障害年金の「支給停止」と「級落ち」

 障害年金の「支給停止」と「級落ち」は違います。有期認定の更新において、障害が軽くなったと判断されると、下位の等級に減額改訂され、その結果支給停止となる場合があります。提出期限日の属する月の翌月から数えて4ヵ月目の支給分から、減額または停止されます。

 

障害年金が支給停止となった場合

支給停止になるケースとは

 次のような場合は、年金が支給停止になるとされています。

(1) 障害基礎年金のみを受けている受給者の障害の程度が「2級」より軽くなったとき

  障害基礎年金は3級には支給されませんので、支給停止となります。

(2) 障害厚生年金のみを受けている受給者の障害の程度が「3級」より軽くなったとき

(3) 障害共済年金のみを受けている受給者の障害の程度が「3級」より軽くなったとき

 障害年金が支給停止になった場合、次のような手続きを行うことにより支給の再開を目指します。

1 新たに診察・診断書作成をし、支給停止解除の請求を行う

 すぐに(障害の程度の審査を受けて1年待たずに)「障害給付受給権者停止事由消滅届」を診断書とあわせて提出します。

 届書を提出していなくて、数年分を遡って再開させたいときは、年数分の診断書が必要となります。

 認められれば、原則翌月分から支給再開されます。

 なお、障害の程度の審査を受けた翌日の月以内の現症日の診断書が整えれば、審査で停止となった月まで遡って支給となることがあるようです。

 この届書に添付する診断書には、有効期限の定めがありません。重症化に至った日で判断しますから、たとえ古い日付であっても、決定されれば支給が再開されます。

 

2 支給停止となった行政処分に対して不服申立て(「審査請求」)を行う

 手続きの結果によっては、支給停止月分からの障害年金を受け取ることができます。

 ここで、審査請求は、障害年金の請求時に提出した診断書等の書類によって審査された結果、その結果に対して不服を申し立てるものです。診断書が誤っていたとして、審査請求に診断書を新たに書いたものを提出されるケースがありますが、社会保険審査官は取り合ってくれない? と考えたほうがよいと思います。結果、審査請求で認められるのは稀と思ったほうがよいのではと思います。それよりは、「障害給付受給権者停止事由消滅届」を診断書とあわせて提出したほうがよいと思います。

 

障害年金の等級が下がった場合(「級落ち」または「減額改定」)

 次のような場合を言います。

(1) 障害厚生年金2級を受給していて、更新時に障害厚生年金3級になった場合

(2) 障害年金1級を受給していて、更新時に障害年金2級になった場合

 この「級落ち」の場合は、障害年金全額が支給停止されていないため、「支給停止事由消滅届」を提出することはできません。

 障害年金の等級が下がった場合、次のような手続きを行うことにより支給の再開を目指します。

1 所定の待期期間を経過後、新たに診察・診断書作成をし、年金額変更の請求(「額改定請求」)を行う

 同じ傷病が悪化して認定基準の上位の等級に該当するようになった場合に行う、等級を上げてほしいという請求です。

 ただし、級が落ちてしまった場合は、原則、障害年金を受ける権利が発生した日、または障害の程度の審査を受けた日から1年を経過しないと、額改定請求ができません。額改定の請求を行った結果、それが認められなかった場合も、また1年待たなければ額改定の請求はできません。

 また、額改定請求書と同時に提出する診断書には3ヵ月以内という期限があります。

 障害基礎年金のみの人で2級以上に該当したが、3級に落ちた状態(年金が支給されない)が続いている人は、65歳以降になっても失権する事は無く、病状が悪化すれば65歳以降でも請求して障害年金の支給を再開してもらう事が出来ます。

 

2 級落ち(減額改定)となった行政処分に対して不服申立て(「審査請求」)を行う

 手続きの結果によっては、支給停止月分からの障害年金を受け取ることができます。