いかにして日本語話者を増やすか

 日本に居住している外国人や諸外国の例を考慮すると、言語教育の拡充が必要不可欠です。

 職を求めて来日したものの、日本語能力の不足によって解雇され、生活保護を受けている人もいます。アメリカやヨーロッパでも、移住先の言語が習得できないことで職に就けない例が多数報告されています。

 移民を受け入れるに当たり、言語教育のインフラの整備は大きな課題です。

 現在、日本語教育機関の多くが地方公共団体やNPO法人、ボランティア団体によって運営されています。政府は、日本語教師の増加や日本語教育を実施する機関などに対する支援という目標を掲げているものの、国家としてどのような教育を行っていくのかという明確な方針を打ち出してはいません。

 例えば、日本語教育には公的資格が不要であり、教員の多くがボランティアや非常勤講師で構成されています。カリキュラムも各団体に一任され、日本語教育を通して何を教えるかは明確に定まっていません。民間組織が活発であるのは喜ばしいことですが、外国人居住者の増加に比して国としての施策が必要となるでしょう。

 言語教育の拡充は教育レベルの維持・向上にも必須です。日本としても200万人以上という外国人居住者の数に教育環境が追い付いていません。

 

日本を好きになってもらう

 ただ、言語教育をするだけでは不十分です。日本で働いて生きていくには、文化や習慣、思想を理解し、少なくとも「日本という国を好き」になってもらわなければなりません。

 日本に多く居住する外国人の中には、自国で反日教育を受けてきた人もいます。事実と異なる歴史認識に対しては、教育を通して正していくことが必要です。

 外国人教育という観点で考えると、政府が一定の指導要領を設定することも考えられるでしょう。もちろん現場の裁量を考慮することは大切ですが、反日感情を助長させるような教育が行われないよう国として教育内容を考える必要があります。

 

何をもって「国民」と見なすか

 この他にも、移民二世の教育や移民コミュニティーと地域の共存、スパイ防止など、さまざまな課題があります。個々の問題を解決するには、政府が移民受け入れに関する明確な理念を持たなければなりません。

 理念とは、受け入れる移民の条件であり、何をもって「国民」と見なすかということです。理念を固めずに場当たり的に外国人労働者を受け入れば、移民問題で苦しむアメリカやヨーロッパの二の舞になるでしょう。

 今後、外国人居住者はさらに増加すると予測されます。体制が後手に回って対処しきれなくなる前に移民政策について真剣に考えるべき時です。

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