パワハラの例・トラブルの解決事例

 パワハラの言動としては、具体的には以下のようなことが考えられます。

・業務に関連して、指導の域を超えた暴力行為
 遅刻してきた部下に対して暴力を振るう。  

・容姿に関する中傷的言葉等罵詈雑言を不必要に言い続ける。

・飲み会への参加、飲酒を強要する
 就業時間以外の行動を束縛することも、飲酒を強要することも仕事上の権限を超えた不当な権力行使に当たります。誘いを断った時に不利な扱いを受けた場合も同様です

・意味も無く仲間はずれにして、業務の必要事項を伝達しない。
 話し掛けても無視すること。

・ミスもないのに仕事を与えない
 仕事場から強制退去されられたり、窓際に机を追いやるなどして仕事を与えない。  

・残業を強要する

 時間内ではとても終わりそうにないような仕事を押し付ける。
 サービス残業を強制的に行わせる。
 いつも命令している立場にある人はこれを忘れがちになり、人間性を否定するような言動があったり、仕事上の権限を超えて命令をしたりする場合があります。これがパワーハラスメントの原因になる事が多い。

・必要以上にミスを追及する
 些細なミスであるにも関わらず必要以上に怒鳴りつける。
 公衆の面前で指摘を繰り返す。 

・仕事の成績が悪いと「仕事ができない奴は死んでしまえ」などど罵倒する。

・リストラの手段として、仲間はずれにしたり、雑用ばかりをさせる。

・目標管理制度の中で達成不可能な目標をたてさせる。
 ノルマを達成しない場合に、「お前バカか。会社なんか辞めてしまえ」と、徹底的に部下を精神的に追い詰める。

 ・クビ(解雇)にするぞ!と脅す。
 解雇とは言わないまでも、「この仕事、君には向いていないんじゃない?」「転職を考えた方がいいよ」などと、転職・退職を促すような発言もパワーハラスメントになる可能性が高い。

 

 以下に、各都道府県労働局紛争調整委員会のあっせんによる労働トラブルの典型的な解決事例を一部紹介します。

申 請 内 容

結果

・所属長が代わった途端、所属長からいじめ嫌がらせを受け、それを本社に相談したが、対応策を採らず、終いには雇い止めされたが、納得できず、経済的精神的損害に対する補償金として80万円の支払いを求めた。

解決金20万円

・前支店長が勤務していた2年間に営業に出してもらえないなど、いじめ嫌がらせを受けうつ病になった。また、営業成績が上がらないことを理由に退職勧奨を受けている。慰謝料の支払い、又は契約延長を望む。

2年間契約延長

・アルバイト労働者として雇入れられ、レジ係の業務に従事していたが、主任からいじめ・嫌がらせを受けるようになった。そのため店長へ相談するも、何らの対応もとってもらえなかったことから、益々、精神的に追いこまれ、遂には勤務を続けることができなくなり、やむを得ず退職した。経済的、精神的損害に対する補償を求める。

解決金○万円

・Aさんは外資系の会社に勤めていた30代の女性。入社後の10年間に、企業合併等で組織が再三変更され担当業務が外注されたことから、十分な知識のないサービス商品の営業を担当させられるようになった。  何回かの試験的な営業活動の後で担当を外されると、毎日のように上司から商品知識やマナーについてのペーパーテスト等を課せられて厳しい評価を下される一方で、「自分の将来をよく考えるように。」との勧奨が繰り返された。  Aさん自身も営業には向いていないと感じ、会社都合退職の扱いでの金銭補償、再就職支援等についての会社側の条件案の提示を求めたが、会社側はそれに応じないだけでなく、上司が、Aさんの学歴や吸収合併されてしまったAさんの出身会社を馬鹿にした発言をするなどしたので、自分のキャリアや人格をすっかり否定されたように感じてしまった。

