消費税について

 消費税のそもそもの始まりは、今後減っていく直接税(法人税、所得税など)中心の日本の税体系を間接税(消費税など)中心に移行し、一般国民から広く浅く取り、増え続ける財政赤字と社会保障を賄うということでした。しかし・・・

 消費税を10%にすれば、年間400万円消費している家庭の場合、年間40万円が消費税で取られ、年間20万円の負担増となります。ただでさえ物が売れない今、サイフの ひも がますます固くなります。特に、不要不急の物や高額の物は買い控えられ、景気はますます悪化します。その結果、企業の収入は落ち込み、中小企業や小売店などは倒産に追い込まれ、シャッター街が加速します。 企業の収入が落ち込めば、個人の給与収入も減り、もっと物が売れなくなり、不況が深刻化する悪循環が始まります。

全世代型社会保障

 消費増税による税収増は、財政再建が期待できない。消費税率が1%上がると、消費税での税収は2兆円を増えるという試算がよく使われる。しかし、この試算は楽観的だという批判が強い。「消費増税」を実現するために水増しされている可能性が高い。消費税が3%上がれば、その税収分は最も多くて6兆円といったところである。景気後退による他の税収減が加われば、さらに少なくなる。結果的にトータルの税収がマイナスになったのが、1997年に行われた5%への消費税増税である。

 過去に、増税して景気がよくなった試しはありません。実際、1997年、消費税を3%から5%に増税された後、景気が悪化して北海道拓殖銀行や山一證券、長銀、日債銀と金融機関の破綻が相次ぎ、1999年まで金融恐慌寸前の深刻な不況に陥ってしまいました。

 消費増税は景気を冷えこませる。税収は増えません。現在の税収は、消費税導入前より10兆円以上も下がっています。財務省が発表している税収に関する統計を見ると、初めて消費税3%を導入した翌年の1990年は、前年と比べて税収が5兆円増えて60兆円となった。政府債務残高は300兆円台でした。だが、その年をピークとして、その後20年間、日本経済は長い停滞期に入り、一度たりとも1990年時の税収を上回ることはなかった。日本は「消費税を上げて、一瞬は税収が増えるが、その後じわじわ減る」というパターンを繰り返してきました。

 1997年に消費税を5%へ増税するとさらに税収は減少した。消費税率を5%に上げた1997年とその翌年1998年を比較すると、消費税収は増加したものの、所得税収と法人税収はそれぞれ2兆円減少。トータルで見ると53.9兆円から49.4兆円へと4.5兆円も減った。1998年、政府債務残高は600兆円台でした。 景気の良かった1990年度の税収は60兆円で、2009年度の税収37兆円より23兆円も税収が多かったのです。10%に上げようとしている現在、政府債務残高は1200兆円台です。 GDPがあと20兆円増えていたなら、所得税や法人税もさらに増え、5%のままでも消費税が増えていたはずです。

 税収は税率よりも、景気による変動要因が大きいため、税率を上げても、増税による景気悪化で税収が下がるのです。「景気が冷え込む」ことにあります。

 消費増税をしても税収が増えずないことは明白な事実である。しかし、財務省はこうした事実を説明することなく、「増税しないと財政赤字が拡大する」と国民の不安をあおってきた。

 「社会保障の財源確保のためには消費増税が必要」「増税しても景気は回復する」と述べて、消費増税に賛成していた政治家やエコノミストたちは、消費増税による景気後退が顕著に現れても、消費増税を推進している。

 日本の国内の景気を回復させるには、家計消費などを中心として「消費」を拡大する必要がある。

 消費増税はこの逆を行く政策である。デフレ不況下で、ただでさえ国民の購買意欲は低い中、消費増税を行うと、国民の需要を喚起するどころか冷水を浴びせる結果にしかならない。

 消費増税を行うと、消費税収は増えるが、やがて国民や企業はその負担に耐え切れなくなり、景気が後退していく。その結果、企業の収益は悪化し、雇用者の所得も減少する。そうなれば、法人税収、所得税収が減ってしまい、トータルの税収は増えない。

 消費増税を行ったところで、景気後退により他の税収が減り、トータルの税収は増えないのです。

 2013年時点での社会保障給付費は約110兆円で、そのうち保険料でまかなわれているのは6割程度です。残りの4割を賄うために、国民の税金などが投入されています。さらに、この社会保障給付費は年々増えています。一方で現役世代は減っているため、保険料収入は減る一方です。

 「消費税を上げれば、景気が後退し、逆に税収が下がる」わけです。お店で言えば、「無理な値上げをすれば売り上げが減る」のと同じことです。減税をして経済成長をすることが財政再建への近道です。

 税収を増やしたいならば、経済発展するしかない。重税で国民を縛り上げる「大きな政府」ではなく、税金を安くし、国民に自由にお金を使ってもらう「小さな政府」を目指し、自由な経済活動によって経済全体を潤して税収の自然増を実現させることです。増税ではなく、景気回復、経済成長が必要です。

