消費税の減税

『社会保障と税の一体改革』は危険です

 社会保障給付費は増え続けており、2010年にはとうとう100兆円を超えました。

 政府の対策では社会保障費の財源が足りないため、同時に消費増税が予定されている。5%の消費税率増で、単純計算で12兆円の税収増になるという。しかし、5%の消費税率増では「焼け石に水」でしょう。

 少子高齢化の影響もあり、今後は社会保障関係費が毎年1.3兆円規模で拡大するとの見込みがあり、財源としては消費税を充てるという議論が定着しました。

 消費税の引き上げは、本来は年金を始めとした社会保障の充実のためであった。

 2012年に決定した『社会保障と税の一体改革』では、増収分すべてを年金、医療などの社会保障制度の財源に充てることが決まっていました。増額14兆円のうち、まず3.2兆円を基礎年金の国庫負担分に使う。残りは、社会保障の充実や、後の世代へのつけ回しの軽減にあてるはずでした。Fotolia_56381176_XS

 『社会保障と税の一体改革案』によると、消費税5%引き上げで約13兆円の税収増になるが、このうち年金に回るのは6千億円に過ぎないというのには疑問が残る。税と社会保障の一体改革で議論されている増税については、年金財源を確保する目的もあるが、主な目的は医療・介護保険の財源確保のほうだからです。

「社会保障と税の一体改革」は、本当に日本をよくする政策でしょうか 

 「社会保障と税の一体改革」の本当の目的は、社会保障の充実ではないように見えます。財務省主導による増税が主たる目的です。年金・介護・医療は、少子高齢化という大義名分があり、国民も納得しやすいでしょう。また、国の借金が1000万円ということを盛んに喧伝して、財政危機に直面していることを煽れば、何も知らない国民は「増税やむなし」ということになります。そこには、何も「未来ビジョン」もなければ、成長に寄与する政策もありません。単なる所得の再分配だけならば財源は無限に増えます。

 「社会保障と税の一体改革」の先にあるのは、国民の富を「税金」として大量に吸い上げ、「富の再配分」を行う「社会主義国家」です。

 

3つの問題点

 第一の問題点は「消費税増税」を筆頭に「増税ラッシュ」を図るものであるということです。

 「社会保障と税の一体改革」とは、一言で言えば、国民に対する「アメと鞭(ムチ)」です。同素案の前半では「アメ」となる「社会保障制度の持続と充実」を打ち出していますが、政府の本当の狙いは、後半の「鞭(ムチ)」である「大増税」にあります。

 消費増税以外にも、所得税や住民税、相続税等の課税強化、地球温暖化対策税(環境税)の創設や金融課税の軽減特例の廃止など、「増税ラッシュ」をかけんとする財務省の強い意志が表れています。

 増税に加え、厚生年金の保険料引き上げや住民税の年少扶養控除の廃止等により、年収500万円世帯の場合、年間20万~30万円の負担増になるとの計算が出ています。

 第二の問題点は「マイナンバー」による国民管理制度にあります。財務省の主眼は本当は「個人番号制度」にあると言われています。

 今は、各省庁や自治体等がバラバラに管理されている国民情報を「マイナンバー」の下、統一して管理し、更に銀行・金融機関や医療機関等と情報を連携することで、国家が国民の全資産や些細な金銭の出入りまで把握掌握することができる制度です。

 たとえ消費税増税で景気が悪化して税収が減ったとしても、「マイナンバー制度」を機能させれば、パートや副業、アルバイト等の些細な収入であっても、いつでも、あらゆる収入や資産から合法的に税金を巻き上げるシステムが出来上がります。

 第三の問題点は「国家の肥大化」「大きな政府」をもたらす構造となっていることにあります。

 例えば、「社会保障と税の一体改革」で、厚生労働省は真っ先に「未来への投資(子ども・子育て支援)の強化と貧困・格差対策の強化」を打ち出しています。

 「子ども・子育て支援」では、幼稚園・保育所の一体化した「総合施設」をつくることを掲げ、文科省の管轄である幼稚園行政まで入り込んでおり、厚労省のスリム化どころか、「焼け太り」を目指していることは明らかです。これでは「大きな政府」へと肥大化することは避けられません。

 

