慢性肝炎

B型慢性肝炎

 B型肝炎ウイルス(HBV)の感染が持続することによって起こる病気です。HBVは血液感染および性交渉などにより感染しますが、持続感染者(キャリア)のほとんどは生後早期に感染したケースです。
 主な感染ルートとしては、HBVキャリアの母親から生まれた子どもへの感染(母子感染または垂直感染)があります。ただし、日本では1986年に抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)製剤とB型肝炎ワクチンを用いた母子感染防止事業がスタートしており、現在23歳以下の年代におけるHBVキャリア率は極めて低くなっています。それでもなお、それ以上の年代の人を主として120万〜130万人のHBVキャリアが存在しています。
 一方、成長後に感染した場合(水平感染)には急性肝炎を発症しますが、これまで日本での感染は一過性であり慢性化することはほとんどありませんでした。しかし近年、欧米に多いウイルス遺伝子型(ジェノタイプA)による急性肝炎が増加しており、水平感染後に感染が長引き慢性化する症例も増えてきています。
 感染したHBVは肝臓内で増殖しますが、基本的にはウイルス自身が肝細胞を傷害することはありません。したがって、免疫能が未発達な乳幼児期には、肝炎を起こさずに無症候性キャリアとして経過します(免疫寛容期)。
 その後、思春期以降になるとウイルスを体内から排除しようとする免疫反応が起こり、肝炎を発症します。多くの場合は肝炎の症状も軽く、肝障害はあまり進行しませんが、HBVキャリアの約10〜20%が慢性肝炎(6カ月以上肝炎が持続する状態)に移行し、さらに慢性肝炎が長期間持続すると肝硬変、肝臓がんへと進行します。

原因
 HBVはキャリアの肝臓で増殖し血液中を循環しています。リンパ球を主体とする免疫担当細胞がHBVを異物として認識し、肝臓から排除するために活性化すると、HBVだけでなく、その増殖部位である肝細胞も同時に破壊します。キャリアではHBVを完全に排除することが困難なため、長期間にわたり肝臓が傷害される結果、慢性肝炎となります。

症状の現れ方
 一般に肝炎の症状としては食欲低下や悪心などの消化器症状、倦怠感、黄疸が主なものですが、急性肝炎と異なり、慢性肝炎では徐々に肝臓が破壊されていくため自覚症状が出ないことがほとんどです。ただし、キャリアのなかでも肝炎が急速に進行(急性増悪、劇症化)することがあり、このような場合には自覚症状が出現しますので注意が必要です。
 また、進行した肝硬変になると腹水が貯留して腹部膨満感が出現したり、黄疸が認められることがあります。また、アンモニアが高値になると肝性脳症が出現します。

治療の方法
 慢性肝炎の治療としては、抗ウイルス療法、肝庇護療法、免疫賦活療法があります。
 B型慢性肝炎は、肝細胞で増殖するHBVが免疫細胞の標的となって発症するため、標的となるHBVを抑え込むことが重要であり、それを目的とした治療が抗ウイルス療法です。
 一方、免疫細胞による肝細胞への攻撃を緩和し、肝細胞壊死を防ぐことを目的として、肝庇護療法が行われます。
 その他、免疫賦活療法は、宿主のHBVに対する免疫応答を賦活化(活力を与えること)して、HBe抗原のセロコンバージョンとその後のウイルス増殖抑制を目標とする治療です。

 

C型慢性肝炎

 C型肝炎ウイルス(HCV)に感染し、肝機能の異常が持続的に続く病気です。通常、6カ月以上にわたって肝炎が続く場合を慢性肝炎といいます。
 ウイルスに感染後、急性肝炎を発症しても、ほとんど症状は現れません。しかし、無治療だと約7割でウイルスは排除されず持続感染に移行します。この状態になると自然治癒するのは極めてまれで、大部分の人が慢性肝炎になります。
 C型慢性肝炎ではHCV抗体が陽性を示します。日本国内でHCV抗体が陽性の人は、150〜200万人いると推測されています。年齢は40代以上に多く、輸血などの医療行為による感染が背景にあることが知られています。
 C型慢性肝炎は、放置すると肝硬変や肝癌に移行する危険のある病気です。しかしその進行はゆるやかで、C型慢性肝炎だけでは命にかかわることはありませんが、放っておくと10〜30年かけて確実に肝硬変、肝がんへと進行していきます。現在、肝がんの約8割でHCV抗体が陽性です。

原因
 C型慢性肝炎の原因は、C型肝炎ウイルスによる感染です。

症状の現れ方
 C型慢性肝炎の場合、自覚症状がほとんどないのが特徴です。
 C型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎が起こり、時に全身倦怠感に引き続き食欲不振、悪心、嘔吐(おうと)などの症状が出現することがありますが、症状が出ることは少なく、そのまま慢性化する人がほとんどです。
 しかし、進行し肝硬変になると手掌紅斑(しゅしょうこうはん)、クモ状血管腫、女性化乳房などが認められることがあり、非代償期(ひだいしょうき 肝硬変)には、浮腫、腹水、黄疸(おうだん)、食道・胃静脈瘤、肝性脳症(意識障害)などの合併症が現れることがあります。

治療の方法
 C型慢性肝炎の治療は、肝臓がんを予防することが目的となります。治療方法は、肝細胞の線維化を遅らせて病気の進展を抑える治療(肝庇護療法)と、ウイルスの排除を目指す積極的治療(根治療法)の大きく2つに分けられます。

 肝庇護療法は、ALT値を低下させ、肝炎を鎮静化させる目的で行われ、いろいろな肝庇護薬がありますが、主なものはウルソデオキシコール酸(ウルソ)とグリチルリチン製剤です。前者は内服薬であり、副作用が少ないことから使用頻度の高い薬剤ですが、軽度の下痢症状などが出現することがあります。後者は注射薬(強力ネオミノファーゲンC)として多く用いられており、ALT値を低下させる作用が強いことが知られていますが、主な副作用は高血圧と低カリウム血症です。

 根治療法はウイルスを完全に駆除することを目指しますが、ウイルスの型でその効果に違いがあることがある程度判明していて、日本の患者さんの約7割は効きにくいウイルス(1型)といわれています。根治療法で現在最も強力な治療は、ペグインターフェロン(ペグIFN)とリバビリンの併用療法で、効きにくい1型でも半分以上の患者さんが治るようになりました。

 

 手術時の輸血により肝炎を併発したものは相当因果関係「あり」として、手術時の輸血をした日を初診日とします。

 肝炎肝硬変は相当因果関係「あり」とされております。

 慢性肝炎は、原則として認定の対象としません。検査項目の異常の数などにより障害の状態に相当する場合は認定の対象となります。GOT(AST)、GPT(ALT)が長時間にわたって100以上の値を示し、かつ、軽労働以外の労働が出来ないものは3級該当となります。

 C型肝炎の人がインターフェロンの治療をして、それが原因で脳の機能不全となり精神疾患になった場合、C型肝炎を基礎疾患として初診日とします。

 慢性肝炎は、原則認定対象外となりますが、GOT(AST)、GPT(ALT)が長時間にわたって100以上の値を示し、かつ、軽労働以外の労働が出来ないものは3級該当となります。

 

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