一般相対性理論

 アインシュタインは、重力の働き方、重力場を計算する方程式、アインシュタイン方程式を作り上げました。

 これは、拡張された相対性理論の中核をなすものです。この方程式は、ほとんどがアインシュタインの美的感覚と信念からくる直感によって作られたものです。「宇宙はこのように出来ていなければならない」という発想から生まれたものといって良いでしょう。

 1916年、アインシュタインは画期的は理論を発表します。「一般相対性理論」です。

 まず、アインシュタインは、「落下するエレベーターの中で光は曲がる」という思考実験をした。次に、加速と重力は同じ空間条件だということを考える。車が加速する時に感じるGは重力である。エレベーターが落下するときに感じるフワッとした感じはGの減少。「加速する空間で光が曲がるなら、重力のある空間で光は曲がる。」という結論を導きだす。これを宇宙レベルにあてはめ、大きな質量を持った地球があることによって空間が歪められて、この曲がりの淵に沿って月は回ると考える。

 例えば、平らなスポンジのマットがあったとする。これがニュートン絶対空間である。その上に地球に見立てた重いボーリングの球を乗せたらどうなるか。丸く凹みます。その窪みが空間のゆがみである。そして、月はその淵に沿って回っている。月自身の質量と窪みに落ち込む力と遠心力のバランスがとれて、月は落ちてこないし、飛んでいかない。

 アインシュタインの理論は、電磁波も光もエーテルによって伝達される波だとされていた物理学をひっくりかえした。もちろん、旧来の電磁気学の式も書きかえなくてはならなくなった。そして、マックスウェルの方程式を全面的に書き換えた。それがあの有名な「E=mc」となる。

 これまで、エネルギーと質量は全く別の物と考えられていたのが、実は同じ物だったという。従来の物質観を全く打ち砕くような式となった。このエネルギー観がなければ、核のエネルギーは考えもつかなかった。

 質量の重い物ほどエネルギーを取り出せる。例えば、核爆弾を使うときにウランを使う。

 

重力の影響を加味

 すなわち、重力の影響や加速・減速を加味した重力理論が「一般相対性理論」です。

 重力も時間を遅らせる原因となるという訳です。重力は地球の中心から離れるほど弱くなるので、エベレスト山頂にある時計に比べて、地上にある時計はごくわずかですが、ゆっくり進むというものです。また、重力は、時間を遅らせると同時に、空間(光)を曲げる原因になり、重力が大きければ大きい程、曲がり具合も大きくなり、一定以上重力が大きくなると、光さえも吸い込まれる空間の歪み、いわゆる「ブラックホール」が出来ます。

 強力な重力を持つブラックホールの境界面にある宇宙船やその中にある時計は、その当事者にとっては、いつもと同じスピードで動いているのですが、それを充分離れた場所から観察すると、宇宙船もその中の時計も止まってみえます。

 時間の進み方の遅い早いというのは、あくまで二つ以上の場所の比較によって相対的に認識されるという訳です。

 

一般相対性理論と重力

 ボールを手に取り、落としてみると、ボールは真っ直ぐ足下に落ちます。落ちる速度を測り、ボールが1秒に9.8メートル加速することを割り出します。この加速度は地球上での重力加速度と全く同じです。

 けれども、宇宙のど真ん中の宇宙船でも加速度は同じになり、全く同じ結果になることがあり得ます。さて、あなたはどこにいるのでしょうか。

 1911年、アインシュタインは、重力質量(重力場を作り出すもの)と慣性質量(加速度に抵抗するもの)は同一であるという説を公式に発表し、この説は「等価原理」として知られるようになりました。この原理によれば、重力場(たとえば地球上など)にいるのか、常に加速度(宇宙船が加速する時に床に押し付ける力のことで、ジェットコースターに乗った時のGフォースと似たようなもの)を体験しているのか、区別することはできないのです。

 もうひとつの例は、かの有名な「嘔吐彗星」(「ウェイトレス・ワンダー」)です。これは、NASAのトレーニング用の実験用航空機で、ハリウッド映画の撮影に使用されることもあります。自由落下と宇宙の真ん中などの重力場のない状態にあることの違いを区別することはできません。