消費税の増税

 ところで、消費税のそもそもの始まりは、今後減っていく直接税(法人税、所得税など)中心の日本の税体系を間接税(消費税など)中心に移行し、一般国民から広く浅く取り、増え続ける財政赤字と社会保障を賄うということでした。しかし・・・

参考

 消費税を10%にすれば、年間400万円消費している家庭の場合、年間40万円が消費税で取られ、年間20万円の負担増となります。ただでさえ物が売れない今、サイフの ひも がますます固くなります。特に、不要不急の物や高額の物は買い控えられ、景気はますます悪化します。その結果、企業の収入は落ち込み、中小企業や小売店などは倒産に追い込まれ、シャッター街が加速します。 企業の収入が落ち込めば、個人の給与収入も減り、もっと物が売れなくなり、不況が深刻化する悪循環が始まります。

全世代型社会保障

 消費増税による税収増は、財政再建が期待できない

 消費税率が1%上がると、消費税での税収が2兆円増えるという試算がよく使われる。しかし、この試算は楽観的だという批判が強い。「消費増税」を実現するために水増しされている可能性が高い。消費税が3%上がれば、その税収分は最も多くて6兆円といったところでしょう。景気後退による他の税収減が加われば、さらに少なくなる。結果的にトータルの税収がマイナスになったのが、1997年に行われた5%への消費税増税である。

 過去に、増税して景気がよくなった試しはありません。 実際、1997年、消費税を3%から5%に増税された後、景気が悪化して北海道拓殖銀行や山一證券、長銀、日債銀と金融機関の破綻が相次ぎ、1999年まで金融恐慌寸前の深刻な不況に陥ってしまいました。

 消費増税は景気を冷えこませる。結局、税収は増えません。実際、現在の税収は、消費税導入前より10兆円以上も下がっています。財務省が発表している税収に関する統計を見ると、初めて消費税3%を導入した翌年の1990年は、前年と比べて税収が5兆円増えて60兆円となった。政府債務残高は300兆円台でした。だが、その年をピークとして、その後20年間、日本経済は長い停滞期に入り、一度たりとも1990年時の税収を上回ることはなかった。日本は「消費税を上げ、一瞬は税収が増えるが、その後じわじわ減る」というパターンを繰り返してきました。

 1997年に消費税を5%へ増税すると、さらに税収は減少した。消費税率を5%に上げた1997年とその翌年1998年を比較すると、消費税収は増加したものの、所得税収と法人税収はそれぞれ2兆円減少。トータルで見ると53.9兆円から49.4兆円へと4.5兆円も減った。1998年、政府債務残高は600兆円台でした。 景気の良かった1990年度の税収は60兆円で、2009年度の税収37兆円より23兆円も税収が多かったのです。10%に上げようとしている現在、政府債務残高は1200兆円台です。 GDPがあと20兆円増えていたなら、所得税や法人税もさらに増え、5%のままでも消費税が増えていたはずです。

 2010年以降レベルの経済成長を続ければ、消費税を毎年1%ずつ上げ続けるのと同じくらいの税収が増えます。例えば、2010年から2012年の間では、年平均で2.5兆円もの税収が上振れました。

 そして、アベノミクスが本格的に始まってから、2015年度にかけては、消費税分を差し引いても、税収は年平均で約2兆円も増えていたのです。

 2兆円。これは消費税1%分に相当する額です。

 そして、もし2014年に増税していなければ、もっと税収が増えていたと指摘する専門家もいます。その額は消費税2~3%分にも相当したかもしれません。

 税収は税率よりも、景気による変動要因が大きいため、税率を上げても、増税による景気悪化で税収が下がるのです。「景気が冷え込む」ことにあります。

 消費増税をしても税収が増えずないことは明白な事実である。しかし、財務省はこうした事実を説明することなく、「増税しないと財政赤字が拡大する」と国民の不安をあおってきた。

 「社会保障の財源確保のためには消費増税が必要」「増税しても景気は回復する」と述べて、消費増税に賛成していた政治家やエコノミストたちは、消費増税による景気後退が顕著に現れても、消費増税を推進している。

 日本の国内の景気を回復させるには、家計消費などを中心として「消費」を拡大する必要がある。

 消費増税はこの逆を行く政策である。デフレ不況下で、ただでさえ国民の購買意欲は低い中、消費増税を行うと、国民の需要を喚起するどころか冷水を浴びせる結果にしかならない。

