日本の年金制度
年金は1階の「国民年金」と2階の「厚生年金」等の2階建てです。
「国民年金」からは、すべての国民に共通する基礎年金が支給されます。
「厚生年金」など被用者年金からは、月給や賞与などの報酬に応じた年金が基礎年金に上乗せして支給されます。
1階
国民年金(基礎年金)
自営業者等(第1 号被保険者)
会社員公務員等(第2 号被保険者)
第2 号被保険者の被扶養配偶者(第3 号被保険者)
2階
厚生年金 共済年金 国民年金基金
この上に 厚生年金基金 職域部分
現在の公的年金制度
昭和61年の4月に年金法の大改正がありました。それまでは国民年金、厚生年金、共済年金がバラバラでした。改正以降は国民年金の部分は全ての年金の基礎年金とするように決められました。
20歳から60歳未満の国民年金の第1号被保険者は自営業の方や学生の方です。
国民年金の第2号被保険者には民間企業のサラリーマンが老齢基礎年金に厚生年金がプラスされ、公務員や教員は共済年金がプラスされる、いわゆる2階建ての年金制度となっています
国民年金の第3号被保険者は、おもに会社勤めや公務員や教員のされている旦那の奥さんです。
年金は社会保険制度の中に位置づけられています。年金は20歳から加入することになっていて、国民年金・厚生年金・共済年金の3つの制度があります。
加入者
加入者のことを被保険者といいます。
原則として、20 歳以上60 歳未満のすべての方が国民年金に加入します。
職業などによって3つのグループ(種別)に分かれています。保険料の納入方法が違います。
被保険者の種別と保険料
第1号被保険者
日本国内に住む20 歳以上60 歳未満の自営業者や学生などご自身で納付
国民年金保険料
国民年金の保険料は、平成16 年の制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29 年度に上限(平成16 年度価格水準で16,900 円)に達して、以後、その水準は固定されます。
また、実際の保険料額は、平成16 年度価格水準を維持するために、国民年金法第87 条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定され、以下のとおりとなります。
・ 平成29 年度の国民年金保険料額は16,490 円(月額)
(平成28 年度から230 円の引上げ)
・ 平成30 年度の国民年金保険料額は16,340 円(月額)
(平成29 年度から150 円の引下げ)
加入期間が短い方は、国民年金の任意加入制度が利用できます。
60 歳までに、加入期間(以下「被保険者期間」といいます。)が老齢基礎年金の受給資格を得るのに必要な「受給資格期間」(25 年)を満たしていない場合や、老齢基礎年金の年金額に係る被保険者期間の満期(40 年)に満たないために満額の年金を受給できない場合であって、厚生年金等に加入していないときは、以下のように60 歳以降でも任意加入を申し出ることができます。
1 年金額を増やしたい方は65 歳までの間、任意加入できます。
2 昭和40 年4 月1 日以前に生まれ、65 歳時点で受給資格期間を満たしていない方は、70 歳までの間で受給資格期間を満たすまで、特例的に任意加入できます。
3 20 歳以上65 歳未満で日本国籍を有する海外居住の方も任意加入できます。
第2号被保険者
厚生年金保険や共済組合に加入している会社員や公務員など
勤務先で納付
第2号被保険者は、他の被保険者と異なり、20 歳未満であっても被保険者となります。
また、60 歳以上でも70 歳までは被保険者となります。ただし、65 歳以上で、すでに老齢厚生年金等の受給権を有する方は被保険者になれません。
厚生年金保険に加入している方は、70 歳以降でも任意加入できます。
70 歳になったとき、老齢基礎年金や老齢厚生年金などの受給資格期間を満たしていない人は、受給資格を得るまで特例的に任意加入できます。
第3号被保険者
第2号被保険者の被扶養配偶者で20歳以上60 歳未満の方
配偶者が加入する制度が負担
3つの年金給付
わが国の公的年金制度は、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の全員が対象となる国民年金と、サラリーマンが加入する厚生年金の2階建ての構造になっています。
それぞれの年金制度には、老齢、障害、遺族の3つの給付制度があります。 (1)
老齢給付