 この原理から、アインシュタインは将来一般相対性理論となる、相対性理論の枠組みに重力を取り入れることを考えるようになりました。

 ここまでは、個別の物体の特性は方程式を用いて正確に説明することができました。しかし、重力に関してはどうしたらよいのでしょうか。どのようにして、加速度が重力にも速さの変化にもなり得る組織の特性を推定するのでしょうか。答えは この問題をどのように見るかにかかっています。

 これが「基準系」という考え方に結びつきました。基準系とは、見ている物体がそれぞれの役割を演じる舞台です。もちろん、物体が違う風に動く別の系が存在しているわけですから、我々はすべての系の説明と それらすべてを語る術が必要です。

 アインシュタインは、相対性理論を一般的な状況においても使えるように理論を拡張、発展させた。発展させる前の相対性理論と区別するために、重力の理論を組み込んで一般的に使えるようになったものを「一般相対性理論」、以前の特殊な状況でしか使えなかったものを「特殊相対性理論」と呼ぶようになったわけです。

 一般相対性理論によれば、重力は空間を歪めるため、この歪みに沿って光も曲がります。とは言え、この効果はとても小さく、太陽のようなとても質量のある物体でなければこの効果は観測できないと考えました。

 太陽のような大きな天体であれば、太陽の近くを通る星の位置はずれて見えると考えたのです(「重力レンズ効果」)。しかし、太陽はとても明るい天体のため、そんな星の光はあっても見る事が出来ません。なので、皆既日食に合わせてこの実験は行われることになり、実際に星の位置はずれて見えたため、一般相対性理論は実際に理論として証明されました。

 

 一般相対論においては、重力が重要な役割を果たすわけだが、重力質量と慣性質量は比例し、重力系と加速系とは同等に取り扱わなければならない。重力場と加速度運動を識別することはできず、空間のある一点での重力と加速度運動の効果とは等価であるという「等価原理」から、数学的理論によって三つの重要な結論を導き、これらの結論が実験的に証明されている。
 一般相対性理論による惑星の軌道の方程式は、ニュートンの方程式とはわずかの違いがある。惑星の軌道は楕円ではあるが、それは定常的な楕円軌道ではなくて、軌道それ自体が回転しているのである。水星の近日点(軌道の太陽にもっとも近い点)の移動は、ニュートン力学では解明できず、一般相対論によって初めて説明された。この回転は非常に小さく、たとえば、地球の軌道は 100年ごとに3.8秒(90度の10万分の1)の割で回転しているにすぎない。したがって、近似的には ほとんど定常的楕円軌道とみなしてもよい。ニュートンの法則は近似としては正しいのである。

 光の進行は、大きな質量による重力場によって曲げられる。光子の静止質量はゼロであるが、エネルギーを持っており、エネルギーと質量は等価であるから、運動している光子は質量をもつと考えられており、加速度運動が光線に与える効果と同じ効果を重力場が光子に与えるのである。光線の通る道によって空間における直線が決定されるとするなら、近くに来ると、光線はその質量の方に曲げられるので、空間自体が曲げられていると考えられる。重力とは、一面において空間の歪みの表現であり、その歪みは物質の存在として観測される。重力、空間の歪み、物質の、三者が関連するものが重力場である。こうして、宇宙の空間は、物体や物体の相互作用から切り離された絶対的な意味をもつものではない。光線は星と星との空間では直線的に進むが、星のそばを通過するときは曲げられる。

 また、重力をもった質量は、時間の進行にもある効果をおよぼす。強力な重力場は、時間経過を遅くするのである。小さな質量の上より大きな質量の上の方が、時間がゆっくり経過する。たとえば、太陽での1秒は地球での1.000002秒に相当するし、超新星のように極めて重力の大きな天体では、時間の進み方がもっと大きく遅れている。しかし、十分に強い重力や加速度が与えられないかぎり、この相対論的効果は微々たるものである。重力による空間や時間の曲率は、天文学的規模の強い重力場や加速度場のなかでは大きくなるが、われわれの経験する通常の世界では、観測できるほどには大きくはない。

