全世代型社会保障

2019年10月に消費税を10%に増税した際の増収分の使い道の変更

 当初は高齢者の社会保障制度を維持するための増税のはずだったが、幼児教育の無償化や高等教育の負担軽減など子育て支援にあてるという。実質的には、「新たなバラマキ」である。

 2014年4月の消費税8%への増税で、日本のGDPの6割近くを占める消費が2014年から2017年にかけて一世帯あたり年34万円も減少した。

「減税で税収増」は普通のお店で起きている

 「減税で、税収増」というと、「希望的観測」「トンデモ経済学」のように評する声もある。しかし、普通のお店は、景気が悪い時、「値下げ」をすることで、売り上げを増やそうとする。不思議なことでも何でもなく、普通のお店で普通に起きていることである。

 参考

 「消費税を5%に下げる」ことを、政策の選択肢として真剣に議論するべきです。

 消費税を8%に引き上げたことで、景気が大きく冷え込み、税収が下がり始めた。

 なぜ、安倍政権は消費増税を目指すのでしょうか。一つには、「財務省にコントロールされているため」ということが挙げられます。財務省が最も重要と考えているのは、「とにかく増税すること」。財務官僚にとっての手柄は、増税なのです。そして、財務省は「増税できないなら、各省庁の予算を削りますよ」と政治家に圧力をかけるため、政治家たちは意向にそわざるをえないのです。

 

財務省が増税にこだわる理由は権益拡大に他ならない

 増税によって予算を増やし、要求した通りに予算を獲得したい官庁に配る。そうすれば、その官庁の関連団体に会計担当として天下ることができ、”植民地”が増えるためである。つまり、消費増税によって得られる税収は、安倍政権のバラマキ、そして、財務省が天下りをする際の”土産”という、非常に「不潔」な使われ方をされている。

 もし、本気で財政再建をするのなら、増税の前にすべきは政府資産の売却である。日本の政府資産は特殊法人などへの出資金や貸付金という金融資産が大半であり、特殊法人を民営化すれば、すぐに現金化できる。しかし、財務省は天下り先がなくなるので、この方法をあまりとりたがらない。

 財務省は、「消費税で税金を取る」という課税方法にも強いこだわりを持っている。「脱税や課税逃れ、節税しにくい税」だからです。

 財務省は、経済全体へのダメージ回避よりも、徴税側の都合を優先させている。

 「社会保障を充実させれば票になる」「増税で増えた予算で、天下りができる」「消費税は徴税がしやすい」。こうした理由で行われつつある消費増税は、経済学的に問題である以前に、「為政者の誠実さ」という意味で問題です。

 この「全世代型社会保障」だが、かつてイギリスが苦しんだ「英国病」の大きな原因でもある、「ゆりかごから墓場まで」をスローガンとした社会保障政策と基本的な考え方が共通している。

 

福祉に偏りすぎた英国経済

 イギリスでは、1942年、経済学者ビバリッジを委員長とした委員会が、社会保障計画の大枠を示した。国民全員に最低限の生活水準を保障することと、その財源を労働者と使用者の負担する保険料によってまかなうことが提示された。

 これを受けて、イギリスは「基本政策の枠組み」として、保守党・労働党を問わず、ケインズ主義に基づく経済政策と、完全雇用追及・社会保障充実を掲げ、各種社会保険、健康保険に加え、児童手当等への十分な給付を実施する社会を目指すようになった。

 その結果、1970年代には、経常収支・財政収支は悪化、インフレ率が2桁台に達し、景気は停滞するという、スタグフレーションに陥ったのです。

 この福祉に偏りすぎたイギリスの危機を救ったのが、サッチャー政権である。サッチャーは、「経済面での自助努力」を掲げ、社会保障費を大幅に削減し、国有企業を次々に民営化するなど、大胆な改革を実行した。

