もやもや病

 もやもや病とは脳血管撮影所見に基づいた診断名です。厚生労働省特定疾患ウィリス動脈輪閉塞症調査研究班の診断基準では「脳血管撮影上頭蓋内内頸動脈末端部から前及び中大脳動脈の起始部にかけ狭窄ないし閉塞を認めその近傍に異常血管網が動脈相で認められるもの」とされており、この脳の底の異常血管網がいわゆるもやもや血管です。

 もやもや病は、日本人に多発していますが、その原因は未だ不明です。 日本における発生頻度は10万人に0.1人の割合とされています。また、最近ではその数が増えて0.35人といわれています。
 症状の出現は頭蓋内出血によるものと、脳梗塞を含めた脳虚血(脳に血が足らない状態)によるものに分けられます。症状として出現する頻度の高いものは、運動障害、感覚障害、頭痛、けいれん発作、意識障害などです。小児では梗塞型、成人では出血型が多く、年齢によって症状に差が見られる点がもやもや病の特徴です。小児では、泣いたり、ラーメンやうどんなどの熱いものをフーフーして食べたり、笛を吹いたり、大声で歌ったり、激しい運動で過呼吸したりすると、症状が出現することが特徴です。

 原因はわかりませんが、両側の内頚動脈という大脳を養っている血管の先端が緩徐に閉塞し、その進行に伴って脳底部にもやもや血管が側副路(バイパス路)として発達してきます。またさらに進むと、後頭葉を養っている後大脳動脈に閉塞が起こって視力・視野の障害が生じます。

 中枢神経系には大脳、小脳及び脳幹があります。もやもや病は大脳が障害されます。右の大脳が障害されると、左側の麻痺やしびれが生じます。左の大脳が障害されると、右側の麻痺やしびれが生じ、言語障害(失語という症状が出てきます。これは、人の話すことが理解できない、喋れても適切な単語が出ない)が生ずることもあります。また、計算ができなくなったり、左右がわからなくなったり、どの指が何指であるかわからなくなったりします。
 右の脳と左の脳の向かい合っている部分が障害されると、足の麻痺や尿失禁が生じます。後頭葉が障害されると視力障害や視野障害が生じます。
 以上に述べたような症状が、ほんの一過性にあるいは永続的に出現することで、もやもや病が疑われます。

 人は呼吸をすることによって、空気中の酸素を摂り入れ、体内でできた二酸化炭素を排出しています。二酸化炭素は老廃物ですが、体内で脳血流に影響を及ぼす重要な役割を担っています。体内の二酸化炭素が増えると脳血流量は増加し、逆に、二酸化炭素が減ると脳血流量は減少することがわかっています。深呼吸をすることによって体内の二酸化炭素がどんどん排泄されるため、その量はどんどん減少します。
 つまり、深呼吸や過呼吸をすることによって脳血流量はどんどん減少することがわかります。これは脳血管に異常がなくても起こっています。

 過呼吸が長く続く場合には脳血流量が50を下回った状態が持続しますので、脳梗塞に陥る場合があります。すなわち、一過性か永続するものかは、この脳血流量の50を下回った部分の深さと長さの面積に比例すると言うことになります。
 もやもや病で、初めは一過性脳虚血発作であったものが後に脳梗塞になったり、逆も起こったりするのはこのためです。

 

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