アメリカの大義を歪めた人種差別

 アメリカの側にも「大義」があって、アメリカが勝利したことで、大戦後、「アメリカの世紀」が訪れた。西側諸国は、アメリカが奉ずる自由と民主主義の旗印の下、経済発展していった。日本もその恩恵を受けた国の一つであった。

 ただ、アメリカの大義を歪めたのは人種差別であった。日本に対しては、1945年3月の東京大空襲で市街地を火の海にするため、わざわざ焼夷弾を使用し、一晩で市民10万人以上の命を奪った。8月にも広島、長崎に相次いで原子爆弾を落とし、それぞれ11万人、7万人の市民を殺害した。

 この3つの事案だけで、民間人の虐殺は30万人近くに及び、沖縄戦なども加えると死者はさらに増える。

 アメリカは、こうした虐殺行為を正当化するために、東京裁判を行い、実際には存在しない「南京大虐殺」などを創り出し、「ファシズム体制の日本は悪い国だった」と世界に向けて喧伝した。

 だが、東京裁判で被告人全員の無罪を主張したインドのパール判事は、1952年、広島で行った講演でアメリカを以下のように批判している。

「広島、長崎に投下された原爆の口実は何であったか。日本は投下される何の理由があったか。当時すでに日本はソ連を通じて降伏の意思表示をしていたではないか。それにもかかわらず、この残虐な爆弾を実験として広島に投下した。同じ白人同士のドイツにではなくて日本にである。そこに人種的偏見はなかったか。しかも、この惨劇については、いまだ彼らの口から懺悔の言葉を聞いていない。彼らの手はまだ清められていない。こんな状態でどうして彼らと平和を語ることができるか。」

 アメリカは、人種差別思想を背景に、もう一つの大きな過ちを犯した。当時、ソ連が世界に広げようとしていた共産主義革命を放置・拡散させたことである。

 1922年に誕生したソビエト連邦では、共産党の独裁体制の下で、国民の自由が奪われ、粛清に次ぐ粛清で、数千万と言われる死者を出した。先の大戦で、アメリカはソ連と手を組んで日本をはさみ撃ちし、戦争は終結。アメリカが日本を占領した。

 しかし、戦後、米ソ冷戦が始まり、中国は共産化した。これを見れば、アメリカが判断を誤ったことは明らかである。戦前から日本が対峙したソ連や中国の共産勢力に対し、戦後はアメリカが代わりに軍事的に対決せざるを得なくなった。

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