年金改革は、現代の「秩禄処分」?

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 年金改革を断行するには、明治維新の秩禄処分が一つのモデルになるかもしれない。

 明治維新によって、公家や武士への、給料の支払い手が、幕府から朝廷(新政府)に移ることになった。しかし、新政府には潤沢な資金があるわけではなく、これまで通りの家禄(給料のようなもの)を払うことができない。そこで、旧幕臣の家禄は5分の1に圧縮された(家老クラスは10分の1、末端の士族はほぼ現状維持)。それでも、人口の5%にあたる150万人に家禄を与え続けることは新政府にとって重い負担だった。家禄だけで財政の3分の1を占めたという。

 そこで、大久保利通政権下で、当時できて間もない大蔵省主導で行われたのが、家禄を廃止する代わりに公債(金禄公債証書)を発行するという方法であった(「秩禄処分」)。数年分の禄を債券化して数%の利子をつけたものである。多くの武士は利子収入で暮らすことになったが、最低限の生活が何とか維持できる程度の収入だったという(藩主や上級武士は、資産家・投資家となったケースもある)。これで当座を凌ぎながら、武士たちは次第に帰農したり商人化していったりしたわけです。この秩禄処分によって、財政の負担が減った明治政府は、殖産興業・富国強兵に邁進できることになった。

 かなりドラスティックな改革だが、ほぼ無血で成功したのは、家禄を受け取る華士族に対して、「居候」「平民の厄介」「無為徒食」といった批判が集まったことが大きい。

 現代の年金は、「働いていない人に財政の約4分の1を使って生活を保障」しており、明治初期の家禄の支給と共通する部分がある。年金改革は、現代の秩禄処分となる可能性は高い。

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