企業の目的と使命

企業とは

 企業は、一般的に次のように定義される。「企業とは、営利を目的として、継続的に生産・販売・サービスなどの経済活動を営む組織体である。」

 企業は、経済的機能をもつ社会的組織であり、その組織構造は一人ひとりの人間から構成される人間組織である。そして、経営とは、その人間組織を通して事業をマネジメントし、成果をあげることです。

 企業は、価値を生み出す経済活動という観点から、経済的繁栄をもたらすものであり、人間組織という観点から人材活用の場であり、従業員一人ひとりの観点から自己実現の場でもある。

 

企業の目的

企業の目的とは、事業を継続させ、成長し、収益を獲得、拡大させていくことなどが挙げられます。

 ピーター・ドラッカー曰く、企業の目的は「顧客の創造」である。真の目的は顧客を創造することと言っている。企業が何であり、何を生み出すかを規定し、企業が成功するか否かを左右するものは「顧客」である。顧客のみが雇用を創出し、企業の成功と存続をもたらしてくれる存在である。

 この本質が理解され、企業文化として社員に浸透していれば、当たり前のように顧客重視の姿勢が生まれる。ところが、現実にはあらゆる組織が内部のことに忙しく、顧客に焦点を合わせることができないでいる。マーケティングにおいても、顧客視点で求められる商品・サービスというよりも、販売視点で「売るための商品・サービス」に重点が置かれている。即ち、自社都合の判断が優先された商品・サービスとなっている。

 ドラッカーの経営学の基本は、「企業の目的は顧客の創造である」というものです。

 「顧客の創造」とは、人々のニーズを発見し育てるということであり、政府が国民を見捨てている国家の場合には、必ず企業が国民のニーズを発見して、政治の不完全な部分を補完することになる。

 つまり、企業の活動そのものが、全体主義的な一元管理の行われる統制国家の台頭を防ぐために有効なのである。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『ドラッカー霊言による「国家と経営」』でドラッカーの霊の言葉(「霊言」)を、次のように伝えておられます。

「また、「マクドナルドが流行っている国同士では戦争が起きない」という、いい意味でのジンクスもあります。「マクドナルドが店を開けるような国であれば、だいたい価値観が似てくるので、大丈夫だ」ということですね。
 そのように、企業がグローバル化してきて、世界各地で仕事を始めたときには、「同じレベルで仕事ができるかどうか」ということのチェックが必ず働きます。そういうチェックによって異常性が判定されるので、国同士の戦争が起きなくても、企業のレベルで、あるいは企業のユーザーのレベルで、国家のあり方を見直すことができます。
 これが、私が掲げた一つの希望なんですよ。
 企業は、小さければ国家に統制されますけれども、一定の規模になると、潰すに潰せなくなります。また、「国の枠を超えてグローバルに発展した企業の場合、その国の統制の下に動くのか、あるいは、本社の意見の下に全世界的に動くのか」という問題が発生し、縦の軸と横の軸の二つが交じり合ってきます。これが十分な防波堤になるだろうと思ったんですね。
 私の経営学の基本は、「とにかく、企業の使命は、顧客の獲得であり、顧客の創造である」ということです。これは、私の著書である『マネジメント』に書いてあります。
 「顧客の創造」とは、「この世の人々のニーズを発見し、育てる」ということだけれども、これをアンチテーゼのように言うとすれば、「政府が国民を見殺しにしている、あるいは見捨てている、そのような国家の場合には、必ず、企業が国民のニーズを発見して、埋め合わせをしようとするだろう」ということですよ。
 要するに、政府が外しやすい機能、政府が除外しやすい機能のところで、経済活動ができる分野や、国民のニーズのあるところには、企業が入り込んで活動します。「企業は、必要とされるもののあるところには必ず入り込んでいくので、政治の不完全な部分を企業が必ず補完するだろう」と、私は予想しておりました。
 だから、企業は、顧客創造活動を行うかぎり、国民が不便に思うところ、不自由を感じているところ、政治が一定のイデオロギーを持って排除しているようなところに、必ず、埋め合わせに入ってくるんですね。
 このように、企業のマネジメントを支援するための、私の考え方自体は、単に、資本主義だとか利益主義だとか、そういう立場のものではなくて、それ自体が、ある意味で、共産主義的なユートピア社会へのアンチテーゼとなっているのです。
 「企業は、それぞれの人の幸福の具体化に寄与すべきであり、そのために、各企業は、切磋琢磨し合って、より良いサービスが提供できる状態をつくり出していかなくてはならない。そのことが、全体主義的な一元管理の行われる統制国家の台頭を防ぐには非常に有効だ」ということです。」
(51~59ページ)

