慢性腎盂腎炎
腎盂や腎臓そのもの(腎実質)に感染を起こす腎盂腎炎を繰り返すと、慢性腎盂腎炎になります。慢性腎盂腎炎では腎機能障害が徐々に進行し、腎不全に陥ることがあります。
原因
尿路に感染を起こしている細菌が何らかの原因で繰り返し腎盂に達するもので、尿流障害が背景にあります。つまり、腎盂・尿管の形態異常、尿路結石、腎盂・尿管の悪性腫瘍、膀胱尿管逆流現象、神経因性膀胱、前立腺肥大症などが原因として考えられます。
急性腎盂腎炎で感染する細菌は大腸菌が多いのですが、慢性腎盂腎炎ではその他の細菌の場合も少なくありません。また、1種類の細菌だけではなく2種類以上の細菌に同時に感染している混合感染のこともあります。必ずしも細菌が証明できない場合もあります。
症状の現れ方
通常ははっきりとした症状はありませんが、急性増悪を起こすと寒気や震えを伴った高熱や、腰や背中の痛み、尿のにごりや頻尿などの症状が認められます。慢性期には、微熱、全身倦怠感、食欲不振、腰痛、体重減少などの症状は軽微であることが多く、病気が進行すると高血圧になったり、腎不全に陥ったりします。片側性のものでは、病気が進行しないと症状としてはとらえられないことも多くあります。
治療の方法
できるだけ水分を多くとるようにします。薬は抗生剤を投与しますが、再発・再燃を繰り返す場合には、細菌尿が陰性化し、尿所見や臨床症状が改善したあとも、1カ月以上の継続投与が必要です。慢性化の誘因となっている尿通過障害があれば、尿の通りをよくする手術を検討します。
尿路の基礎疾患が除去できなければ、急性増悪を繰り返し、腎障害が進行します。腎不全が進行した場合は、透析療法が必要になります。
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