 ところで、一般相対論は、ある意味で常識に反するが、その検証として、次のような実験結果が得られている。

1 日食時の観測によって、太陽近傍での光の湾曲が一般相対論の予言と一致することが検証され、現在では重力レンズ効果としてよく知られている。

2 水星の近日点の移動が、ニュートン理論による計算より1世紀に43秒ずれるが、一般相対論はこのズレを予言する。

3 時計の遅れが、ハーバード大学の塔での実験や、世界一周する飛行機に乗せた時計の遅れ進みが原子時計での測定で検証され、一般相対論の予言とよく一致する結果が得られている。

 

空間が曲がる  

 相対性理論によれば、太陽は周囲の空間を曲げることで地球を今の軌道に縛り付けている。しかし、一体どうすれば空間自体が曲がるのでしょうか? 空間は、定義上、その中で動きが発生するものとされる。ゆえに、空間が曲がるには別の空間が必要となり、また、その空間も曲がるための空間が必要といった具合に、際限なく続くことになる。もし、物質が無の空間に存在するのならば、その無が移動する(曲がる)ことは不可能である。

 ところで、空間にある真空が近づけられた2枚の板に圧力をかける現象を「カシミール効果」という。現代物理学では、どこからともなく飛び出した仮想粒子がこの原因であるとするが、量子論的実在論においては、空間は膨大な情報処理で充満しており、これが「カシミール効果」と同様の結果を生み出す。

 

 1905 年の理論では、加速度運動する状態が扱えませんでした。そこで、加速度運動をどう含めるか苦心します。例えば、重力による自由落下は加速度運動です。アインシュタインは、1912年のある日、自由落下するエレベーターの中では重力を感じないことに思い当たります。エレベーター内の狭い空間にいる人は、自分も同じ加速で落下しているため、無重量状態と感じるでしょう。宇宙ステーション内で、宇宙飛行士が ぷかぷか 浮いているのと同じ状態です。このことは、『重力場での実験と加速度運動する系での実験は区別できない』ことを意味しています。これを「等価原理」といいます。重力は狭い空間では消去できますが、星スケールの大域的には消去できません。そこで、アインシュタインは重力の正体を空間の幾何学に追求する作戦に挑みます。当時できあがっていた曲がった空間の幾何学(リーマン幾何学)を物理法則に適用したのです。拠り所としたのは、考えられ得る方程式で最もシンプルであること、そして、弱い重力の場合に既知のニュートン力学に帰着する理論であることの2つでした。こうして導かれた一般相対性理論は、『重力の正体は時空のゆがみである』とする理論となりました。できあがった理論を太陽系に適用すると、当時ニュートン力学では説明できなかった「水星の近日点移動」(水星だけは閉じた楕円を描かないで太陽を周回している)の問題が、定量的に解決することがわかりました

 

等価原理

 一般相対性理論の土台となっているのが「等価原理」です。例えば、電車の中で立っていると走り出しと停止時にバランスを崩すことがありますが、このときに受ける力を「慣性力」といいます。ニュートンはこれを「見かけの力」としていましたが、アインシュタインはこれを実在する力と捉え、「慣性力と重力は同じ」と仮定したのです。

 等価原理に基づく一般相対性理論では、質量をもつすべての物体は周りの空間を曲げると考えられます。重力とは、このような空間の曲がりが引き起こす現象であり、重力が強い場所ほど時間の流れが遅くなるとされています。さらには、光を飲み込むほど重力が強い「ブラックホール」の境界では、時間が止まってしまうと予言しているのです。

 相対性理論においては、時間と空間がともに伸縮したり曲がったりするため、それらを一体とみなして、「時空」という概念が生み出されました。アインシュタインが提唱した相対性理論は、宇宙の誕生や成り立ちの謎にもせまる理論として発展し、依然としてその輝きを失っていないのです。

 

