国家間の「利自即利他」

 国家間においても、個人における教えである「利自即利他」がそのままあてはまる。それぞれの国はまず自ら発展するよう自助努力しなくてはならないし、そのプロセスで他の国を助けてあげようと考えなくてはならない。

 だからこそ、自らの国益を考えることで世界の利益と調和がとれていくのです。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『理想国家日本の条件』で次のように説かれました。

「各国に、それぞれの民族、国民が生きている以上、その国を理想郷、理想的なるものにするためには、出発点は、やはりその国の国民が責任を負わなければなりません。それを前提としないで、たとえば世界百数十カ国のうちで、ある国が豊かであったら、その豊かさを貧しいところに機械的に分配しなければならないというような考えだけが、国際正義として今後もし続いていった場合には、どうなるでしょうか。そこに出てくるものは、みなさんの目の前で崩壊していった共産主義体制というものが、国際レベルで「国際共産主義」として復活するのと、おそらく同じことになるでしょう。貧しい国は無前提によい国であって、豊かな国は搾取しているのであるから、その富は貧しい国に還元しなければいけないということが、もし公的なる正義として認められたときには、国際的共産主義が出現することになるでしょう。その動きはもうすでにあります。確かに、豊かな国は、騎士道精神のもとにおいて、貧しき者たちに手を差し延べなければならないけれども、しかし、それがあたり前のことになったときに、正当に努力する人たちの国家は、おそらく地上からなくなっていくでしょう。あちらにもこちらにも福祉を求める国家ばかりが広がったときに、そこには、貧しさの連帯のみが残ることになります。そこには自助努力しない国家の連合のみが残ることになります。これは、将来的には人類を必ず不幸にしていく考え方です。ですから、国民はその国家に責任を負い、国家は国民に責任を負う。そして、その国を豊かで、理想的なるものにすることは、まずその国自身の責任であり、豊かで理想的なる国をつくり、そして各国の国益を世界の利益と調和させるところに、理想の世界国家関係が成り立つのだ、ということを知らなければなりません。ネイション・ステイト(国民国家)という考え方は、まだまだ重要です。そして、そのなかにおいて、各国民が自助努力の精神を最大限に発揮し、理想のもとに努力することが大事なのです。そして、急場のどうしようもない苦しさを助けるために、豊かで進んでいる国から、騎士道的なる精神として手を差し延べることが大事なのです。この主従を間違ったときに、来世紀以降、世界は大いなる不幸と不況のなかに陥っていくことは間違いありません。ですから、これを心得ておかねばならないと私は思います。私はみなさんに、個人における「利自即利他(りじそくりた)」ということを、くり返しくり返し説いてきました。「自分づくりをしなさい。あなた方を救うのは、あなた方自身である。あなた方を悟らせるのは、あなた方自身である。私は、そのための手解きをするが、悟りに入るのは、あなた方一人ひとりである」と語りました。そして、「みずからが悟りを求めていくその過程において、利他・愛他の精神を発揮しなさい。自も他もともに生きていける共生(ともいき)の精神を発揮していきなさい」と言いました。国家においても、同じことが言えるのです。」

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