 今は、法人税を払っていない赤字企業が7割を占めていますが、景気が良くなれば、法人税、所得税等が急増し、瞬く間に税収は数十兆円増えるのです。 「成長なくして増税なし」です。政府は、増税ではなく経済成長に取り組むべきです。

 経済政策は徹底した成長路線が特徴的。デフレ不況を悪化させるとして消費税増税に反対するだけでなく、「法人税や相続税の減税」によって、企業の投資や国民の消費の促進を狙う。「大都市や交通インフラへの大規模投資」によって、高度成長も視野に入れること。

 必要なのは、消費増税の「延期」ではなく、少なくとも5%まで減らす「撤回」ではないでしょうか。日銀の大胆な金融緩和でも、景気が良くならない現状を考えれば、個人や企業は明るい未来を描けず、金融機関からお金を借りて新しくに何かを買ったり、設備投資することはできないのです。

 日本経済を回復するために税収を増やすならば、取るべき方法は社会主義的な「増税」でない。減税によって国民が積極的にお金を使う環境をつくり、その結果として、政府の税収を増やすべきです。それこそが日本経済の活力を取り戻すための方策である。

 もし、増税が行われなければどうなるでしょうか。まず、増税による消費の落ち込みへの警戒が解ける。さらに、株価が再上昇し資金調達はより容易になる。すると、今まで様子をうかがっていた企業が設備投資を増やし、「期待」に過ぎなかったアベノミクスが効果を表し始める。

 設備投資の受注が増え、潤った企業から、賃金やボーナスも上がる。ようやく個人消費が本格的に伸び、日本経済はデフレ脱却を果たす。

 GDPとは、国内で生み出された付加価値の合計のことを言い、経済活動の活発度を計る指標として用いられる。GDPの成長率がプラスならば、景気は回復傾向で、マイナスならば景気は衰退していることを意味する。

 名目GDPの伸び方が1%のとき、税収の伸び方は7%になるなど、経済成長率の変動をはるかに上回る「振れ幅」で税収増加率が変動している。経済成長が加速することで、大きな税収増が見込める。

 政府は、日銀の量的緩和やマイナス金利政策など、「お金の流通量」を増やすことで景気回復を目指している。だが、経済を活発にするためには「お金の回転率」も重要です。お金が1年間で回転する量が増えるほど、GDPは増えていく。つまり、銀行が企業にお金を貸出し、そのお金で企業が商売し、消費者が商品やサービスを買う。儲けた企業は従業員に給料を支払い、従業員は銀行に預金する。それがまた、別の企業への貸し出しに回るというように、お金が回転することで、経済が発展し、GDPが増えていく。このお金の回転速度を弱めているのが「消費税」なのです。日本経済の6割が個人消費で成り立っている。消費税は、お金が流通する場所に多くのハードル(障害)を置くようなものである。ハードルの数が多ければ多いほど、資金の回転率は落ちてくる。その意味で、消費税にはGDPを減らす効果があるのです。

 日本人は高い税率を受け入れようとしない

企業の成長を封じる増税

 日銀総裁も、経済学者も、消費増税をしても思い切った金融緩和で経済成長できるだろうと見込んでいたようですが、その読みは甘かった。企業がお金を借りて、使える環境ではなくなってしまったのです。

 日本の企業が抱える資産も、アベノミクスが始まってから100兆円ほど増えています。そのため、安倍政権は企業に賃上げを要請しています。確かに、その半分でも設備投資や雇用を増やすために使えば景気は良くなるでしょう。

 ただ、経営者の立場に立てば、消費増税で国内需要が盛り上がらないのに、設備投資や賃上げなどできないと考えるのももっともです。物が売れないデフレの時に消費増税をしたため、企業の成長を止めてしまったのです。

 原田泰早大経済学部教授の試算では、2060年の時点で消費税は68.5%にもなるという。高齢者1人当たりの社会保障給付費(65歳以上1人当たり281万円)が変わらず、保険料や消費税以外の税の引き上げをしない場合、人口予測に基づいて消費税がどこまで上がるかを試算したものです。少子高齢化の中、高齢者が増え、現役世代は減る。社会保障を成り立たせるために、保険料を上げたり、所得税や相続税を上げたりする選択もあるが、消費税に限って上げていくとすれば約70%になるという計算です。国民の負担が所得の7割を占める福祉大国スウェーデンと同じレベルに到達します。Fotolia_100782696_XS

 『税と社会保障の一体改革』は、共産主義的ユートピアの幻想である。早くポピュリズムのワナから抜け出して、自助努力からの発展繁栄こそ、真の『資本主義的ユートピア社会』であることに気づいていただきたい。

 共産主義が登場するまでは、どの国でも当たり前に子供の誰かが親の面倒を見ていた。もちろん、家庭の中での女性の負荷が大きいという問題はあるが、金銭的には、両親に食事と寝る場所を提供し、100万円ぐらいから多くても年間200万円ぐらいの負担でしょう。それ以上を出せる家庭はかなり裕福な家庭に限られる。それを政府が面倒を見る場合、日本であっても、65歳以上の高齢者の1人当たりの福祉支出は年間281万円になる。夫婦2人分なら562万円。赤の他人に両親を任せることで、明らかに2倍以上のお金がかかるようになっている。この計算だけでも、社会保障のために税金を引き上げていく「税と社会保障の一体改革」は成り立たないことは明らかです。