 ニュートンは、宇宙に存在する物体には重力と呼ばれる互いに引き合う力が働いていることを発見し、2つの物体の間に働く重力が物体の間の距離と物体の質量で決まることを万有引力の法則で示しました。この法則によって、人類は重力の影響を定量的に知る手段を手に入れました。

 ロケットを打ち上げ、気象衛星などで地球環境を知り、国際宇宙ステーションを建造し、さらに未知の宇宙を探る科学探査機を飛ばすなど、人類が進めている宇宙開発を支える科学技術には、このニュートンが発見した重力の理論が基本にあります。このようなニュートンの重力理論に対して、一般相対性理論、つまり、アインシュタインの重力理論は何をもたらしたのでしょうか? どちらも重力理論と呼ばれていますが、強い重力の世界ではアインシュタインの重力理論しか使えないことが判明しています。

 アインシュタインの重力理論の特徴は、重力の効果が周りの空間の歪みとして捉えられている点です。正確には「時空」と呼ぶべきです。アインシュタインの重力理論が一般相対性理論と呼ばれる理由には、この理論が1905年に発表された特殊相対性理論を発展させて誕生した理論でもあるからです。

一般相対性理論では、重力の効果が時空の歪みで捉えられている。この時間と空間をひとつにまとめた「時空」と言う世界の見方こそ、特殊相対性理論でアインシュタインが発見した成果なのです。

 私たちは宇宙を時間と空間が広がった世界だと考えています。そこで生ずる自然現象を理解するとき、空間に占める位置、原因と結果を区別する時間の流れを意識します。その際、時間と空間が織りなす世界は、自然現象とは独立して存在していると考えています。この常識とも言える世界の見方を変えたのが特殊相対性理論でした。特殊相対性理論で、アインシュタインは宇宙では光の速度は観測者に対して一定であると主張し、この関係が宇宙の何処でも成り立つとすると、もはや時間と空間は不変の存在ではなくなることを証明しました。時間と空間は時空と呼ぶべき一つの世界を生み出し、時空は伸びたり縮んだりする存在であることを理論的に示したのです。重力の効果を時空の歪みで捉える一般相対性理論は、特殊相対性理論で発見された時空の世界と重力の関係を捉えた理論になっているのです。

 宇宙には星や銀河など様々な天体が存在しています。その世界は時間や空間の広がりの中で観測されています。宇宙の天体には、ニュートンが発見したように互いに重力が働いています。宇宙全体を探るには時空と重力の関係を知る必要が不可欠です。一般相対性理論は、科学者に宇宙全体を探る理論を提供したとも言えます。宇宙がビッグバンによって138億年前に誕生し、現在も膨張を続けていると言われる現代の宇宙像は、一般相対性理論を使って宇宙を探求することから生まれました。

 重力波は、重力の効果で生まれる時空の歪みが波として宇宙を伝わるという一般相対性理論が予測している現象です。この理論の予測では、物体が生み出す重力は重力波として光の速度で時空を伝わると言うのです。ニュートンの重力理論では、重力は瞬間的に伝わるとしてきました。それが、アインシュタインの重力理論では光の速度で伝わります。これも二つの重力理論の大きな違いです。一般相対性理論が予測する多くの現象は、観測や実験で既に実証されています。しかし、重力波だけはまだ観測されていません。現在、世界中の科学者が重力波の観測に挑戦しています。

 

重いものの周りでは時間が遅く流れる

 私たちがこの効果を感じるのは、宇宙の巨大な星やブラックホールなど重いものの周りに限られます。

 また、重いものから離れると、時間は早く流れる。私たちは地球という重い星の上にいますので、「海の底」と「エベレストの頂上」では、地球から離れている「エベレストの頂上」の方が わずかだが時間が早く進んでいることになります。

 

重いものの周りでは空間が歪む

 天体級に重いものになると、空間を極端に曲げ、そこを通る光さえも曲げてしまうのです。

 