 消費増税を行うと、消費税収は増えるが、やがて国民や企業はその負担に耐え切れなくなり、景気が後退していく。その結果、企業の収益は悪化し、雇用者の所得も減少する。そうなれば、法人税収、所得税収が減ってしまい、トータルの税収は増えない。

 2013年時点での社会保障給付費は約110兆円で、そのうち保険料でまかなわれているのは6割程度です。残りの4割を賄うために、国民の税金などが投入されています。さらにこの社会保障給付費は年々増えています。一方で、現役世代は減っているため、保険料収入は減る一方です。

 「消費税を上げれば、景気が後退し、逆に税収が下がる」わけです。お店で言えば、「無理な値上げをすれば、売り上げが減る」のと同じことです。減税をして、経済成長をすることが、財政再建への近道です。

 

 今は法人税を払っていない赤字企業が7割を占めていますが、景気が良くなれば、法人税、所得税等が急増し、瞬く間に税収は数十兆円増えるのです。 「成長なくして増税なし」です。政府は今、増税ではなく、経済成長に取り組むべきです。

 経済政策は、徹底した成長路線が特徴的。デフレ不況を悪化させるとして消費税増税に反対するだけでなく、「法人税や相続税の減税」によって、企業の投資や国民の消費の促進を狙う。「大都市や交通インフラへの大規模投資」によって、高度成長も視野に入れること。

 必要なのは、消費増税の「延期」ではなく、少なくとも5%まで減らす「撤回」ではないでしょうか。日銀の大胆な金融緩和でも景気が良くならない現状を考えれば、個人や企業は明るい未来を描けず、金融機関からお金を借りて新しくに何かを買ったり、設備投資することはできないということ。

 日本経済を回復するために税収を増やすならば、取るべき方法は、社会主義的な「増税」でない減税によって国民が積極的にお金を使う環境をつくり、その結果として、政府の税収を増やすべきです。それこそが日本経済の活力を取り戻すための方策である。

 もし、増税が行われなければどうなるか。まず、増税による消費の落ち込みへの警戒が解ける。さらに、株価が再上昇し資金調達はより容易になる。すると、今まで様子をうかがっていた企業が設備投資を増やし、「期待」に過ぎなかったアベノミクスが効果を表し始める。

 設備投資の受注が増え、潤った企業では賃金やボーナスも上がる。ようやく個人消費が本格的に伸び、日本経済はデフレ脱却を果たす。

 

 GDPとは、国内で生み出された付加価値の合計のことを言い、経済活動の活発度を計る指標として用いられる。GDPの成長率がプラスならば景気は回復傾向で、マイナスならば景気は衰退していることを意味する。

 名目GDPの伸び方が1%のとき、税収の伸び方は7%になるなど、経済成長率の変動をはるかに上回る「振れ幅」で、税収増加率が変動している。経済成長が加速することで、今回よりも大きな税収増が見込める。

 政府は、日銀の量的緩和やマイナス金利政策など、「お金の流通量」を増やすことで景気回復を目指している。だが、経済を活発にするためには「お金の回転率」も重要です。お金が1年間で回転する量が増えるほど、GDPは増えていく。つまり、銀行が企業にお金を貸出し、そのお金で企業が商売し、消費者が商品やサービスを買う。儲けた企業は従業員に給料を支払い、従業員は銀行に預金する。それがまた、別の企業への貸し出しに回るというように、お金が回転することで、経済が発展し、GDPが増えていく。このお金の回転速度を弱めているのが、「消費税」なのです。日本経済の6割が個人消費で成り立っている。消費税は、お金が流通する場所に多くのハードル(障害)を置くようなものである。ハードルの数が多ければ多いほど、資金の回転率は落ちてくる。その意味で、消費税にはGDPを減らす効果があるのです。

 消費税について さらに

年金問題は消費増税では解決できない

 ある試算によれば、2010年は高齢者1人に対し、生産人口2.77人、2031年には1.83人の生産人口で1人の高齢者の年金を負担することとなるそうです。そのために消費税を上げようとしているわけです。

 年金支給額の水準を維持するには、大増税か、若い世代の保険料の負担増、年金をもらえる年齢の大幅な引き上げしかないのでしょうか。

 2014年には、年金や医療、介護などにかかる社会保障費の合計は112兆円、うち43兆円が税金で賄われた。

 消費税1%当たりの税収は約2兆円。7%の増税とは14兆円もの税金を新たに国民から奪うという意味にほかならない。経済成長せず、今の制度が維持されたと仮定すれば、2060年には消費税率は36.2%になる。仮に社会保障にかかる費用をすべて消費税でまかなおうとすれば、今世紀の半ばには、消費税率は60%を超えます