高齢に伴い受給する年金で、保険料を納付した期間や賃金(平均標準報酬額)に応じた額の年金を受給できます。この給付を受けるためには、年金受給資格期間を満たす必要があります。日本の公的年金は賦課方式※2を採用していますので、インフレにも強く終身で給付されます。
(2)障害給付
障害に伴い受給する年金で、障害の程度に応じて受給することができます。
例えば、独身のサラリーマンが障害等級2級の裁定を受けると、障害基礎年金と賃金に応じた障害厚生年金を受給することができます。
(3)遺族給付
世帯主が亡くなった時に残された遺族が受け取ることができる年金で、子供の数や配偶者の有無に応じて支給されます。
例えば、自営業のご主人が妻と生まれたばかりの子供を残して亡くなった場合、子供が高校を卒業するまで遺族基礎年金が支給され、その総額は実に約1千8百万円にもなります。
1階部分の国民年金からは、自営業者だけでなく、被用者年金の加入者とその配偶者にも共通する年金として、
①高齢期の生活を支える老齢基礎年金、
②心身に障害を負ったときの生活を支える障害基礎年金、
③加入者が死亡したときに一定範囲の遺族の生活を支える遺族基礎年金
が支給されます。
一方、2階部分の被用者年金にも加入している方には、加入期間とその間の報酬に応じて基礎年金に上乗せするかたちで、被用者年金から次の3種類の年金が支給されます。
老齢厚生年金(退職共済年金)
障害厚生年金(障害共済年金)
遺族厚生年金(遺族共済年金)
国の年金制度の主な財源は、保険料と税金です。国の年金制度は、社会保険方式をとっており、保険料を基本として国庫負担(税金)を組み合わせることで安定的に運営されています。老齢年金などの給付に要する費用は、加入者(現役世代)の支払う保険料と国庫負担(税金)によって成り立っています。
年金とは「年金保険」の略であり、「保険」という名が示すように、保険料の掛金に見合った支給が原則です。
平成29年度の年金額改定(0.1%引下げ)
平成29年1月27日に総務省が「平成27年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指標)を公表し、対前年比0.1%の下落となりました。それを受けて、厚生労働者が本日平成29年度の年金額改定について公表しました。平成29年度の年金額は、平成28年度から0.1%の引下げとなります。
平成29年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例で、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、平成29年度は月額221,277円となります。 (前年比 -227円)
「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額」とは、「夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準」で算出したものです。
在職老齢年金
60歳を過ぎても働き続けていて社会保険に加入している人は、年金が収入に応じてカットされて支給されます。この年金の仕組みを『在職老齢年金』といいます。
60歳代前半の在職老齢年金
60~64歳までは特別支給の老齢厚生年金が支給されることになっています。
この特別支給の老齢厚生年金は、本人が厚生年金に加入している場合、その月の賃金・賞与と年金額に応じて年金額の一部または全部が支給停止されます。
(1) 年金基本月額 + 総報酬月額相当額 ≦ 28万円
支給停止なし 年金は全額支給
(2) 年金基本月額 + 総報酬月額相当額 ≧ 28万円
全額または一部支給停止
年金の停止支給額 = (年金基本月額 + 総報酬月額相当額 - 28万円)÷ 2
60歳代後半の在職老齢年金
65歳からは老齢基礎年金の支給が始まり、老齢厚生年金との2階建て構造になります。
60歳代後半の在職老齢年金は、老齢基礎年金は全額支給され、老齢厚生年金の月額と総報酬月額相当額を合わせた金額が46万円を超えると、その超えた部分の2分の1が支給停止されます。
支給停止額=(総報酬月額相当額+老齢厚生年金月額-46万円)×2分の1
平成29 年度の在職老齢年金に関して、60 歳台前半(60 歳~64 歳)の支給停止調整変更額と、60 歳台後半(65 歳~69 歳)と70 歳以降の支給停止調整額については、法律に基づき46 万円に改定されます。
なお、60 歳台前半の支給停止調整開始額(28 万円)については変更ありません。