重さとエネルギーは同じものである

 光の速さに近いモノは重くなる。主に一般相対性理論では、この重力という力が非常にいろいろな面白い見方で解説されています。

 アインシュタインが発見した有名な法則に、次のような数式で表されるエネルギーの式があります。

  E = mc2

 これは「重さとエネルギーは同じものである」ということを示しています。

 わかりやすい例が核エネルギーです。核エネルギーは、「原子の重さを減らして、その時に出る余計な重さから取り出されるエネルギーです。

 重いモノは、エネルギーを持っていることがわかります。

 このモノが、自身のエネルギーによって周りの空間を歪ませることで、重力が発生しているというのが特殊相対性理論の内容の一部です。

 この重力(というかモノが持つ質量) によって、時間がゆっくり進んだり、空間が歪んだり、光の進路が曲がったりします。

 核融合反応や核分裂反応が生じる原理を説明します。太陽が燃えるのは、核融合反応で 水素がヘリウムに変化する際に放出されるエネルギーです。これは、水素爆弾の原理にもなっています。原子力発電や原子爆弾は、ウランが核分裂反 応を起こすときに放出されるエネルギーを利用するものです。アインシュタインが特殊相対性理論を発表したのは1905年でした。この年、アインシュタインは、ブラウン運動の振るまいから、水の分子が存在することを予言したり、光電効果(金属に光を当てると電子が飛び出す現象)の理解として、光の粒子説を提案してもいます。いずれも、その後の物理学を大きく書き 替える仕事であり、1905年を境にして、近代物理学から現代物理学へと新しい時代になったと歴史的に理解されております。

 

物は速く動くと重さが増える

 重い物質というのは、速度が出しづらいのは分かると思います。例えば、野球ボールを加速するのは そこそこ 簡単ですが、重い岩を時速100km とかで動かすのは苦労します。

 あるモノの速度をあげると、だんだんとそのモノの重さが重くなっていき、加速しにくくなるのです。

 加速して、重くなって、最終的にどうなるかというと、光速に限りなく近い速度になるところで重さは無限大になり、これ以上加速できないという状態になるわけです。

 このことが モノが光速を超えられない理由です。

 

一般相対性理論の帰結

 以下に一般相対性理論の帰結を示す。

光の湾曲

 エレベーターのかごが自由落下している。いまかご内で水平に光を発したとき、外からは水平に投げたボールのように光が曲がって見える(放物線を描く)。これは加速度運動によるものだが、等価原理により重力に変換できる。重力は光を曲げる。

 1919年、イギリスの天文学者エディントンらによって、太陽の重力により光が曲がり、太陽近傍の恒星が本来の位置からずれて観測された。  

 

時間の遅れ

 エレベーターのかご天井に光源を設置する。エレベーターが上向きに加速を始めたとき、天井から発した光に床が近づくため光が床に早く届いてしまう。実際は、光速度不変の原理により光が床に早く届くことは許されず、天井からみて床の時間が遅れる。これは加速度運動によるものだが、等価原理により重力に変換できる。つまり強い重力を受けるほど時間は遅くなる。

 

水星の近日点移動

 太陽系の惑星が公転軌道上で太陽に最も近づく点を近日点という。近日点は他の天体からの重力の影響等で少しずつ移動するが、その移動量はニュートン力学によって高い精度で求めることができた。しかし、水星の近日点移動だけは精度が悪かった。

 水星は太陽の近くを通るため、太陽の重力の影響を強く受ける。一般相対性理論は、水星の近日点移動を高い精度で説明した。

 

ブラックホール

 光も脱出できないほどの強い重力を持った天体のこと。

 すぐに発見された方程式の解は、今ではブラックホールと呼ばれるものでした。真空の空間の一点だけに質量があると仮定すると,ゼロ割りで 破綻する答えが出てきたのです。物理的な状況を考えているのに、ゼロ割りで無限大となってしまう答えがでてくるとは理解しがたいことです。無限大となる2ヵ所は、今ではブラックホールの地平面と呼ばれる境界面、および(中心の)時空特異点と呼ばれています。前者は座標系の取り方 で除去できますが、時空特異点は取り除けません。つまり、アインシュタインの相対性理論が破綻することを意味しているのです

