年金生活者支援給付金

 年金生活者支援給付金は、年金受給者のうち低所得者や障害年金・遺族年金の受給者に対して支給される給付金です。

 「貯金もあまり無いし、国民年金だけだとこれからの老後生活が満足に生きていけない!」 そんな悩みを抱いている方も多いでしょう。「年金生活者支援給付金」は、『年金を含めても所得が低く、経済的な援助を必要としている人』に支給される手当で、「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」に基づく給付金です。2019年10月1日に予定されている「消費税の10%値上げ」と同時に、「年金生活者支援給付金」という制度が始まります。今年だけの1回限りではなく、継続的に支給される制度です。

 

年金生活者支援給付金の対象者・要件

 年金生活者支援給付金は誰でも貰えるという訳ではありません。主に低所得者等に対する生活支援が目的なので、貰うには一定の条件を満たす必要があります。

 

老齢年金生活者支援給付金

  対象者は約500万人

支給要件

 下記のすべての要件を満たす人が対象となります。

・老齢基礎年金が支給されていること(2019年3月31日時点で65歳以上 または 繰上げで老齢基礎年金を受けている方)

・前年の年金額および その他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、老齢基礎年金満額(平成31年度は 779,300円)以下であること

 前年の年金収入+その他の所得≦老齢基礎年金の満額(円)

  「年間の収入が国民年金の満額に満たない方」という訳です。

・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること

 生活保護の受給者には原則として給付金は支給されません。

 下記のいずれかの条件に該当する場合は支給されません。

 ・日本国内に住所がない場合

 ・老齢基礎年金の支給が全額停止されている場合

 ・刑事施設、労役場その他これらに準じる施設に拘禁されている場合

給付金額(年金生活者支援給付金法第3条)

 月額5,000円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の①と②の合計額となります。

① 保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5,000円 × 保険料納付済期間/480月  

② 保険料免除期間に基づく額(月額)= 10,834円 × 保険料免除期間/480月

     (10,834円について、保険料1/4免除期間については 5,417円)

 

補足的老齢年金生活者支援給付金

 年金生活者支援給付金は所得要件を満たす必要があり、要件を1円でも超えてしまうと何も支給されません。しかし、それだと基準をギリギリ満たした方が給付金を貰った結果、満たさなかった方よりも所得が多くなるという逆転現象が発生してしまい、不公平です(例えば、深年金を受給している人など)。そこで、逆転現象が起きない様に、所得が一定の範囲内の方には、一定割合を乗じた補足的老齢年金生活者支援給付金として、老齢年金生活者支援給付金に加算される様になっているのです。

 前年の年金収入と所得について、老齢年金生活者支援給付金の所得基準額779,300円に10万円を足した879,300円以下の人が対象となります。すなわち、「779,300円超879,300円以下」の人となります。

 対象者は約160万人

給付額(月額)

 = 給付基準額5,000円 × 保険料納付済期間/480月 × 調整支給率

調整支給率

 =(補足的所得基準額879,300円 - 所得合計額)/(補足的所得基準額879,300円 - 所得基準額779,300円)

例:所得が830,000円、保険料納付済期間が432月ある人の場合

 5,000円 ×(432月/480月)(879,300円 - 830,000円)/(879,300円 - 779,300円)

 = 5,000円 × 0.9 × 49,300円/100,000円 = 2,219円

 1円未満の端数は小数第1位で四捨五入されます。

 保険料納付済期間には免除期間は含まれません。

 

障害年金生活者支援給付金

 障害基礎年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の対象者は合計で約190万人と言われています。

支給要件

 下記のすべての要件を満たす人が対象となります。

・障害基礎年金の受給者であること

・前年の所得が基準額以下であること(所得に年金額は含まない)

 基準額=462万1千円+(扶養親族の人数*38万円)

 同一生計配偶者のうち70歳以上の人又は老人扶養親族の場合は48万円、扶養親族が16歳以上23歳未満の場合は63万円と置き換えて計算します。それ以外の扶養親族の場合は38万円です。

 上記を満たしている場合であっても、下記のいずれかの条件に該当する場合は支給されません。(同法第10条第2項)

 ・日本国内に住所がない場合

 ・障害基礎年金の支給が全額停止されている場合

 ・刑事施設、労役場その他これらに準じる施設に拘禁されている場合

 ・少年院その他これに準じる施設に収容されている場合

 

給付額

 障害基礎年金2級の人 月額5,000円

 障害基礎年金1級の人 月額6,250円

 

20歳前障害基礎年金の所得状況届の廃止

 年金生活者支援給付金制度が施行されることにより、障害年金生活支援者給付金の所得情報で20歳前障害基礎年金の所得審査ができるようになります。このため、例年7月に実施されていた所得状況届の提出が不要となります。

