長時間労働

電通の長時間労働問題の経緯

仕事をしたい気持ちは人間の天分

 電通社員の過労自殺をきっかけに、政府が長時間労働をなくそうとしています。しかし、それは各企業のトップが覚悟を持って取り組むべきことで、政府が口を挟むことではないはずです。

参考

 ここで、仕事とは何かということを宗教的な側面から考えてみます。幸福の科学総裁は、著書『仕事と愛』の中で次のように述べている。

 「私が言っておきたいのは、『「仕事をしたい」という気持ちは人間の天分である』ということです」「人間は、一つの材料をもとにして、いろいろなものを考え出すことができます。ここに創造の喜びがあり、大宇宙の根本仏と同じような気分を味わうことが許されているのです

 働く時間を調整して健康を維持することはもちろん大事だが、人生において、創造的な仕事によって得られる喜びがあることも忘れてはならない。夢中になって仕事に取り組んでいて時間を忘れることだってある。周りからは「モーレツ社員」に見えるに違いない。

 今必要なのは、一人ひとりが自分の天職を見つけ、創造の喜びを味わうことができるような社会を目指すことではないでしょうか。単に「長時間労働=悪」としたり、「労働=苦役」「単位時間あたりの労働の価値は誰でも同じ」といった前提に立った 働き方改革では、喜びを感じながら仕事ができる人を増やすことはできない。

 とくに電通は、たった一行のキャッチコピーが莫大な利益を生んだり、ほんの数十秒のCMが大ブームを起こしたりする広告業界の雄。創造的な仕事によって成り立っているとも言える。今回のような悲劇を繰り返さないためにもマネジメントの改善は必要だが、それを乗り越えて、創造の喜びを生み出す働き方を示してくれることを期待したい。

 参考

経営者の立場からの本当の「働き方改革」

 敵視される長時間労働だが、諸外国と比べると、日本の労働時間のみ突出して多いわけではない。さらに日本全体で見ると、トータルの労働時間は減少傾向にある。1980年に2104時間だった日本の労働時間は、2015年には1734時間に減少している。

1人当たり平均年間総実労働時間(2015年)
 1.韓国 2113.時間
 2.アメリカ 1790.時間
 3.ニュージーランド 1757.時間
 4.日本 1734.時間
 5.イタリア 1725.時間
 6.カナダ 1706.時間
 7.イギリス 1674.時間
 8.オーストラリア 1665.時間
 9.フィンランド 1646.時間
   OECD Databaseより   ※日本は厚生労働省のデータを使用

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ポイント

1 長時間労働が社会問題化するのは、法律と企業の双方に原因がある。

2 各企業で「何を成果とするか」を見直すことで、働き方が変わる道がある。

3 解雇規制を緩和することで、正社員の割合は増える。   

 

 長時間労働については、ある程度のルールがあってもよいと考えます。現実には、極端な長時間労働で従業員を使い捨てる悪質な企業もあるからです。

 各企業の事情もさまざまかとは思いますが、今後は、長時間労働以外の方法で業績を上げることを考えなければ生き残れません。出産、育児に加え、介護の問題も出てくるので、残業が当たり前の組織であれば、大切な人材が仕事を続けられず、戦力を失うことになります。

 飲食業など長時間労働が当然とされてきた業界でも、働き方を変え、離職率を下げている企業が出ています。中小企業でも、「給料は高くないが、休みがしっかり取れる」など、多様な働き方を導入し、従業員満足度を高めている会社もあります。

 今までは、時間をかけてもノルマを達成することがよしとされ、むしろ成果より長時間労働を評価されることもありました。現在伸びている会社は逆で、時間当たりに生み出した価値に焦点を当てています。また、成果を求めつつ、残業をいかに減らしたか、部下から管理職人材をどれだけ輩出したかなど、総合的な評価をします。「何を成果とするか」を見直すことで、働き方も変わっていくのです。

 一方、解雇規制については緩和すべきと考えます。解雇が難しいから採用基準が厳しくなり、「再就職が難しい」から「悪質な会社でも辞められない」という形で、人材の流動化を妨げていると考えられるからです。

