ロボット産業

人間に代わって活躍するロボットの可能性

 世界のロボットの3分の2は日本で生産され、稼働中のロボットの3分の1が日本製だ。そんなロボット大国の日本だが、現段階では産業用に限られている。人間の負担を減らしたり、危険な場所に赴く家事や介護、レスキューロボットなどはまだまだ伸ばしていく必要があるし、伸びる可能性は十分にある。

アメリカ生まれの掃除ロボット「ルンバ」はすでに日本でも市販されているが、1台約7万円にもかかわらず、日本の深夜のテレビ通販番組で紹介されたところ、1日で2億円以上を売り上げた。「家事ロボット」に大きなニーズがあることをうかがわせる。

 日本の技術では、歩行支援ロボットスーツ「HAL」や、人の顔を識別して会話したり留守番したりするコミュニケーションロボット「ワカマル」などが生活の場に進出してはいるが、安全性やメンテナンス、価格の高さが影響し、市販はされずレンタルでの利用となっている。テレビのように、「一家に1台」「一人に1台」に近づけるには、政府としてもこの分野に資金と人を投入していく必要があるだろう。

 ロボット産業について、経済産業省は2025年に7兆2千億円の市場規模を見込んでいるが、ロボットは航空・宇宙や軍事、海洋開発などでも人間に代わって活躍することが予想されるため、爆発的な成長も期待できる。ロボット研究の開発費や投資についての減税政策が有効だろう。

 先進国が少子化で労働力が減るなら、やはりロボットが工場だけでなく、人間の生活に入ってくるだろう。一方、世界は人口爆発で100億人時代に向かう中、飢餓人口が10億人を超えたとされる。農業分野にはどれだけ食糧増産できるかの強い圧力がかかっている。

 こうした何百年に一度のイノベーションに一企業の決断でチャレンジしようというのは、やや無理がある。やはり政府として、明治時代のような「殖産興業」を世界規模でやり遂げようという企業家精神が求められる。

 先進国はどこも超低金利時代に突入し、少しでもいい投資先を求めている。ただ、日本はバブル崩壊、他の先進国はリーマンショックの後の”恐怖症”で思い切った投資ができないでいる。そこで日本政府が基幹産業創出のためのファンドを設立し、100兆円単位でリスクマネーを投じれば、世界の余剰資金を動かす起爆剤となる。