未来産業の方向性

 企業家にとって「この世に生きた証」は自らの事業を大企業に発展させることでしょうが、その究極の形は、その後何十年にもわたって人類を食べさせられる基幹産業を生み出すことです。

 現代の主要産業の多くは、19世紀後半から20世紀の初めにかけて生み出された。

 1870年代、トーマス・エジソンが発電機や白熱電灯を発明し、電気機械産業が誕生した。1880年代、カール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーがガソリンエンジンを乗せた自動車を初めて走らせ、自動車産業が始まった。

 今は日米欧ともに成長率の低いデフレ期の中にあるが、これらの新たな基幹産業が生まれた時代も、大デフレ期(グレートデプレッション)だった。その真っただ中で、「何か稼げる事業をつくらなければ」と奮起した企業家が次々と出現した。

 幸福の科学大川隆法総裁は『成功の方』で経済繁栄について以下の定義をしている。これは未来の基幹産業を構想するうえで大きなヒントとなる。

「人間というものを、『ある所から、この地上に生まれてきて、何十年かの有限の人生を送り、そして、地上を去っていくもの』というように考えるならば、『この地上生命に輝きがあるときである。地上生命のあるあいだに光が出ているときである』と言ってよいでしょう。また、『魂が非常に喜んでいるときである。『深い経験』という名の価値、『躍動に満ちた経験』という名の価値が、魂に刻印されるときである』とも言えるでしょう」

 本来、霊的存在である人間が地上に生まれ、魂としてどれだけ躍動した経験ができるか、ということが「経済繁栄」だと述べられた。

 19世紀後半、電灯が生活を明るく照らし、自動車で移動できる範囲が広がったことは、まさに人類に「躍動に満ちた経験」をもたらした。新しい基幹産業についても、この考え方の先にあると言ってよい。

 

2050年の人類に「躍動に満ちた経験」を用意する

 例えば、リニア新幹線で日本の主要都市が1時間程度で結ばれるならば、日本人はより密度の濃い経験ができる。関西から東京に通勤したりその逆をやったりする社会が目の前まできている。宇宙空間を利用した旅客機を開発できれば、東京-ニューヨーク間は2時間で結ばれるという。こうした交通革命による「時間短縮」が、人類全体の一生の持ち時間を何倍にもする。

 魂修行の経験を考えた時、人間の経済活動や住空間として、海洋開発や宇宙開発を進めることは、未来人類から見て必要なことです。

 人口約4500万人を抱える東京圏は世界で最も躍動的な都市だが、港区など中心部でも容積率はニューヨーク・マンハッタンの10分の1程度。高層ビルを建てる余裕はまだまだあり、さらに巨大都市へ大改造することは可能です。

「躍動に満ちた経験」の最たるものは、ニューヨークのように多様な人種・民族が混じり合って生きる経験だろう。「移民」と言うと、日本人には拒否感が強いが、「魂の経験」の視点から積極的な考え方を導き出すこともできる。

 2050年以降に人口100億人時代を迎えるということは、それだけ多くの魂が「現代に生まれ、人生経験を積みたい」と考えているということ。100億人がある程度豊かに生活できるためには、食糧増産革命やエネルギー革命がどうしても必要になるし、これらの人たちの生活を支えるたくさんの仕事も生み出しておかなければならない。

 2050年以降の人類に「魂として躍動に満ちた経験」を用意するということが、今の時代の企業家の使命でしょう。

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