低所得対策

 低所得対策には、主として社会手当制度、公営住宅制度、生活福祉資金貸付制度がある。

(1) 社会手当制度

 社会手当は社会保険と公的扶助(生活保護制度)の中間的性格を持つ、無拠出の(すなわち保険料などを納めなくても受け取ることができる)現金給付を指している。それは、所得制限のある選別的手当と所得制限のない普遍的手当に分かれ、わが国の支給する社会手当は、恩給や戦争犠牲者援護などを除き社会手当である。

わが国の社会手当としては、児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、特別障害者手当、障害児福祉手当などがある。

 (2) 公営住宅制度

 低所得者を対象に住宅を提供することを目的としており、母子世帯、高齢者、心身障害者などを対象とした住宅や低家賃住宅などがある。

 1996(平成8)年の公営住宅法改正により、所得制限別の第1種、第2種の区分を撤廃、事業主体の民間住宅の買い取り借り上げが可能となったこと、社会福祉法人が公営住宅を住宅として使用できるようになるなど、その内容も変わってきた。

(3) 生活福祉資金貸付制度

 生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や障害者、高齢者、失業者世帯などを対象として、低利子もしくは無利子で生活に必要な資金を貸し付ける制度である。

 生活福祉資金の種類は、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金である。

 生活福祉資金貸付制度の実施は都道府県社会福祉協議会である。貸付業務の一部は市町村社会福祉協議会に委託している。

 利用者に対する相談業務については、市町村社会福祉協議会の担当職員だけでなく、地域の民生委員が担っている。特に、民生委員は制度発足から重要な役割を担っており、申込みに関する相談だけでなく、世帯の調査や貸付世帯への日常的な訪問を通し必要な援助活動を行っている。