「103万円の壁」「130万円の壁」

 現在、多くのサラリーマンの妻はパートなどで働いていますが、年収が一定のラインより多くなると、税金や社会保険料の負担が発生します。このようなパート主婦のお給料が増えていく中で、2つの「壁」があります。

 まず「103万円の壁」。これは、妻の収入が103万円を超えると、所得税が発生する上に、夫の所得にかかる税金を減らせる「配偶者控除」が利用できなくなるというものです。

 次の「130万円の壁」とは、収入が130万円に届くと、妻は夫に養われなくても生活できるとみなされ、年金や健康保険の保険料を自分で納めなければならなくなるというものです。結果として、手取りが少なくなるので、130万円に到達しないように働き方をセーブする主婦も多いようです。

 こうした制度は、「男性が外で働き、女性が家庭を守る」という役割分担が明確だった時代にできたものです。働く女性が増え、専業主婦世帯よりも夫婦共働き世帯が多くなった現状とは合わなくなっているため、女性が思う存分、力を発揮できないという問題が生じているということです。

 参考

 女性の活躍に関して、政府は、2020年までに民間企業の女性課長職割合を15%にするなどの女性登用目標を掲げています。しかし、こうした数値目標を決めて女性登用を増やすという動きに対して、「能力が伴わない女性管理職を増やすだけ」「逆差別になる」などといった声もあります。数値目標を達成するために女性を登用するのではなく、全ての人が実力で評価され、チャンスが平等に与えられる仕組みこそ必要です。

 能力が高い女性が、力を持て余すことなく、生きがいを持って活躍できる社会にしていくことはとても大切です。社会の中で、こうした女性の特質を生かした仕事を創りだすことも必要でしょう。

 しかし、女性の中には、「働くことが人生のすべて」という価値観に、違和感を覚える方も少なくないようです。

 なぜ、生まれた時点で男女の区別があり、女性だけが子供を産めるのか。それは、人間を創造した神仏が、男女にそれぞれの役割を期待されている、と考えるべきでしょう。

 女性には、きめ細やかな気配り、美しさや優しさ、育てる喜びなどの特性があります。また、日本には伝統的に大切にしてきた文化や、生活様式の美点もあります。男女の特性を全く無視して全て平等にする考えは、こうした伝統や女性として生まれた人生計画を壊してしまうかもしれません。

 女性が子供を産み、愛情を注いで家庭でしつけや教育を行い、将来、人や社会の役に立つ子供を育てることや、会社で働く夫を支え、家庭を守ることは、お金には換算できませんがとても価値のある仕事です。

 働いて輝く女性も素晴らしいですし、子育てや家庭を守ることで輝く女性も素晴らしいでしょう。政府や社会の空気で、「女性の幸福は○○である」と決められるものではなく、それぞれが、もっとも輝く生き方を選べることが幸福へとつながります。

 そうした多様性を受け入れる社会づくりこそが、今、求められているのではないでしょうか。

働き方改革 へ

「仏法真理」へ戻る