コロナの先は長い 共存して経済の正常化を
3密避ければ経済崩壊
多くの人が薄々感づいているように、コロナは短期で収束することはなく、長く付き合わなければならない問題です。
ですが、政府や自治体は、コロナが長期化する前提で、意思決定を行っているとは思えません。第二波への備えを周知しても、本当の意味で「コロナと共存する社会」のあり方を発信していません。これを怠れば、極端な自粛ムードが長引き、経済損失は甚大なものになります。
すでに第一波の影響で、4~6月期のGDP(国内総生産)成長率が年率でマイナス20%前後になると予測されています。そうなれば、GDPは500兆円を割り込み、第二次安倍政権が発足した2012年の水準に落ち込みます。つまり、アベノミクスの成果は帳消しとなるのです。
昨年の消費増税前のGDPに回復するのは、早くて21年後半以降になると予想され、V字回復は困難な状況です。しかしこれはあくまで、今年の後半から景気回復することを前提にしたもの。第二波が発生した際、政府などが再び自粛要請すれば、数年で持ち直すどころではなくなります。
3密を避ければ、近代経済原理は崩壊します。自粛要請の長期化は、経済活動を考えればナンセンスと言えます。
コロナと共存するには
では、コロナとはどのように付き合うべきでしょうか。ウイルス学に詳しい京都大学の宮沢孝幸准教授は次のような趣旨の提言をしています。
マスクをつければ飛沫が飛ばないので、ソーシャルディスタンス(社会的距離)をとる必要はない。ソーシャルディスタンスは日本とは異なり、マスクをつけない欧米の生活スタイルを前提にしている。
満員電車や飛行機、映画館、イベント会場などでは、外気が取り入れられた状態で、利用者が目や口などに触れず、マスクをつけて黙るなどすれば、感染が広がる恐れは少ない。例えば、ラーメン店などのカウンター席でも黙って食べれば、席の間隔を空けなくてよい。
要は、人との接触機会を減らすのではなく、感染リスクに触れる機会そのものを減らす方向を目指す。
国民の精神的ダメージを払拭し、行き過ぎた自粛ムードを止める方策はまだまだあります。各人が免疫力を高めつつ、智慧を絞ってあくまで経済活動を正常化させることが、「コロナと共存する社会」の正しい在り方です。