 ただし、障害の状態を確認するための診断書(障害状態確認届)については継続して提出する必要がありますので、診断書(障害状態確認届)を送付された人は引き続き提出してください。提出が遅れて障害年金が差し止めとなった場合、給付金の支給も差し止めとなります。

 

遺族年金生活者支援給付金

支給要件

 下記のすべての要件を満たす人が対象となります。

・遺族基礎年金の受給者であること

・前年の所得が基準額以下であること(所得に年金額は含まない)

 基準額=462万1千円+(扶養親族の人数×38万円)

 同一生計配偶者のうち70歳以上の人又は老人扶養親族の場合は48万円、扶養親族が16歳以上23歳未満の場合は63万円と置き換えて計算します。それ以外の扶養親族の場合は38万円です。

 上記を満たしている場合であっても、下記のいずれかの条件に該当する場合は支給されません。

 ・日本国内に住所がない場合

 ・遺族基礎年金の支給が全額停止されている場合

 ・刑事施設、労役場その他これらに準じる施設に拘禁されている場合

 ・少年院その他これに準じる施設に収容されている場合

 

給付額

 月額 5,000円

 2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,000円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。

 

開始時期

 令和1年10月1日施行

 年金生活者支援給付金は月単位で支給されます(実際の支給は2ヵ月に1回毎)。

 2ヵ月に1回、年金と同じ口座、同じ日に、年金とは別に振り込みます。(通帳には2つの振り込みが記載されることになります。)

 初回は、令和1年12月に10月分・11月分が振り込まれます。

 

給付期間

 原則として前年の所得額により認定し、当年8月分から翌年7月分まで支給されます。(初年度を除く)

 給付金を受け取っている方で引き続き支給要件を満たしている場合、翌年以降のお手続きは原則不要です。  

 支給要件を満たさなくなったことにより、一度給付金を受け取れなくなった方が、その後、再び支給要件を満たしたことにより給付金の支給を受けようとする場合は、改めて認定請求の手続きが必要となります。

 

手続き

既に年金を受給されている対象者の場合

 平成31年4月1日時点で年金を受給中で支給要件も満たしている人には、日本年金機構において市町村から所得情報をいただき、給付金の支給要件に該当するかどうかを判定します。判定の結果、支給要件を満たしている方には、令和1年9月頃に、日本年金機構から受給資格者に対してターンアラウンド請求書が送付されます。

 受給資格者はターンアラウンド請求書(あらかじめ必要な情報が印字され手続きが簡素化されている請求書)に必要事項を記入し切手を貼付して日本年金機構本部に返送します

給付金受給資格者が個別に給付金請求をする場合(新規裁定者の請求)

 平成31年4月1日より新たに年金を請求される人を対象に事前受付が開始されました。

 平成31年4月2日以降に老齢・障害・遺族基礎年金の受給を始める方は、年金の裁定請求手続きを行う際に、あわせて給付金の認定請求の手続きを行ってください。

 平成31年4月2日以降に老齢基礎年金の受給を始める方については、給付金の請求手続きをしていただくと、2019年10月以降に、日本年金機構から審査結果の通知が届きます。

 審査の結果、給付金の支給対象となる方には、通知書の中に支給金額も記載しますので、ご確認ください。

翌年度以降、すでに給付を受けている人の場合(既裁定者の取り扱い)

 支給決定した翌年度からは、新たに手続きをする必要はありません。すでに給付を受けている人の所得情報などを日本年金機構から市町村に照会して確認し、支給要件を満たす人には継続して支給されます。

 支給要件を満たさなくなった人には不該当通知書が送付されます。

 不該当通知を受けた人が次年度以降に給付を希望される場合は、再度申請が必要です。

対象者が死亡した場合の年金生活者支援給付金

 年金生活者支援給付金の支給を受けている人が死亡した場合、遺族は未支払の年金生活者支援給付金を請求することができます。

請求者の範囲

 優先順位順に、死亡した人の配偶者(事実上婚姻関係にある人を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他三親等以内の親族であって、死亡時に生計を同じくしていた人。

 未支給年金の請求と未支払の年金生活者支援給付金の請求は併せて行うため、同一の人が請求することとなります。

請求方法

 未支給年金の請求と併せておこないます。

 受給資格者は、給付金請求書を年金事務所に提出してください(国民年金のみの人は市役所窓口へ提出)

 所得確認・内容を審査のうえ、日本年金機構本部より支給決定通知書などが受給資格者に送付されます。

年金は大丈夫?