(5) 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の介助が必要である
 ・家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない
 ・在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要   など
(4) 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である
 ・著しく適正を欠く行動が見受けられる
 ・自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする
 ・金銭管理ができない   など
(3) 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である
 ・習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする
 ・社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある
 ・金銭管理が困難   など
(2) 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である
 ・日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある
 ・社会行動や自発的な行動が適切に出来ないこともある
 ・金銭管理はおおむねできる  など
(1) 精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる

日常生活能力の判定(程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出)
 4 助言や指導をしてもできない
 3 助言や指導があればできる
 2 おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
 1 できる

 日常生活能力を見る場合、アパートなどでの一人暮らしでの平均的な日常生活能力が想定されているということです。

 肢体障害の場合における日常生活動作の自立の程度を問う場合は、例えば「目の前に食べ物があれば一人で箸とかスプーンを使って食べることができるかどうか」ということ。

 知的障害者の場合の障害程度の評価は、日常生活動作のレベルで自立できているかどうかではなく、判断力や計画性が問われているのです。

「援助」がなければできない場合は、「ひとりでできる」という評価にはなりません。

(適用の対象となる主な傷病)
 ・精神障害
   統合失調症  うつ病  双極性障害  脳動脈硬化症に伴う精神病  
        アルコール精神病
 ・発達障害
   アスペルガ―症候群  自閉症  高機能自閉症  自閉症スペクトラム
   PDD(広汎性発達障害)  ADHD(注意欠陥多動性障害)  
        多動性障害  LD(学習障害)
 ・知的障害

全国統一の「等級判定のガイドライン」 は こちら

 従来は神経症とされていた「抑うつ神経症」がICD10コードF34の持続性気分(感情)障害の中の「気分変調症(ISD-10コードF34.1)」と病名が変えられています。

 神経症(F40~48)、人格障害(F60~69)のように原則として対象とならない疾病があります。

 人格障害は、原則として認定の対象となりません。例外的「境界性人格障害」については、その症状が精神病との中間的な性格を持つため、症状が重篤な場合は対象とされています。被害関係妄想・幻聴を生じるなどの精神病(統合失調症)の病態を示す場合の認定例があります。

 

精神及び行動の障害のICDコード

症状性を含む器質性精神障害 (F00-F09)
 F00 アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症
 F01  血管性認知症
  例 多発梗塞性認知症  血管性認知症
 F02 他に分類されるその他の疾患の認知症
  例 パーキンソン病の認知症
 F03 詳細不明の認知症
 F04 器質性健忘症候群、アルコールその他の精神作用物質によらないもの
 F05 せん妄、アルコールその他の精神作用物質によらないもの
 F06 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害
  例 器質性気分(感情)障害  器質性不安障害  器質性解離性障害
 F07 脳の疾患、損傷及び機能不全による人格及び行動の障害
  例 器質性人格障害
 F09 詳細不明の器質性又は症状性精神障害

精神作用物質使用による精神及び行動の障害 (F10-F19)
 F10 アルコール使用<飲酒>による精神及び行動の障害
 F11 アヘン類使用による精神及び行動の障害
 F12 大麻類使用による精神及び行動の障害
 F13 鎮静薬又は催眠薬使用による精神及び行動の障害
 F14 コカイン使用による精神及び行動の障害
 F15 カフェインを含むその他の精神刺激薬使用による精神及び行動の障害
 F16 幻覚薬使用による精神及び行動の障害
 F17 タバコ使用(喫煙)による精神及び行動の障害
 F18 揮発性溶剤使用による精神及び行動の障害
 F19 多剤使用及びその他の精神作用物質使用による精神及び行動の障害

統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害 (F20-F29)
 F20 統合失調症
 F21 統合失調症型障害
 F22 持続性妄想性障害
  例 妄想性障害
 F23 急性一過性精神病性障害
 F24 感応性妄想性障害
 F25 統合失調感情障害
  例 躁病型  うつ病型
 F28 その他の非器質性精神病性障害
 F29 詳細不明の非器質性精神病

気分(感情)障害 (F30-F39)
 F30 躁病エピソード
 F31 双極性感情障害(躁うつ病)
 F32 うつ病エピソード
 F33 反復性うつ病性障害
 F34 持続性気分(感情)障害
 F38 その他の気分(感情)障害
 F39 詳細不明の気分(感情)障害

神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害 (F40-F48)
 F40 恐怖症性不安障害
 F41 その他の不安障害
  例 恐慌性(パニック)障害
 F42 強迫性障害(強迫神経症)
 F43 重度ストレスへの反応及び適応障害
  例 適応障害
 F44 解離性(転換性)障害
  例 解離性運動障害
 F45 身体表現性障害
 F48 その他の神経症性障害
  例 神経衰弱  神経症性障害

生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群 (F50-F59)
 F50 摂食障害
 F51 非器質性睡眠障害
 F52 性機能不全,器質性障害又は疾病によらないもの
  例 性欲欠如又は性欲喪失
 F53 産じょく(褥)に関連した精神及び行動の障害,他に分類されないもの
 F54 他に分類される障害又は疾病に関連する心理的又は行動的要因
 F55 依存を生じない物質の乱用
 F59 生理的障害及び身体的要因に関連した詳細不明の行動症候群

成人の人格及び行動の障害 (F60-F69)
 F60  特定の人格障害
  例 妄想性人格障害  統合失調症質性人格障害  情緒不安定性人格障害
   依存性人格障害
 F61 混合性及びその他の人格障害
 F62 持続的人格変化、脳損傷及び脳疾患によらないもの
  例 破局体験後の持続的人格変化
 F63 習慣及び衝動の障害
  例 病的賭博  病的窃盗
 F64 性同一性障害
 F65 性嗜好の障害
  例 フェティシズム  露出症  サドマゾヒズム
 F66 性発達及び方向づけに関連する心理及び行動の障害
 F68 その他の成人の人格及び行動の障害
 F69 詳細不明の成人の人格及び行動の障害

知的障害(精神遅滞)(F70-F79)
 F70 軽度知的障害(精神遅滞)
 F71 中等度知的障害(精神遅滞)
 F72 重度知的障害(精神遅滞)
 F73 最重度知的障害(精神遅滞)
 F78 その他の知的障害(精神遅滞)
 F79 詳細不明の知的障害(精神遅滞)

心理的発達の障害 (F80-F89)
 F80 会話及び言語の特異的発達障害
 F81 学習能力の特異的発達障害
 F82 運動機能の特異的発達障害
 F83 混合性特異的発達障害
 F84 広汎性発達障害
  例 自閉症  アスペルガー症候群 
 F88 その他の心理的発達障害
 F89 詳細不明の心理的発達障害

小児(児童)期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 (F90-F98)
 F90 多動性障害
 F91 行為障害
  例 反抗挑戦性障害
 F92 行為及び情緒の混合性障害
  例 抑うつ性行為障害
 F93 小児(児童)期に特異的に発症する情緒障害
 F94 小児(児童)期及び青年期に特異的に発症する社会的機能の障害
 F95 チック障害
 F98 小児(児童)期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害

詳細不明の精神障害 (F99)
 F99 精神障害、詳細不明

 

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