膝関節脱臼

 膝関節の相対する大腿骨顆部関節面と脛骨顆部関節面の位置関係が全く失われたものを、膝関節脱臼といいます。
 非常に大きな外力、たとえば交通外傷や、最近はスポーツ外傷でもみられます。膝関節の安定性は前後内外、その他の多くの靭帯・軟部組織により支えられているので、脱臼の際にはこれらは断裂し、重度復合靭帯損傷になります。したがって治療の大変難しい外傷です。
 さらに重要な問題として、脱臼に合併して膝の後方の重要な血管・神経を損傷することもまれではなく、その場合、緊急手術が必要になります。

原因
 膝関節脱臼の分類は脛骨近位端が大腿骨遠位端に対してどちらの方向に脱臼するかによって、前方脱臼、後方脱臼、内方脱臼、外方脱臼、回旋脱臼に分かれます。これらは膝への外力のかかり方、すなわち受傷機転(原因)によって決まり、損傷される靭帯も決まります。
 たとえば膝関節後方脱臼は、膝関節を90度前後の屈曲位で脛骨近位端に前方から強い外力を受けた膝に発生し、後十字靭帯・後方関節包および内外側副靭帯が断裂します。

治療の方法
 膝の脱臼に対する治療は、まず手で整復を行います。脱臼肢位と動揺性から損傷された靭帯が確定されます。手による整復が不能の場合には、緊急に、手術によって整復します。
 手による整復後はキプスシーネ固定で整復位を保ち、そのあとで損傷された靭帯の再建術を行います。しかし、靭帯損傷のほかに膝関節部での骨折の合併や、膝蓋腱などの軟部組織の損傷、半月板損傷なども合併していることも多く、すべての靭帯は再建しないこともあります。状況によっては、一部の靭帯は歩行可能になってから二次的に再建術が行われることもあります。
 治療成績、予後は、合併損傷がなく靭帯損傷だけの場合は比較的良好で、正座や和式トイレ以外は日常生活に支障はないこともあります。合併損傷が多ければ、関節拘縮や外傷性変形性関節症による疼痛、あるいは靭帯不全による動揺性などが残ります。

 

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