時短 リニア新幹線の経済効果

 高速道路の整備や有料道路の無料化、航空機の活用も進め、地方と都市の交流を促す「交通革命」を起こせば、地方はまだまだ発展できる。キーワードは「時短」です。

 

リニアの経済効果は数値に換算できないほど膨大

 今後、リニアが開通して社会にどんな価値をもたらすのか。それはやはり時間の短縮です。出張で片道2時間半の東京~大阪間が1時間になれば、往復で3時間節約できます。しかもその人が高給取りで、月に何回も出張ということになれば、節約した時間が生み出す価値は非常に高くなる。

 また、東京~大阪圏内にオフィスがあれば、特に出張の予定を入れてなくても、会いたいと思ったときや、問題を今すぐ解決したいというときにパッと会えます。フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションがとれるということは、ビジネスにおいて極めて重要なことです。

 こうした需要は、どこまで伸びるか予測不可能で、金額や数値には換算できませんが、膨大な経済効果を生みます。

 もう一つ大きいのが、リニアと在来新幹線の2本立てによって、ビジネスと観光の棲み分けができることです。車内で仕事をしたいビジネスマンも、観光で会話を楽しみたい家族連れも、お互い不愉快な思いをしなくてすみます。運賃に1.5倍ぐらいの差をつければ、時間を大事にする人はリニアへ、それほど急がない人は新幹線という形になるでしょう。

 

移動時間が短くなると人が会う機会は増えていく

 リニアができると、国内の航空路線にも再編が起きると思います。基本的に、リニアや鉄道では行けない地域をつなぐ交通手段としての役割が高まる。それに伴い、東京や大阪は、そこから他の地域に飛行機で移動する人たちの通過交通の需要が増えると思います。

 また、JALが破綻した要因の一つに、乗客の少ない路線に大型のジャンボを入れ過ぎたことが挙げられますが、たとえば、1日2~3便しか飛ばない使い勝手の悪い大型機よりも、50~60人乗りのコミューターなどの小型機で1時間に1便ぐらいのペースで飛ばした方が利用者は喜びます。航空機は比較的少人数の輸送に適していて、リニアや鉄道では行けないところ、時間がかかるところに向けて頻繁に飛ばせばよいと思います。

 このように、リニアが与える社会的なインパクトは大きいのですが、「リニアができて便利になると、東京の人が大阪に出張した時に宿泊しなくなったりして、逆に地方経済は衰退する」と懸念する人もいるでしょう。

 明治時代に東京~大阪間が19時間もかかり、日帰りなどできなかった時代と、新幹線が開通して日帰りができるようになった現代を比べて大阪の街は廃れたかというと、決してそんなことはない。明らかに発展しています。

 何事も引き算で考える人は、移動時間が短くなると人と人が会う機会は減るのではなく、逆に増えるという点を見落としています。そこに新しい需要も生まれてくる。都市と鉄道を発達させた日本文明は、これからも世界最強であり続けるでしょう。  

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