公的扶助の仕組み

 公的扶助制度は社会保障制度の一つとして、社会保険制度と並び国民・住民生活を保障するものである。

 社会保険制度は、生活上の困難がもらたす一定の事由(保険事故)に対して、保険技術を用い、被保険者があらかじめ保険料を拠出し、保険者が給付を行う公的制度であり,防貧的機能を有している。

 それに対して、公的扶助制度は、国民の健康と生活を最終的に保障する制度として位置づけられる。

 その特徴として、

・貧困・低所得者を対象としていること

・最低生活の保障を行うこと

・公的責任で行うこと

・資力調査あるいは所得調査をともなうこと

・租税を財源としていること

・救貧的機能を有していること

などが挙げられる。

 

 公的扶助制度は、大きくは資力調査を要件とする貧困者対策と所得調査(制限)を要件とする低所得者対策の2つがある。

 貧困者対策には、生存権を実現する生活保護制度がある。生活に困窮している国民すべてに対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度であり,その上で積極的にそれらの人々の社会的自立を促進する相談援助・支援活動を行うよう定められている。

 低所得者対策には、公的扶助と社会保険の中間的性格を持つ社会手当制度、民生委員の相談援助活動を通して資金の貸付を行う生活福祉資金貸付制度、低所得層を中心に住宅を提供する公営住宅制度等がある。