『新約聖書』について

 主にキリスト教の聖典である『新約聖書』についてですが、「福音書」「使徒言行録」「ヨハネ黙示録」などの言葉を聞いたことはあっても、その内容は知らない人も多いのではないでしょうか。

 新約聖書は27の書から成り立っており、イエス死後1世紀のキリスト教について書かれています。

 内容は、大きく分けて、「福音書」「使徒言行録」「弟子たちの手紙」「ヨハネ黙示録」の4つです。

(1)「福音書」

 「福音書」は、イエスの生涯、教え、死、そして復活を描いた4つの説話で構成されています。 

 その内容について、キリスト教徒は、「十字架にかかったイエスが人類の罪を背負って処刑された救世主であることを伝える”イイシラセ”」だと考えています。

 これが、キリスト教と、ユダヤ教・イスラム教の宗教的解釈が大きく異なる点です。キリスト教がイエスを「神の子」「救世主」だと信仰していることに対して、ユダヤ教・イスラム教は、イエスを「預言者」の一人にすぎないとして扱っています。

(2)「使徒言行録」

 イエスの弟子や、初期の教会の様子を描写したものが「使徒言行録」です。これは、イエスの生涯や死の説明から始まり、復活の後、教会で祈っていた信者120人の前に聖霊が降り立ったという、「ペンテコステ」と呼ばれるエピソードなどが書かれています。

 イエスの死後、エルサレムで広がったキリスト教は、ユダヤ教によって排斥されるようになります。しかし、使徒ペテロやパウロの働きによって、キリスト教はユダヤ人以外の民族やローマ帝国へと広がりました。「使徒言行録」では、そんな様子がよくわかります。

(3)「弟子たちの手紙」

 『新約聖書』には、イエスの弟子たちが書いた21の手紙も紹介されています。これらは、神の意思が込められており、聖なる手紙であるとされています。

 これらの手紙は、地域の教会や、キリスト教徒たちが直面している問題に対する助言、ユダヤ教や他の民族との関係、教会の教義や指導方針などに関するやりとりを記すものです。

(4)「ヨハネ黙示録」

 数多い教義の中でも、特に謎に包まれているのが「ヨハネ黙示録」です。そもそも、ヨハネが一体誰なのかさえ分かっておらず、現在も議論の対象となっています。

 黙示録の内容でも、「大淫婦バビロンや赤い竜などの悪が競いたった後、イエスが再臨する」といった記述が存在しており、これに対する解釈も多種多様です。「歴史の大きな流れを描写している」と言う者、「まだ起こっていない未来を予言している」と言う者、そして、「信仰の道を歩む者の中における善と悪の戦いだ」と解釈する者もいます。

 

 中東の紛争に特に関係があるのは、イエスに対する各教の見解です。ユダヤ教やイスラム教はイエスを救世主とは認めておらず、キリスト教やユダヤ教も、イスラム教を認めていません。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の対立を鎮めるには、それぞれの預言者や救世主が聞いた神の声に、今一度耳を傾ける必要があります。

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