時空連続体

 一般相対論は、地図は歪んでいる可能性があり、座標要素はそれがどのようにして起こったかによって変わってくると言います。もしわたしが地図を折り曲げるとすると、2つの場所の距離が変わってしまうのです。

 平面で三角形の角度を求めて全部を合計すると180度になります。これを曲がった地図でやると、曲げ方に応じて、その値は少し大きくなったり小さくなったりします。同様に、宇宙にも様々な異なる曲率を持った区域があるのです。

 抵抗がない場合、物は真っ直ぐに移動する傾向があります。では、空間が屈曲している場合はどうなるのでしょうか。それでも直線に移動することができますが、線が屈曲に従うのです。バスケットボールの上に直線を引くと考えてみて下さい。ボールに線を書いて、ぐるっと一周し、始めの点と結ぶことはできます。その線は直線ですが、曲がっているのです。
 「湾曲した空間」では「平らな空間」とは違った奇妙なことが起こります。たとえば、北へ10キロメートル、西へ10キロメートル、南へ10キロメートル歩けば、歩き始めた地点より10キロメートル西の点に到達すると考えるのが普通です。しかし、同じことを南極でやると、何と歩き始めた地点に戻ってしまうのです。技術的には、これはどこででも起こることなのですが、非円筒図法の地図では、北極や南極で顕著になります。

 抵抗に影響されることなく、湾曲した空間を直線上に進むと考えてください。特に、質量(あるいはエネルギー E=mc2の公式より)を伴うものが湾曲した空間の直線上をたどるとします。

 このことの実験的証明は、1919年の日蝕の時になされました。この時、星の光が太陽によって屈折したことが観測されたのです。屈折の大きさはアインシュタインによって予測されていましたが、「ニュートン式の」理論によってではありませんでした。
 物質は空間の曲率に沿って動くわけですが、重力の源が物質であるため、曲率も物質に応じるということがわかっています。

 ひとつの場所にたくさんの物質があったらどうなるのでしょうか。傾斜の急な丘を車で上っていると想像してみてください。最大スピードを出しても、あなたの車が通るには急すぎるところがあるとします。同様に、大きな物質をとても小さな空間に持っていくと、曲率がものすごく強くなるので、宇宙一速いとされる光でさえ、通ることができなくなるのです。これがブラックホールです。

 ブラックホールとは、「一般相対性理論」で予想された天体で、重力崩壊(重い天体が自身の重力により収縮する現象)によって幾何学的に計算不能になるくらい激しい時空間の歪みをつくる天体のことです。しかし、もともとこういう話は、数理的に破綻した特異的な意味にすぎず、予想された当時の物理学者のほとんどはその存在を疑っていました。

 ところが、天体観測において、その存在の間接的証拠がたくさん見つかり、ついに「直接見れた」という成果に至ったわけです。

 

重力レンズ効果

 遠方の天体が発する光が手前の天体の重力で曲げられることで、遠方の天体の像が変形したり複数になったりする現象のこと。

 アインシュタインの理論が予測した太陽の周辺で空間が歪み光の進み方が変わる現象が1919年3月8日の皆既日食時に出現した星空の観測で実証されたことは有名です。現在では、「重力レンズ効果」として、大質量の星や銀河の周りで、アインシュタインの理論が予測する重力の効果が、この観測で史上初めて確認されたのです。

 

重力赤方偏移

 色は光の波長の長さで決まるが、重力によって時間が遅くなることで光の波長が伸び、天体の発する光の波長が長い方へずれる現象のこと。1984年、日本のISASが重力赤方偏移を始めて観測しました。

 

重力波

 物質の加速度運動によって時空の歪みが波となって光速で伝わる現象のこと。

 電磁気学の方程式からは電磁波の存在が予言され、後に発見されました。一般相対性理論の式からも時空のゆがみが空間を光速で伝播していく現 象があることが予言され、早々に重力波と命名されます。物理の議論として、ごく自然なものと考えられますが、厄介なのは一般相対性理論が「誰から見ても同じ式として表される」形式なため、さまざまな座標変換の自由度を許すことでした。そのため、本当に重力波が存在するのかという問題の解決までに長い時間を要しました。アイン シュタインも一度は重力波の存在を否定する論文を書きかけたほどです。重力波がエネルギーを運ぶ物理的な実体であることが示されたのは、アインシュタインの死後,1950年代の半ばであり、連星パルサーが発見され、その軌道半径が近づいていくことから、重力波の存在が間接的に確認されたのは1970年代のことです.