合併時の早期退職者と同等の、特別な好条件による補償で退職

・パートとして勤務しているが、倉庫保管の商品位置を教えてくれない、商品の加工方法を教えてくれない、ゴミ処理について自分だけに行わせる等複数の同僚からいじめと嫌がらせを受けていた。上司に状況を説明し改善を申入れたが、一向に改善されず、嫌がらせはエスカレートしたため、やむなく退職した。精神的苦痛に対する賠償として7万円(1ヵ月分賃金額)の支払いを求める。

 

事業主は、紛争の解決金として65,000円を支払う

・申請人は、小売店の販売員として就労していた。本年2月、売上金を精算したところ不足金が生じていた。どうして不足したのかわからなかったが、上司から「申請人が盗んだ」と言われ、犯人扱いされた。証拠もないのにそのような言葉を発した上司が許せない。精神的に傷つき、身体の調子も悪い。1月分の賃金相当額を請求してあっせんを申請した。

1月分の賃金相当額を支払う

・営業社員十数名の中で、営業事務員は自分1人で、自分1人でこなせる仕事量を超えているにもかかわらず、一部の営業社員、上司の仕事の強要や罵声を浴びせられたり、事実でないことでの中傷を受けるなどのいじめにより体調を壊し、出社することに恐怖をいだいている。会社に改善を求めたが一向に改善されないので、会社都合による退職を認め、精神的に立ち直り社会復帰できるまでの生活費、慰謝料の支払いを求めあっせんを申請。(不動産業)

和解金として100万円を支払い退職

・1ヵ月正社員として勤務したが、連日深夜に及ぶ超過勤務をさせられ健康被害を懸念して退職を申し出たところ了承されたが、その後、出社の督促、賃金減額を仄めかすなどの嫌がらせを受け精神的にも追い込まれたことについて、慰謝料を求めてあっせんを申請した。(広告代理店)

35万円の解決金

・申請人は、営業課長と営業に出かけることが多かったが、課長は何かにつけ、申請人につらく当たり、仕事上のトラブルを全て申請人の責任として会社に報告するなどの嫌がらせが続いていた。ある日、営業課長と得意先周りをしていたところ、対応が悪いと理由も説明もせず頭部を殴打された。申請人は会社にそのことを報告したが、上司に対し注意を行なう等もせず、放置された。この一週間後、申請人は支社長に呼び出され、営業課長等に取り囲まれ、「客からクレームがきているので、始末書を書け。書くまで帰さない。」と威圧的に言われ、クレーム内容の説明もないまま、「客からクレームを受けましたが、以後このようなことのないよう職務に専念します。再度クレームを受けるようなことをしたときには、私の処分を会社に一任します。」という旨の始末書を書かされた。  会社は、営業課長の報告をうのみにし、申請人を退職させようとしているが、本人は退職の意思はなく、(1)暴行について上司本人が謝罪し、会社は上司の管理責任を認めること、(2)始末書を書かせた理由を明確にすることを求めてあっせん申請を行なった。

(1)会社が、申請人の上司が申請人に行なった行為について監督責任を認め謝罪文を提出すること、 (2)申請人が書いた始末書を破棄する

・申請人Aは、従来から上司から疎まれていることを感じていたところ、会社内で当日の売上金が合わないことについてレジを担当していたことから疑いをもたれた。Aは、疑いをもたれたことに精神的負担を感じ、出勤することができなくなったとして、会社内における名誉の回復、謝罪及び補償金の支払いを求めてあっせん申請を行った。

謝罪と解決金

・申請人は事務職員として勤務していたものであるが、決済業務について、過去には問題なくとおっていたものが、特定の上司から繰り返し必要以上に激しく叱責を受けたり、指示事項をメモしていたところ「紙が無駄になった。」等とげのある口調で言われる等個人的な嫌がらせとしか思えない行為を受けた。  

申請人は会社にこれらのことを相談したが対応してくれなかったとして、謝罪を求めた。

謝罪

・在職中に支店長から大きな声を上げられるなどの精神的苦痛を受け医師から「心的外傷」と診断されながらも勤務を続けていたが、遂に我慢出来なくなり先月やむを得ず退職した。 経済的、精神的損害に対する補償として、12ヵ月分の賃金相当額の支払いを求めたい。

退職金の名目で5ヵ月分の賃金相当額