 その結果、イギリスの経済成長率は1979年~82年の平均が0.1%だったのに対し、1987年には4.4%まで上昇、財政収支は1990年度までに黒字化し、政府のGDPに対する債務比率は30%未満に縮小するなど、一定の成果を上げた。

 

「ゆりかごから墓場まで」は教育面においても失敗した

 当時は、5歳から15歳(後16歳)までの義務教育の無償化と、地方教育当局(LEA)による教育計画の管理が進んでいた。1944年に成立した教育法では、公的な教育の概念を拡大し、地方教育当局の下で、幼児学校から地域センターによる教育サービス、18歳までの青年に対する多様な形態の義務教育の継続と、手厚い就職保障のための多様な教育の実現を掲げていた。しかし、そうした教育の結果は、学力の低下となって表れてしまった。

 サッチャー政権は、1988年、教育法の大胆な改革を行った。例えば、親の学校選択権は拡大し、学校が集めた生徒数に合わせて補助金が出る仕組みや、LEAが学校を強力に統治するスタイルから、学校が独自の財政、人事、方針決定権を持つスタイルへの転換など、教育に競争や成果主義が取り入れられるようになった。

 その結果、ナショナルテスト(全国学力テスト)で平均を超える生徒の割合が増え続けるなど、かなりの成果が上がったという。

 いたずらに社会保障費を増やし、不要不急の層にまで適用範囲を拡大していけば、国力は衰退し、国民の所得や納税額は減り、財政赤字はさらにひどくなる。選挙のたびに行われるバラマキは合法的買収であり、国を停滞させていく。

 サッチャー時代のイギリスに学びつつ、今日本に必要な施策を再考する必要がある。

 

人々の所得を増やしたレーガノミクス

 歴史上、「減税することで、むしろ税収が増えた」という事例がある。それが、アメリカにおける、いわゆる「レーガノミクス」である。1980年代のアメリカは現在の日本と似たような規模であった。経済状況も今の日本と同じく停滞していた。第二次石油危機の影響で、人々は消費を手控え、企業も設備投資を減らしていた。日本などの怒涛の経済成長に追いつかれつつあり、人々は自信を失っていた。

 そのような中登場したのがロナルド・レーガン大統領(在任1981~1989年)である。「米国経済は、戦後最悪の経済的混乱にある」として、いわゆる「レーガノミクス」という政策を発表した。

 その柱は、「(1)大規模な減税」「(2)規制緩和」「(3)軍事費拡大」「(4)大規模なインフラ投資」など。

 特に、減税は、例えば所得税は税率を3年間毎年10%ずつ引き下げるという大規模なものだった。その他にも、株の売買などにかかる税率、遺産税、法人税など、幅広い減税を行った。

 その結果、レーガン大統領在任中に、アメリカの実質GDPは27%も増えたのです。背景としては、個人も消費を大幅に増やし、企業も設備投資を積極的に行った。大規模な減税にも関わらず、税収は50%増えたのです。

 もちろん、経済成長は減税だけの効果ではない。レーガン政権は、規制緩和のために賃金や原油などの価格規制を緩和し、他にも「規制緩和作業部会」も設置した。インフラ投資や軍事費増強などとの相乗効果があったでしょうか。

 レーガノミクスは、人々の生活が豊かになることで、結果的に税収も増えた実例として参考になります。

 

松下幸之助氏が提唱した「無税国家論」は今も有効

 自民党は、予定通り2019年に消費税を10%に上げ、全世代型の社会保障に使うとしている。希望の党や立憲民主党は消費増税については先送りを主張しているが、希望の党は大企業の内部留保への課税、立憲民主党は所得税、相続税、金融課税などを代替財源として挙げる。幸福実現党は消費税を5%に減税し、法人税も10%台に引き下げるという。