 今日の企業は、組織のあらゆる階層に、高度の知識や技術を持つ者を多数抱える。それら高度の知識や技能は、仕事の進め方や内容を左右する。その結果、企業に影響を与える意思決定が、組織のあらゆる階層で行われている。

 「何を行い、何を行わないか」などのリスクを伴う意思決定が、かなり下の地位の者によって行われている。

 彼らは、彼らなりに、「我々の事業は何か。何であるべきか」との問いに対する答えを各々が持つ。従って、企業自らがこの問いの答えを出しておかなければ、様々な意思決定が様々な定義に従って行われることになる。その結果、反対方向に向かって努力を続けるようなことも起こる。

 組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「我々の事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。

 「我々の事業は何か?」と問われても、ほとんどの場合答えることが難しい問題であるが、企業の目的と使命を定義する時、出発点は1つしかない。顧客である。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。従って、「我々の事業は何か?」との問いは、顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない。

 

「顧客満足」ではなく「顧客を創造すること」が新しい市場を作る

 最近の例でいえば、ユニクロのヒートテックが好例でしょう。汗を熱に変えるという機能を持ったユニクロのヒートテックを明確にイメージして、具体的に欲求していた顧客はいなかったでしょう。ユニクロが新しい市場を作り出したのです。

 企業がニーズを発見し、商品・サービスを企画・開発し、提供してはいるが、企業が中心ではない。あくまでも顧客が中心である。そのためのマーケティングであり、イノベーションであり、マネジメントなのです。

 経営トップの役割において、すべては顧客を理解することから始めなければならない。そして、顧客にとっての価値を創造することである。

 顧客の声に耳を傾け、顧客が価値とみなすものを知り、次に顧客にとっての価値を客観的な事実として受け入れ、それを社内のあらゆる検討と意思決定の基盤とすることである。まさに「顧客第一主義」である。

 顧客にいかなる価値を提供できるかは、経営トップ自身が顧客に何を問い、その答えをどう解釈し、いかにイノベーションするかにかかっている。このような顧客中心の考え方、アウトサイド・インの考え方が「顧客第一主義」の本質であり、そしてマーケティングの基本である。

 顧客に価値あるものを供給し、顧客を満足させることが企業としての成果とすべきものである。その結果として、顧客の創造(企業の目的)に繋がり、売上や利益がついてくる。

 売上・利益を上げることが経営の目的だと思われていた時代がありました。しかし、ドラッカーが現れて、経営の本質というものが定義されることになります。ドラッカーの「マネジメントとは人のことである」という言葉に結晶化されています。

 経営とは、現代の自由民主主義の中で、人が自由で民主的な生活をおくるための手段。経済だけが目的な資本主義ではなく、自由で民主的な社会を求める自由民主主義です。組織の中で人が幸せに、生き生きと自己実現し、幸せな生活を送るための道具にすぎないのです。

