低下する中学生の読解力

 中学生の読解力が低下していることが、国立情報学研究所の調査で明らかになった。教科書や新聞記事などを題材につくられた問題で、文章の構造や理解力を測った。中高生約2万人を対象に分析を行った結果、「主語がわからない」「推論や2つの文章の違いが理解できない」など、中学3年生の25%が教科書レベルの基本的な読解力を身に付けていないことが分かった。

 調査を行った同研究所の新井紀子教授は、「読解力が低く教科書が読めないと、自力で新しい知識を得ることができない。運転免許など資格も取得できず、社会生活に支障が生じる」と語られた。 

 内閣府が2016年に行った「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、中学生のスマホ所有率は51.7%で半数を超え、中学生のスマホの平均使用時間は約2時間であった。これは、睡眠時間や通学・部活動などを含めた学校での時間を除けば、1日のかなりの時間をスマホに費やしていることを示す。同調査では、睡眠不足や学校成績の低下などの弊害も浮き彫りになっている。

 小論文を書く実験では、スマホを普段から頻繁に利用するスマホ派の学生は、そうでない読書派の学生に比べて文章力に難があった。スマホ派は、誤字・脱字、論理の飛躍も多く、読書派は、結論と論点が明確で独創性のある文章を書いたという。

 スマホで見るインターネット上のブログやSNSの言葉や文章は省略されがちで、感覚的なものが多い。また、ラインなどの特定のコミュニティ内でのやり取りは、正確な文法や論理性がなくても通じる。しかし、そのやり取りに慣れてしまうと、仲間以外の人に自分の考えや思いを伝える力、相手の言葉を理解する力が衰えてしまうのではないでしょうか。

参考

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