物理学的自然観

 科学の進歩によって、科学者を含めた現代人の多くは、呪術的、神話的な自然観、擬人的・主観的なしん酌などの色眼鏡を外して、ありのままの自然の姿を客観的に見ることができるようになったと考えています。しかし、現在、現代科学における考え自体が、色眼鏡になっているのです。

 「自然の奥には法則があり、それを発見し応用すれば、技術や産業に利用できる」という近代科学の優れた部分も一つの自然観であり、現代科学特有の色眼鏡です。

 眼鏡に色がつくことに気づくには、まず眼鏡をかけていることを認識し、それを外してレンズを白い紙の上に置かなければいけません。

参考

香りや重さ、精神、神などが排除された自然観

 近代科学を成功に導いた自然観とは何でしょうか。

 優れた科学技術文明を開き、東洋文明が持ち得なかった自然観は、この世界を「縦・横・高さ」のユークリッド空間と見て、それ以外の精神などの要素を除外した三次元世界を抽出しました。香りも重さも精神も神も、いったん退場させられるわけです。

 その前段階として、ルネサンス期には、直交二次元のグリッド(方眼)で風景を切り取る絵画の遠近法の発明がありました。結果、偉人を大きく描くような主観的な画法は、時代遅れになりました。

 近代科学を支える自然観の形成において、ギリシャ哲学以来の宇宙霊や能産的自然といった目に見えない価値を含む、動的な自然の捉え方は失われていきます。それとともに、自然で起きるすべての出来事には目的があるという目的論的自然観も居場所を失います。後者は産業革命に必要な知的作業でしたが、極端な自然観であることも事実です。

 

ニュートンの秘術

 近代科学を準備したのは、自然観だけではありません。「仮説の提示」(コペルニクス)、「データの収集」(ティコ・ブラーエ)、「見えない法則の探究」(ケプラー)、「観察と実験」と「数学」(ガリレオ)、「分析と綜合」(デカルト)といった、自然を理解する方法論もありました。

 これらの自然観や自然探究の方法をもとに、ニュートンが近代自然科学を構築していきます。

 ニュートンは、三次元世界に質量を持ち込み、その運動を解釈できる三法則を発明しました。ただし、ニュートンは重力の由来を示していません。

 重力を生み出している本質は、三次元世界から取り除いた精神の領域にあるのですが、現代科学はまだその原因を見出していません。「五次元世界にその要因があるではないか」と推測する科学者もいますが、それ以上の世界かもしれません。

 ニュートンが持ち込んだ「力」は、三次元の縦・横・高さという要素からは導けないものです。ニュートンはこれを”隠れた性質”として導入したのです。

 それ以外にニュートンが持ち込んだものとして、「空間と時間」があります。この空間と時間は永遠であり、”無限の神”があまねく存在していることを根拠として、導き出されたものです。これらは、目や耳などの五官による観察から導き出せず、「科学的」に証明できないこともニュートンは熟知していました。

 絶対の時間・空間とは、華厳経や密教で説かれる最尊の存在と同じと思われます。

 ニュートンにとって、力学とは、神との関係性によって成立しており、唯一普遍の存在が科学の原理になっていたのです。ただし、後世の数学者によって、この神性は削除され、物理学は機械論的自然観が支配するようになります。

 ニュートンの発見により、地上の法則と天の法則(天体の運動)は統一されるとともに、物体の運動に関して予言できるようになりました。また、世界を機械として見る体系は、産業革命を強く促し、新しい文明として花開くことになるのです。

 

科学が大きく進展する上で必要なこと

 力学の体系と電荷や電磁場の体系を統合したのが、「特殊相対性理論」です。

 現代物理学は、相対性理論と量子力学の統一、「人という主体が、量子という客体に影響を及ぼす」というあたりの世界観の構築で、次のステージを模索しているようです。

 また、もう一つの体系、「熱とは何か」ということも解き切れていません。粒子の衝突だけで説明し切れるものではなく、その本質は「高次元の何か」だと考えられます。また、なぜ時間がエントロピーの増加する一方向にしか流れないのか、科学的には分かっていません。

 科学が大きく進展する際、三次元要素では説明できない事象に対して、定義を演繹的に三次元空間に導入し、より多くの事柄を数学的に説明してきました。

 必ずしもデータが先にあったわけではありません。「光速に近い物体の長さが縮む」という現象が見つかったから、特殊相対性理論が構築されたわけではないし、「日食時に太陽付近に見える恒星の位置が変化していた」から、一般相対性理論ができたわけでもありません。

 次なる進化論の進展も、自然観における哲学的な改革によって進むだろうと考えられます。

 参考

もっと高次な世界を考える

 アインシュタイン以前には、天体の運行を説明する力学のレイヤー(三次元+質点)と、それとは別に電磁気学を説明するレイヤー(三次元+時間、エーテル)があり、これらが共に存在していました。

 このレイヤーが2つあることに居心地の悪さを感じ、「統一しよう」と強い情熱を持ったのがアインシュタインでした。一般相対性理論の創出は、それらの統一レイヤーにさらに重力のレイヤーを合わせようとしたもので、苦闘そのものだったようです。

 進化を生物身体(DNAも含む)が描かれているレイヤー成分で説明しようするのではなく、それより上に、『精神』など何層もレイヤーがあるので、それらを用いなければ、進化について説明できない。

 人類は、この世界のさまざまな現象に説明を与え、原子核より小さな世界も、銀河系をはるかに超えた宇宙の構造も明らかにし、火星に探査機を送る技術まで生み出しました。

 しかし、まだ限界はあります。例えば、物理学には、時間の流れの向きや「今」という概念を説明できるものを持っていません。それを扱う科学には、もっと高次な世界を考えることが必要なのです。

 

科学革命を導いたもの

 科学の飛躍的な進展には、自然観の変更が伴います。量子力学の進展においては、電子が原子核に”落ちて”いかないなど、それまでの理論で説明できない不思議な現象が先にありました。それを説明するために、「自然観を変えさせられた」と言ってもよいかもしれません。 

 ニュートンによる この世の時空間にはない絶対空間・絶対時間の洞察、ファラデーの目には見えない磁力線の性質の解明など、物理学の進展には「科学者の悟性」が大きく関わっています。科学の大きな飛躍・創造の際には、そうした悟性も兼ね備えた科学者による自然観の変更を伴った発見・発明が必要です。

 科学者たちがどのように悟性を磨いたかという点は、偉人伝などに描かれています。いわゆる「修行」をしていなくとも、一心不乱に神の御業を探究したという求道心は共通しているようです。

 ニュートンが乗った「巨人の肩の上」は、最高度の悟りの地平でもあったでしょう。幸福の科学総裁大川隆法の著作『「未来産業学」とは何か』では、「ニュートンを、おそらく、幸福の科学の中心指導霊であるヘルメスが指導していたと推定されます」とも述べられています。

 この物理学の成功の上に、生物学も成り立ちます。この過程は、”物理学帝国主義による生物学の侵略”と捉える人もいます。生き物の学問も目的論を排除し、生物身体を機械として見る自然観が、「科学的」だと考えられるようになっていきました。これが現代生物学の成功の部分でもあり、限界でもあるところです。