 こうしてみると、トータルで減税を主張しているのは幸福実現党だけです。

 幸福の科学大川隆法総裁は「国家繁栄の条件」と題した講演を行い、増税が当然とされる風潮に疑問を呈した。

 総裁は、パナソニック(松下電器産業)の創業者、松下幸之助氏が生前、税金が要らない国家をつくるべきという「無税国家論」を提唱していたことに触れ、「会社のレベルで物事を考えてみたら、無借金経営が成立することはある。(松下氏は)無借金経営を目指して、そういう考え方をつくられた」として、考え方や構想力の大切さを説いた。

 会社が無借金経営を成し遂げるには、無駄なものにお金を使わず、成長しそうな事業に投資して手持ち資金を増やしていくことが原則である。とはいえ、名経営者でなければなかなかできるものではない。

 政治においても基本は同じです。現在、「政府の借金」は、約1100兆円に膨らんでいる。大川隆法総裁は「単なる人気取りとか、目先の利益のためにやって、実際は国のためになっていないものに撒いたものがやはり多かったということ」と、歴代の政権は、富を生まないことのために税金を使ったと指摘した。

 ただ、国家レベルの予算の使い道については大局に立った見方が必要です。国防予算は無駄であり、社会保障にまわすべきと主張する向きもあるが、総裁は「国防は自由貿易を守り、国民の生命、財産を守るためには非常に必要なもの」とし、長期的に富を生むと語った。

 

税収以上の予算について経営的視点を入れるべき

 富を生むものに投資すると同時に、支出を減らすことを考えなければ、無限に増税が必要となる。

 支出を減らす方法としては、年度ごとに予算を使いきるという「予算の単年度制」の見直しを提言。これが、必ずしも必要のない仕事に予算を消化するという悪弊を生んでいる。

 さらに、今の日本では税収以上の予算を組むことが当たり前の状況になっている。2016年度予算では、約58兆円の税収に対し、約97兆円もの予算が組まれた(補正前)。

 こうした状況について、大川隆法総裁は、「身の丈の倍ぐらい使っている状況が続いている。企業家の目でちゃんとチェックするべきだ」と提言した。

 では、支出を減らせるものには何があるか。現在、国家予算の大半は、社会保障費に使われている。国債費を除いた歳出の約45%が、年金、医療保険、介護保険の穴埋めや、その他の社会保障に消えている。

 もちろん、本当に働けない人たちを国家がサポートすることは大事なことである。とはいえ、社会保障の範囲は無限に拡大しており、今と同じレベルの保障を続けるためには、消費税を50%に上げたところで到底足りない。

 大川隆法総裁は、社会保障費を抑制するためのアイデアをさまざまに述べつつ、「税金を全部取られて、お上が(使い道を)決めてくれるよりは、自分でどういうふうに使うかを決められるほうが幸福だろうと思います」と、一定レベルの社会保障と引き換えに、重税国家の道を歩むことの間違いを指摘した。

 国家レベルにおいて、「無借金経営」や「無税国家」を実現することは簡単ではないことは確かだが、松下氏の考えを学んでいたはずの松下政経塾出身の国会議員の多くが増税を主張している現状を、泉下の松下氏は悲しんでいるに違いない。

 大川隆法総裁、「考えなければできないことを知るべき。国全体までいくかどうかは知らないが、ある程度のところまでできることは間違いない」と、減税路線を目指すことの大切さを訴えた。

 自民党は、消費税率10%への引き上げに伴う増収分などを財源とし、幼児教育の無償化や社会保障の充実など、全世代型社会保障に大きく舵を切ることを公約に掲げています。

 安倍晋三首相が掲げる経済政策のうち、最大の欠点は「分配」にしか頭にないところです。「富をつくりだす」という発想がないのです。

 本来、経済というものは生産から始まります。生産するからこそ、分配するものが出てくるわけです。

 安倍首相も社会主義者や福祉・社会保障論者もそうですが、「どうやって配るか」しか考えていない。しかし、配る前に「どうやったら配るものをつくれるか」を考えるのが資本主義精神です。

 根拠もなく「増税と経済成長は両立する」という考えがまかり通っています。

所得税・法人税は10%台をめざし、消費税は5%に戻す

相続税は廃止する

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