ヤコブ病
ヤコブ病とは、異常な「プリオン」というタンパクの増殖によって引き起こされる病気です。
1920年代の初めに、ドイツの神経病理学者であるクロイツフェルトとヤコブがそれぞれ研究報告を発表したところから、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と呼ばれるようになりました。
一般には100万人に1人の割合で何らかの原因で発症する病気と言われています。発症頻度に男女差はなく、50歳から75歳の年齢群 でもっとも発症頻度が高いと言われています。
ヤコブ病は、一旦発症すると、現代の医学では治療法はなく短期のうちに確実に死に至る恐ろしい病です。
症状
ヤコブ病の典型的な症状は以下のとおりです。
それまでごく普通の生活を送っていた人が、めまいや立ち眩みを感じたり、あるいはうまく歩けないなどの症状を感じるところから始まります。これが数ヶ月のごく短期間のうちに、目が見えにくくなり、音が聞こえなくなり、言葉がうまく話せなくなり、字が書けなくなるなど、どんどん症状が進行し、一気に痴呆状態になってしまいます。多くの人は一年も経たないうちに「無動性無言」という寝たきりの状態に陥ってしまいます。 このような症状経過は老人性痴呆などの病気では見られません。
そして、この無動性無言という状態のまま、死に至ってしまうのです。
発症メカニズム
ヤコブ病の発症メカニズムについては、まだ未解明の部分が多く、現在も多くの学者が研究しています。
実は、正常なプリオンタンパク自体は、誰の体内にも存在するものです。正常なプリオンタンパクがどのような働きをしているのかは、まだはっきりとは解明されていませんが、少なくとも、害はありません。
しかし、何らかの原因で異常なプリオンタンパクが体内に存在するようになると、その異常なプリオンタンパクは、体内の正常なプリオンタンパクを次々と異常化させます。さらに異常プリオンタンパクは、次第に体内に蓄積され、最終的には、多くが脳の神経細胞にたまってしまうのです。
このようにして、場合によっては10年以上の長い潜伏期間を経て、神経細胞にたまった異常プリオンタンパクが神経細胞を冒して発症するのです。
ヤコブ病で亡くなった患者を解剖して、脳を顕微鏡で観察すると、たくさんの穴があいていてまるでスポンジのようになっています。
発症の原因
ヤコブ病発症の原因、つまり体内に異常プリオンタンパクが発生する理由は、主に次の3つです。
第1に、プリオンタンパクを作る遺伝子に異常がある場合です。遺伝子異常により、異常プリオンタンパクが作られ、長い時間をかけて次第に体内に異常プリオンがたまっていきます。
第2に、異常プリオンタンパクを大量に摂取することで発症原因となってしまうこともあります。
第3に、医療行為によって異常プリオンタンパクが体内に入ってしまう場合です。
これまでに、例えば、
・ヤコブ病患者に使用した深部脳波電極針を次に使用された人がヤコブ病になってしまった例
・ヤコブ病患者の死体から採取した角膜を移植されてヤコブ病を発症した例
・死体の脳下垂体から抽出したヒト成長ホルモンの投与を受けてヤコブ病を発症した例
などが報告されています。
そして、今回問題となっている
・ヒト死体硬膜製品を脳外科等の手術の際に移植されてヤコブ病になってしまった例
も同じです。
感染の危険性
ヤコブ病については、特別な医療行為による感染、遺伝子異常による感染などが報告されています。夫婦間や家族間の感染などの報告はありません。当然、空気感染などありません。
通常の生活でヤコブ病に感染することはないのです。
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