 2015年、アメリカのカリフォルニア工科大とマサチューセッツ工科大等の研究チームが重力波を初めて検出しました。

重力とは4次元のトランポリン

 ニュートンは、重力が無限の速度を持つと考えましたが、アインシュタインは、重力も光の速度で伝わるのではないかと考えました。では、重力を伝えるのは何か? これは、光と同じく空間であると考えました。質量をもつものの周囲の時空は歪むと考えたのです。
 トランポリンの膜を想像してみてください。この膜の中央にボウリングの球を置くと、トランポリンは中央に沈み込むように凹みます。ここにパチンコの玉を置けば、中央に向かってトランポリンの膜の傾きに沿って滑るように転がっていきます。この膜の傾きこそが重力です。
トランポリンの膜は2次元ですが、重力は4次元のトランポリンの膜と考えることが出来ます。

 

宇宙膨張

 今日では携帯電話の普通の機能になっていますが、GPSの動作は全面的に一般相対性理論に頼っているのです。

 地図を折り曲げれば、空間次元の中の地点は互いに近くなる。空間と時間は時空連続体として共に動くのですから、時間にも同じことが言えるはずです。我々の質量がとても大きいとしたら、時間次元の屈曲は、時空連続体が屈曲していればしているほど、時計はゆっくり動く(あるいは、屈曲がより少ない地域にいる人にはそう見える)のです。

 空間が一様な物質でみたされていると仮定すると、一般相対性理論の式はその時空が膨張、あるいは収縮するような解となることを示します。これは、宇宙全体が膨張あるいは収縮することを意味しています。アインシュタインを含め、当時の多くの学者は、宇宙は未来永劫不変のものと考えていました。ハッブルやルメートルによって遠方の銀河が遠ざかっていくこと(宇宙膨張)が発見されるのは、1920 年代の終わりです。実際に宇宙 膨張が発見されるまで、アインシュタインは、静的な宇宙ができるよう、自身の方程式に宇宙項と呼ぶ修正項を加えて解決しようとしていました。宇宙膨張が確実になると、宇宙の始まりが問題になります。ビッグバンと呼ばれる大爆発があった証拠は得られていますが、それ以前は未解決です。もし、時空の一点から宇宙が誕生したのであれば、その瞬間を描く物理学が必要になりますが、残念ながら一般相対性理論と量子論を融合させた理論(量子重力)はできていないため、私たちは宇宙の本当の始まりを まだ理解できていません。

 

GPSと相対性理論

 カーナビなどに、GPSが使われています。これのおかげで私たちは道に迷わずにすむわけですが、正確な情報を得られるのは、GPS衛星の中の時計が正確に動いているおかげです。

 GPS衛星は、地球の周りをものすごいスピードで毎日グルグルとまわっています。ものすごいスピードでまわるので、「光の速度に近い速さで動くものは、時間が遅く流れる」から、GPS内の時計は遅れてしまいます。

 一方、GPS衛星というのは地表から2万キロメートル以上の高度にあります。すると、今度は「重いものの周りでは、時間は遅く流れる」を言い換えた「重いものから離れると、時間は早く流れる」が関係してきます。この効果により、GPS内の時計は進んでしまいます。

 「光の速度に近い速さで動くものは、時間が遅く流れる」から時計は遅れ、「重いものの周りでは、時間は遅く流れる」時計は進みます。実際に計算をすると、「重いものの周りでは、時間は遅く流れる」という影響が大きいため、全体として時計は進んでしまうのです。

 GPS計算はこれによる補正を自動で行っているため、正しい位置情報を得ることができるのです。この補正がなければ、1日に10km以上のずれが生じてしまい、使い物にならないのです。

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