遺族年金 死亡認定と死亡推定

 死亡日とは推定される日を含め、被保険者または被保険者だった人が死亡した日を指し、遺族年金では保険事故として受給権発生日となります。  

 このほか、死亡日の特殊なものについては死亡認定と死亡推定があります。

 死亡認定ですが、台風・水害・火災等の危難に遭遇した者を取調べに当たった官公署が死亡したものと認定した場合は、死亡地の市区町村に報告の上、市区町村長がこの報告に基づいて戸籍に死亡の事実を記載し抹消する事を指します。  

 そのほか、民法30条第1項または第2項の規定による失踪した者については、家庭裁判所の失踪宣告(民法第31条)により死亡したとみなされます。  

 これに対して、死亡の推定ですが、民法上の死亡認定が行われる前であっても、遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給にあたって死亡したものと推定し、死亡日も一緒に推定するものです。これは、海難事故や航空機事故が発生した場合、3ヵ月間生死不明の場合における死亡推定と死亡日推定および3ヵ月以内に死亡が確認されたが死亡日が不明である場合の死亡日を推定するもので、戸籍抹消前でも保険給付上は死亡したものとして扱い遺族の救済を図っています。  船舶事故の場合「被保険者が乗っていたその船舶が沈没し、転覆し、滅失し、もしくは行方不明となった日」、航空機事故の場合「被保険者が乗っていたその航空機が墜落し、滅失し、もしくは行方不明となった日」の両日に死亡したものと推定されます。  

 死亡認定と死亡推定は上記のような違いがあり、死亡推定の場合は公的年金制度上は死亡したものと推定し保険給付を行う事が可能です。これは、実務上は海難事故等の発生と3ヵ月間生死不明である旨の関係当局者(海上保安庁、航空機会社、船長等)の証明で遺族年金が請求可能という事です。  

 一方、死亡認定の場合は、失踪宣告を例にとると単に7年間行方が分からないだけでなく、家庭裁判所の失踪宣告や海上保安庁の死亡認定によって初めて死亡したとみなされることになります。つまり、死亡認定およびこれに基づく戸籍法上の戸籍抹消手続きが終了しなければ、死亡したとみなされず遺族年金が請求できないということになります。

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