 売上、利益のみを

目標にすることは、人間の幸せの犠牲を意味します。

 社会は、人が生き生きと生産的に生きれるためにこそ存在します。社会、企業の経済活動が人命、人の命、人の尊厳より優先されることはあってはなりません。

 「マネジメントは人のことである」と言う言葉は、人間中心の経営を行うということです。経営の中で、何よりも人の幸せを考え抜き、人を活かすことに集中するということです。経営の中心にあるものは、経済活動としての金ではありません。人間の幸せなのです。人の幸せを中心に考え、人を活かす組織を実現する気概に起業家が燃える時に、経営者としての心の軸、志が定まり、全てが正しい方向に回り始めます。

 マネジメントとは、現代社会の中で、いかに人が中心に気概を持って生き抜けるかという学問の本質なのです。すべてを人の幸せ、人の魂からの成長を中心に経営において実行されてみて下さい。

 経営者としての、あなたの価値は、どれだけの人を幸せにできる組織を創ったかという一点にあります。

 人を活かすリーダー、人を活かす組織を創りあげたリーダーとして、あなたの墓標にかかれるように、強い志をもって生き抜かれてください。

 あなたが、あなたの存在こそが、現代社会の中で、人を活かす、マネジメントリーダーなのです。

 あなたは、人を活かし、成長させるという崇高なリーダーとしての哲学を経営で実践されてください。

 人間中心の経営の原理原則を学ぶ時に、経営の軸が定まり、確固たる意志をもって経営にあたるのです。

 

事業の成功を決めるのはお客様

 リーダーはどうしても、悪い情報に耳をふさぎがちになります。また部下も報告すれば、自分の立場が悪く-なったり、難しい対応が発生するようなクレームには蓋をしがちです。

 ただ、「事業の成功を決めるのはお客様である」という大原則を無視することはできません。

 一人ひとりがそのことを理解し、事業を成功させようとチームで心を一つにするからこそ、お客様の本音を「宝」と見て扱えるようになるのです。

 自分たちが何のために事業を行っているのか、というミッションを共有できると、そこに絆が生まれ、事業の問題を根本的に解決する力が出てきます。そして、真摯なサービスがお客様の感動を呼び、その感動を求めてさらに人が集まってくるのです。

 全ては、「お客様の声」をどう受け止めるかにかかっています。勇気を出して、その声に耳を傾けてみるところから始めてみませんか。

参考

   (大川隆法 未来への羅針盤 ワールド・ティーチャー・メッセージ No.194)

 会社を今以上に大きくする基本的な法則は一つです。「お客様のためを考えること」、この一点なのです。「できるだけ多くのお客様に幸福になっていただきたい」ということを、自分の事業を通して実践すること。それを受け入れられたときに、会社は大きくなるのです。それ以外の技術的なものは別の問題で、多くの顧客に支持を受けたものは必ず成長するのです。

 成長しないということは、支持が一定のところで止まっているということでしょう。

参考

 自分がしてほしいように相手にしてあげること

 ゴールデン・ルールとは、「人々からしてほしいと、あなた方が望むことを、人々にもその通りにせよ」というイエスの教え(ルカによる福音書6章31節等)を指す。幸福の科学では、

これを一歩進めて、「他の人を幸福にしよう、成功させようと思ったときに、人間は幸福になり、成功していく」という、相手と自分の幸福や成功まで含めた法則性をゴールデン・ルールと呼ぶこともある。

参考

企業の使命

 企業の使命は社会や国家を経済的繁栄に導くことである。

 経営者たる者、正しい経営を目指すとともに、公(おおやけ)に奉仕する気概・精神をも持たなければならない。

 経営者はこのような使命を背負って経営しなければならない。大きな気概をもって、使命感をもって、企業は黒字を出し、社会や国家の発展・繁栄に貢献しつつ 前に進まなければならない。 

 喜んでもらう人を増やすための第一歩を踏み出しましょう。会社は、物を買うことも所有することもできます。そして、場所を借りることもできます。会社は法律によって人と同じ権利を与えられています。だから「法人」と言うのです。会社が社会に存在することを許されているのは、事業を通じて社会の役に立つからです。登記さえ済ませば、あとは勝手に儲けてよいということではないのです。

