アメリカの占領政策

GHQは日本人の心を徹底して占領した

 戦後、アメリカが行った占領政策は、現代日本の思想や言論、教育にマイナスの影響を与え続けている。では、アメリカはどのような考えのもと、何を行ったのでしょうか。

 GHQによる日本の占領政策は、誤った日本人観に基づいて行われました。その政策の源流には、アメリカのホルトムという神道学者がおります。彼は神道と「軍国主義」を混同しました。その流れを引く社会人類学者ゴーラーも、「日本人は、伝統的な教育の中で、幼い頃、非常に厳しく用便のしつけをされ、そのトラウマで集団的な強迫神経症となっている」といった極端な仮説を唱えています。

 

占領政策の根源には文明を逆行させたアメリカの聖戦論がある

 こうした懲罰的な占領政策が行われたのは、アメリカに文明に逆行する発想があるからです。

 西洋には、「敵国の宗教と道徳には干渉しない」という伝統があります。これは、17世紀、神聖ローマ帝国内での30年戦争の凄惨な結末から生まれました。この反省を踏まえて、1648年にウェストファリア条約が締結されてから、第1次大戦までの約250年の戦争は兵士同士が戦う決闘のようなものでした。

 ところが、アメリカは、「われわれのみが正しい」という十字軍なみの聖戦論で、「敵が悪魔なら、殲滅戦や懲罰的な占領を行っても構わない」という中世の野蛮な状態へと文明を逆行させたのです。原爆投下も懲罰的な占領政策も、このような考え方に基づいています。

 

反日宣伝のプロが戦後の教育改革を主導した

 日本を誤解した反日宣伝のプロが日本の教育改革を主導してきました。

 彼らは、日本人には「本性に根差す軍国主義」があると誤解していたので、日本の軍備だけを一時的に撤廃しても、日本人の精神や伝統を根こそぎにしなければ、また、軍事的な脅威になると考えました。

 そのため、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、「日本人に戦争犯罪の意識を刷り込む情報宣伝計画」によって、日本の伝統的な精神を破壊しようとしたのです。

 

反日日本人を育て内部崩壊させる

 GHQは反日的な日本人を利用しました。例えば、当時占領政策に反する出版物がないかをチェックする検閲が行われました。GHQは、それを高給で雇った5千人の日本人に担当させました。その日本人たちが、戦後の言論界、学会、教育界の核になっていったそうです。

 GHQは、反日プロパガンダに使える日本人を育て、自分たちがいなくなった後も、日本人自身が「占領政策」を拡大再生産し自己崩壊するよう仕向けたわけです。

 また、戦後に教師たちが徹底的に読まされた、『新教育指針』という指導マニュアルがあります。その序論には、「日本があやまちをおかしたのは、日本人の物の考え方そのものに多くの弱点があるからである」と明記されています。戦後教育は精神的な自己否定から始まったのです。

 マスコミも同様です。敗戦が決まった8月15日、今では反日の主張が強い朝日新聞に、「玉砂利握りしめつつ宮城を拝し、ただ涙」と題された愛国的な記事が載ったとのこと。朝日の記者が御所の前で涙を流し、「天皇陛下に申し訳ありません」と叫んだきり、声が出なかった、という内容です。しかし、その1ヵ月後、朝日は発行停止になりました。その後、彼らは発行停止にならないよう、「GHQの目」で記事を書くようになりました。最初は意識していたでしょうが、次第に習い性となって無意識でもその視点で書くようになりました。首相が靖国参拝するだけで、国内のマスコミが批判するのはそのためなのです。

 

アメリカの占領政策

 GHQは、約7年にわたる日本占領政策で、国家の根本である宗教、軍事、経済を徹底的につぶそうとしました。その中心となったのが、日本人に戦争に対する罪の意識を植え付ける「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」と呼ばれる計画です。

1 「日本は悪い国」と思わせる

 GHQは「日本は悪い国」という意識を徹底して植え付けました。それが、戦前の日本は軍国主義の侵略国家だという「太平洋戦争史観」です。有色人種として初めて近代化に成功し、人種差別に基づく欧米の植民地支配からアジアを解放したという日本の歴史的偉業は、子供たちに教えられなくなりました。

2 占領のための憲法を制定

 「日本は侵略国家」という考えに基づき、GHQが10日あまりで作った草案をもとに、日本国憲法ができます。軍隊の保持と交戦を禁じる憲法9条は、アメリカの植民地だったフィリピンの旧憲法に同じ趣旨の条文があるように、占領のためのものでした。

3 国家神道を否定

 GHQは、資源もない日本が近代戦を戦えた強さの根源に「神道」があると考え、「神道指令」により国家神道を否定します。これに伴い、憲法で皇族の範囲が限定され(第14条)、現在天皇制は存続の危機を迎えています。政教分離原則(第20条)もこの一環です。

4 愛国心を教えない教育

 GHQは、国に忠誠を誓う行為、つまり、日の丸の掲揚と君が代の斉唱を禁止しました。また、「教職員追放令」を出して、愛国心を教えていた教職員12万人を追放。その後を埋めたのが反日の教師たちでした。さらに、「親を大事にせよ」「身を謹んで学業に励め」などを教えていた「教育勅語」も廃止。愛国心や道徳が教えられなくなったのです。

5 公職追放と言論統制

 戦争協力者を排除する名目で「公職追放令」を出し、20万人以上の職を奪いました。後に首相になる石橋湛山や松下幸之助も追放されました。これにより、共産主義者たちが各界に入り込み、教育・マスコミ界が左翼一色になりました。また、GHQは、非常に厳しい言論統制を行い、戦前・戦中の日本を肯定したり、連合国側の批判をすることを禁じました。

6 財閥解体などで社会主義化

 「財閥がつくった経済的基盤が日本の強さを支えていた」と考えたGHQは、「財閥解体」を行います。また、農地改革や労働組合をつくれという指令も出しました。金持ちを攻撃し、労働者を団結させる社会主義政策を民主化の名の下に行ったのです。

 GHQの占領政策とは、「日本を二度とアメリカに歯向かわない国にすること」を目指した報復だったのです。一つの民族の消滅を狙ったという意味で、占領政策は精神的ホロコーストだったと言えるでしょう。

その結果

 日本は愛国心と軍事力を失い弱体化しました。

 GHQが日本の伝統である「神道」を否定したため、日本は内部から弱体化しています。

 民主主義を成り立たせる要件は、愛国心と軍事力です。GHQは「日本は悪い国」という意識を植え付け、愛国心を奪いました。また、「軍事=侵略」というイメージから軍事アレルギーが蔓延し、現在の国防の危機を招いています。

 

 結果的に、日本人の心は荒廃しました。例えば、親としての役割を果たせない親が増えています。背景には、三世代に及ぶ戦後教育の負の連鎖により、日本人が誇りや自信を失い、伝統的な道徳や精神を喪失してしまったことがあります。子育ての伝統や道徳が断絶し、子や孫の心が荒廃してしまったのです。

 日本の教育は根が枯れ、幹も腐りかけているので、対症療法的な制度改革では立て直せません。日本人の精神的基盤を取り戻す必要があります。

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