2019年10月に消費税を10%に増税した際の増収分の使い道の変更

 当初は、高齢者の社会保障制度を維持するための増税のはずだったが、幼児教育の無償化や高等教育の負担軽減など子育て支援にあてるという。実質的には「新たなバラマキ」である。

 2014年4月の消費税8%への増税で、日本のGDPの6割近くを占める消費が、2014年から2017年にかけて一世帯あたり年34万円も減少した。

「減税で税収増」は普通のお店で起きていること

 「減税で税収増」というと、「希望的観測」「トンデモ経済学」のように評する声もある。しかし、普通のお店は、景気が悪い時、「値下げ」をすることで、売り上げを増やそうとする。不思議なことでも何でもなく、普通のお店で普通に起きていることである。

参考

 「消費税を5%に下げる」ことを、政策の選択肢として真剣に議論するべきです。

 消費税を8%に引き上げたことで、景気が大きく冷え込み、税収が下がり始めた。

 なぜ、安倍政権は消費増税を目指すのでしょうか。一つには、「財務省にコントロールされているため」ということが挙げられます。財務省が最も重要と考えているのは、「とにかく増税すること」。財務官僚にとっての手柄は増税なのです。そして、財務省は「増税できないなら、各省庁の予算を削りますよ」と政治家に圧力をかけるため、政治家たちは意向にそわざるをえないのです。

深刻な不況を完全に克服するには、「大減税」が必要です。消費税をゼロにし、相続税も贈与税も思い切って全廃すべきです。デフレ経済下では、消費景気を拡大させなければ、本格的な経済成長は望めない。この不況下に増税などありえない。

 サッチャー首相が力説したように、「働かざる者、食うべからず」という人生の基本に立ち返るしかない。政府が貧しい人にどれだけ金銭を与えても、貧困から抜け出せるわけではない。サッチャー氏は、「その人が自分でできること、また自力でやるべきことを、その人に代わってやってあげても、恒久的な助けにはならない」と語っていた。必要なのは、自己責任の考え方や勤勉の精神です。

参考

 自民党は、消費税率10%への引き上げに伴う増収分などを財源とし、幼児教育の無償化や社会保障の充実など、全世代型社会保障に大きく舵を切ることを公約に掲げています。

 安倍晋三首相が掲げる経済政策のうち、最大の欠点は何かと言うと、「分配」にしか頭にないところです。「富をつくりだす」という発想がないのです。

 本来、経済というものは生産から始まります。生産するからこそ、分配するものが出てくるわけです。

 安倍首相も、社会主義者や福祉・社会保障論者もそうですが、「どうやって配るか」しか考えていない。しかし、配る前に「どうやったら配るものをつくれるか」を考えるのが資本主義精神です。

 根拠もなく、「増税と経済成長は両立する」という考えがまかり通っています。

所得税・法人税は10%台をめざし、消費税は5%に戻す

相続税は廃止する

 若い世代は人生設計を立て、勤勉に働き、財産をつくる。あるいは、子育てに励んで、将来面倒を見てくれる孝行な子供をつくるのもつの道です。高齢の方や老後が近い方は、可能なら今からでも奮起して、安心できるところまで稼ぐ手立てを考えるべきでしょう。

 もちろん、経済的に失敗してしまった人、家族の助けが得られない人、どうしても働けない人を救うセーフティー・ネットを用意するのは政治の仕事になる。「飢えず、凍えず、雨露がかからない生活、病気の際に痛みを取り除く医療」は誰にも不可欠です。 

 「社会保障と税の一体改革」は成り立たない。幻想です。自己責任と勤勉の精神を復活させ、「資本主義的ユートピア」を目指す中にこそ、日本もアメリカもその他の先進国も、新たな「姥捨て山地獄」を阻止することができる。

 国民の意識としても、重税を前提とする「老後の生活は国が何とかしてくれる」という考え方から、「老後は自分や家族、地域で守る」という、自助努力型に切り替えていく時期でしょう。

 今後、急速な高齢化によって生じる問題は、大きくは2つあります。

  第一の問題は、生産年齢人口(労働力人口)の急速な減少です。

  第二の課題は、社会保障費の急激な膨張です。

 この2つの問題を解決するには、「生涯現役社会」を築き、高齢者の方々が生涯にわたって就労し、経済的収入を得つつ(国家経済にも貢献しつつ)、社会を「支える側」に回り、年金・医療・介護を必要とする時期をできる限り先に延ばす戦略が必要です。

 学び、教えることを通じて、神様に近づいていく道が用意されているのが、幸福の科学の教えであると言える。これもこれからのグローバル・スタンダードと言える。

 国家に対して自分は何ができるかを自らに問い、社会に貢献する国民が多くなれば、国家は発展繁栄していきます。

 日本の明るい未来を築いていくためには、国に生活を保障してもらう「もらう側の人間」ではなく、国の発展のために「与える側の人間」が増えていく必要があるのです。

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