従業員がインフルエンザに罹ったとき

 新型インフルエンザの場合 新型インフルエンザは「2類感染症」ですが、会社は感染した社員に対して「出勤しないように」と命ずることができます。
 (感染症法により都道府県知事から就業制限が出る。会社の判断ではない。)
  「インフルエンザに感染したのは自己責任」ということになるため、会社側から命令されたからと言って、休んだ期間の賃金を支払う必要はありません。

 季節性インフルエンザの場合 季節性インフルエンザは「5類感染症」ですが、会社は感染した従業員に対して「出勤しないように」と命ずることができません。
 なお、周囲への感染を防ぐために会社側から休むように指示した場合は、「会社都合で休まされる」ということになるので、休業手当(賃金の60%以上)を支払いが生じます。
 インフルエンザ等の感染症で会社の指示で休む場合であっても法律による規定がないため、公休とする義務は会社にはありません。

 病気で公休をとれるのは、国が定めた伝染病に感染した場合です。インフルエンザは国で定めた伝染病ではないので公休扱いにはなりません。学校の場合には公休もあり得ますが、会社の場合は公休扱いにならないのが一般的です。

 有給休暇以外の休暇については法律上の定めはなく、忌引等についても就業規則で定めていない限りは有給休暇の取得で処理することになるようです。

 このような法律上の規定もあるため、会社としては就業規則において、
 ①年次有給休暇を認める。
 ②年次有給休暇を使わない場合は、欠勤ではなく無給扱いにする。
 ③会社が業務命令として休ませる場合は「特別休暇」として扱う。
のいずれかを採用するのが現状のようです。

  年次有給休暇は入社して6ヶ月を経過しないと10日を与えられないので、入社してまもなくインフルエンザに感染して休んだ場合の無給は厳しい。かといって、有給休暇がある人は、有給休暇で消化せよとするのも、有給休暇の押しつけとなり疑問が残る。私個人としては、③ の特別休暇の中に「インフルエンザに感染して休んだ場合、5日を限度として通常の賃金を支払う。」のような規定を設けるのが公平で良いと思うのですが。