 「日本は少子高齢化が世界最速で進み、このままでは国家が破産します。ですから、消費税を増税して社会保障に充てるのです。」このような説明を聞いて、「それなら仕方がない」と思い増税を容認する人も多いでしょう。

 しかし、消費税増税は景気を冷え込ませます

 働き手が減る分、その負担は倍増するのです。若者は重税を余儀なくされる上に、育児、出産、高齢者の社会保障負担と計り知れません。

 果たして、このような重い負担を背負う若者は幸福だといえるのでしょうか?

 まさに、このままであれば、「制度によって生かされるのではなく、制度のために生きる」状態が待っているのです。 

 消費税の増税を社会保障のために行うということは、次々と「重税」を課されることを国民が認めるということです。政府ははっきりとその試算を国民に示し、重税を取るのか、それとも自助努力型の社会を取るかの選択をきちんと問うべきです。それなくしての消費税増税論は、単なる目先のすり替えに過ぎない。

 年金は事実上破綻しており、このままでは、税金をつぎ込んでも焼け石に水です。消費税増税をすれば、年金世代はもちろん、現役世代の家計を圧迫し、ますます維持が難しくなります。

参考

今こそ、社会保障制度を見直すとき!

「自助努力」が尊重される社会へ

  今こそ消費増税をストップし、日本は「自助努力」が尊重される社会を目指すべきです。そして、「社会保障」の美名のもとに負担を増加させ、人間の尊厳を奪うような仕組みは改めるべきです。

 国民の意識としても、重税を前提とする「老後の生活は国が何とかしてくれる」という考え方から、「老後は自分や家族、地域で守る」という、自助努力型に切り替えていく時期でしょう。

 アベノミクスを考える は こちら

本来の『第3の矢』 は こちら

消費税は全廃すべき

 年金や医療など社会保障のために消費税を増税するという選択は、本当にやってよいことでしょうか。
 消費税を上げる大きな理由の一つに、「年金制度の維持」が挙げられています。実際、2014年度に消費税が8%に引き上げられたことで、増える税収約5兆円のうち 2.95兆円は年金の財源に計上されています。景気に水を差す消費税増税は、年金制度を更に不安定にする。そう考えると、消費増税の議論も違った切り口から見えてきます。

 社会保障の財源を名目として、消費税を増税しようとしていますが、経済が元気でなくなれば、税収も減り、年金積立金も早く枯渇することになることは明らかです。

 そこで、必要となるのが「消費税」の全廃です。消費税をゼロにすれば、少なくとも7%分は余計にお金を使えるようになる。いわば、給料が5%も上がるようなものである。消費税と相続税を全廃すると、約12兆円の税収が失われる。これは単年度の減収としては全体の約23%に当たる。決して小さくない数字です。しかし、減税そのものの消費刺激効果を含めて、多様な景気対策を行うことで経済成長を促せば、減収分は4、5年もあれば取り戻せる経済が成長すれば税収も伸びるからです。

減税など消費を刺激する政策を実行すれば、実際にお金が回り始める

 加えて、規制緩和やベンチャー減税などで企業家を続々と誕生させ、人口増加策によって納税者の数を増やせば、さらなる税収も見込める。つまり、「消費拡大による企業の売上アップ」「企業の数そのもののアップ」「納税者人口のアップ」という 税源自体を創造することで、税率を下げても税収が上がる仕組みを作るのです。

 年金問題は消費増税では解決できないと思います。

景気回復による財政再建 は こちら

 年金をはじめ、社会保障費の不足を消費増税によって賄う「税と社会保障の一体改革」については、発想自体が間違っていて、根本から見直すしかありません。

 そもそも経済が成長することが、社会保障を成り立たせるための大前提です。経済成長すれば企業や個人の収入が上がりますので、税率を上げなくても所得税などによる税収が増えて財源は確保できます。

 消費増税ではなく、「自助努力」が尊重される社会を目指すべきでしょう。

 税率について

日本の奇妙な経済学

福祉目的

「福祉国家」から「無税国家」へ