 たとえば、正社員の地位を悪用する問題社員が経営者を困らせるケースがあります。入社後2、3ヵ月は機嫌よく働きますが、突然豹変して「もっと残業代を払え」と騒ぎ始めるのです。解雇しようとすると、解雇手当や慰謝料を要求してきます。これを、ユニオンや弁護士事務所が応援する。労働問題を起こすことが、彼らにとっての「ビジネス」なのです。

 解雇規制を緩和すれば、会社は「問題社員を雇っても解雇できる」と安心し、雇用を増やせます。働く人にとっては再就職のチャンスが増えます。解雇規制の緩和は、悪質な会社の淘汰にもつながるはずです。

 

 企業が生み出す付加価値を考慮せず、長時間労働を敵視する世の中の風潮には問題が多い。特に創業期には長時間働くことも必要になる。利益を出さなければ会社はつぶれ、従業員は路頭に迷ってしまう。

 一方、「長時間働けば業績が上がる」という考え方にも限界がきている。日本人の勤勉さが戦後の経済発展を成し遂げたことは確かだが、今までと同じやり方ではこれ以上の発展は見込めない。労働者一人あたりの付加価値を示す「労働生産性」は、日本は先進国中最下位。25年以上、経済成長も横ばいです。

労働生産性 : GDPを総労働時間で割って算出する。天然資源に頼る国では、実態より数値が高く出るとの指摘もあるが、日本は同じような産業構造の国と比較しても低いため、生産性を高める余地がある。

 大切なことは、「時間の長さ」ではなく「時間の密度」です。同じ時間に生み出す成果は、企業や人によって大きく違う。

 だが、日本では、いまだに、「商品の価値は、商品の生産に費やされる労働量によって決まる」という「労働価値説」が幅を利かせているようです。これは、マルクスの共産党宣言のベースにある思想で、労働関連法をめぐる裁判所の判断や、「最低賃金アップ」「格差是正」などの施策にも色濃く流れている。

 

時間密度を高める創造性

 大川隆法総裁は、著書『資本主義の未来』において、労働価値説の間違いを指摘し、経済発展の要諦を次のように述べておられます。

「今、必要なものは『アイデア』です。『創造性』のところなのです。『創造性をどうつくるか。創造する頭脳をどうやってつくるか』というところなのです」

 創造性の向上には、社員教育や、多様な能力を持つ社員を生かしきるマネジメントなど、各企業の努力が不可欠です。一方、政府は過度な解雇規制の緩和など、チャンスを広げ、努力する人が報われる仕組みを構築すべきです。 

参考

ブラック企業

「ホワイト企業」は共産主義への道

 定義が曖昧なまま社会に浸透した「ブラック企業」。その実態は、優良企業や黒字企業が持つ仕事の厳しさという側面を、従業員の立場から一方的に非難したものが多いようです。

 ブラック企業批判で特に警戒すべきことは、その根底に「資本家は労働者から搾取する」というマルクス主義的な発想が流れていることです。

 成功者への嫉妬を正当化し、企業は労働者を虐げるという構図を唱えるマルクス思想は、努力して世の中に貢献し、豊かになっていくという資本主義精神を傷つける危険な思想です。

 一方、ブラック企業と対比される「ホワイト企業」は、残業もノルマもなく、有給休暇がしっかり取れて、雇用が安定している企業を指す。しかし、競争社会において、そのような企業が生き残れるはずがない

 もし、ホワイト企業に近い業種があるとすれば、それは役所でしょう。国民全員が公務員になって競争がなくなれば幸福かと言えば、それはまさに共産主義国家そのものです。崩壊前のソ連や改革開放前の中国、今の北朝鮮のような貧しくて平等な社会が実現することになる。

 今の日本に本当に必要なのは、成功して豊かになった人々を祝福するカルチャーです。豊かになった人から税金を多く取ってばら撒くという発想では、成功者は生まれにくい。

 結果的に社会全体を貧しくするブラック企業批判は、そろそろ終わらせる必要がある。そして、「自分が社会に提供できるものは何か」を考える個人が増えてこそ、世の中は豊かになっていく。

 経営者はブラック企業批判に惑わされず、自社がいかにして社会に貢献するかを自信を持って従業員に語り、社業を発展させていくことが期待される。

 

働くことの価値を問い直す

 こうした法律の背景には、「時間あたりの仕事の価値はみんな同じ」「労働者は企業家に苦役を強いられ、搾取されている」などという考え方がある。

 悪質な企業も存在するため、ある程度、働く人を守るルールは必要です。だが、仕事を苦役と考えることはあまりに悲しい。

 大川隆法総裁は、「仕事そのものは、人間の本質に極めて近いところにあると考えられます。つまり、『仏が、自分と同じような創造の喜びを人間に与えようとして、仕事というものを与えたのだ』と考えてよいのです」と説いている。

 世の中に新しい価値を生み出すことに生きがいを見出し、時間を忘れて働く社員や企業は、「モーレツ社員」や「ブラック企業」と呼ばれるのかもしれない。しかし、こうした「天職」に巡り合った人にとって、「これ以上働くな」と言われることは、「余計なお世話」です。

 勤勉に働くことを喜びとし、幸福を感じられる人が増えてこそ、会社も国家も繁栄する。

「本当の働き方改革」の成功は、経営者が、仕事への限りない情熱を従業員に伝えられるかどうかにかかっている。

 

「働くことは幸福」という考えに基づく制度へ

今までの考え方
 働いた時間に比例した報酬を払う
 一律の「最低賃金」を設定し、残業の場合は割増料金を払う。仕事の質や成果は問われず、短時間で仕事を終える能力の高い人より、サボっていても長く会社にいた人の報酬の方が多くなることも。
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これからの考え方
 成果に焦点を当てた報酬体系へ
 各自の努力や仕事に対する姿勢、仕事の責任や成果に応じて給与を払うことで、努力が報われやすくなり、時間効率を上げるモチベーションが高まる。一部の専門職などは、自宅での仕事もしやすくなる。

今までの考え方
 正社員に対する過度の優遇
 会社への忠誠心が強まる一方、権利主張の強い社員も出る。また、解雇規制が厳しく、企業が雇用に慎重になるため、新卒での就職活動に失敗したり、一度退職したりすると、正社員になることが難しい。
  ↓
これからの考え方
 再就職や新たなチャレンジを可能にする
 厳しすぎる解雇規制を緩和することによって、企業側が雇用に積極的になり、再チャレンジが可能な社会に。転職しやすくなることで、個人の成長に応じて、仕事の内容や報酬をステップアップさせていくこともできる。

 

真の意味で労働生産性を高めるには

 残業を減らして業績を上げている企業の共通点は、時間あたりの付加価値を最大化する「生産性」の向上を目指していることです。残業の削減が効率至上主義に陥り、顧客を無視した仕事につながるなら、企業の業績は悪化する。

 人材と時間という経営資源をいかに生かしきって成果を出すか。これは企業のマネジメントの腕が問われるところです。

 まずは、「惰性で成果を生まない仕事をしていないか」をチェックする必要があるかもしれません。

 例えば、漫然とネットや新聞などを眺める時間を減らしたり、いらないメールや電話、会議をやめる、実態がないにもかかわらず、上司に報告するだけのために、「数字」をつくることをやめる。工夫次第では、生産性を高めつつ、仕事の時間を短縮することは可能でしょう。

 日本が今後労働生産性を高め、さらなる経済成長をしていくためには、高付加価値の商品・サービスに特化していく必要があることが見えてきます。

 ただ、日本のビジネスパーソンにとって大切なのは、労働時間の長短よりも、「何のために働くのか」かもしれません。日本人は勤勉で、長時間働くことをいとわない人も多いですが、それでも、働く意味が分からなくなれば、仕事への情熱を失ってしまいます。

 あらゆる仕事は「多くの人の役に立ち、幸せにする」ために行うものです。その基本的な考え方を多くの社員が共有し、使命に基づく経営、いわゆる「ミッション経営」を実践していく。それが、真の意味での「豊かな働き方」につながるのではないでしょうか。

参考