 あらゆる組織は、何らかの形でお客様に喜んでもらえるからこそ存在することができています。会社もそれぞれの事業を通してお客様のために存在しています。

 では、御社は具体的に何をもって社会の役に立つ会社なのでしょうか? これこそが「われわれの使命は何か」です。

 使命とは「社会のお役に立てる具体的な何か」です。わが社は「何をもって喜んでもらう人を増やそうとしているのか」、「社会は何を求めているか」を理解し、自分たちが得意とするものを知るところから、使命を確立することができます。確立するということは明確な言葉で特定するということです。

 「三人のレンガ職人」の話があります。一人は給与をもらうために仕事をしている。二人目は優れた職人になりたいと思って仕事をしている。三人目は「人々の心を癒す空間を造って喜んでもらおう」と思って仕事をしている。三人目の職人の思いこそが使命です。使命を考える時は、自分たちのメリット、自分たちの都合、自分たちにとっての希望は考えない、ということです。

 多くの会社が、経営理念や使命を掲げながら、売上や会社の規模を大きくしていくことに頭を持っていかれてしまい、使命はただの飾り物になっています。使命はあると言いつつも、そこで働く一人ひとりの仕事は、使命と完全にかけ離れたものになっています。使命をはっきりさせ、使命が働く一人ひとりの仕事となって、実行されていなければ、何をやってもうまくいきません。たとえ一時的にうまくいくことがあっても長く続きません。使命が組織で共有されていなければ、一人ひとりの力はバラバラになってしまいますし、会社は本来持つ力を発揮することができません。やがて行き詰ることは必然です。使命は自分たちに何をすべきかを教えてくれます。会社は仕事の効率を高めるため、多くの仕事をルーチン化していきます。仕事をルーチン化すること自体は、組織全体の生産性が高まるので良いことです。一方、いったん仕事がルーチン化されてしまうと、改善すべきことが見えなくなることがあります。ルーチン化は大きなメリットがあると同時に、そのようなデメリットが隠れ潜んでいます。効果的だったやり方であっても、状況が変わって効果的でなくなったにも関わらず、改善の必要性に気づかずその仕事を続けてしまう。これは、組織で仕事を運営している以上、致し方なく起こることです。使命があることによって、仕事を改善する必要性に気づきにくい状況であっても、いま自分たちが行っていることは使命に向けてどうなのか、そんな視点をもつことができます。自分たちの使命が自分たちを導き、自分たちの今日を教えてくれるのです。

 使命は働く人に働くエネルギーを与えてくれます。仕事の価値を決定づけるものは、仕事の内容ではなく仕事の目的です。何のための事業なのか。使命の内容が働く人に意欲をもたらしてくれます。使命は、なんとなくこなすのではなく、最善を尽くそうとするエネルギーを与えてくれます。

 あなたは何のために働いていますか? 社員にこう尋ねたら、何と答えるでしょうか? 

 私たち人間は、お金以外に頑張る理由が必要です。価値ある使命があるからこそ、その仕事に価値を共感する優秀な人材を獲得することができます。仕事はよいことばかりではありません。むしろ、辛く苦しいことの方が多いと言ってもいいでしょう。会社が大きいからとか、会社が有名だからとか、社長にあこがれたからとか、条件がいいからといった理由だけで入社した人は、仕事が大変になると他の会社に目がいってしまい、力を発揮してくれません。使命に共感して仕事をしてくれているからこそ、たとえ辛い時があっても、使命に向けて自らの意思で全力を尽くしてくれます。

 われわれの使命は何かと問われたときに、いざ日頃一緒に仕事をしている仲間と話し合ってみると、お互いの考えに違いがあることが明るみになります。ともに働き、理解し合えていると思っていた人たちと われわれの使命は何かというこの問いを共有すると、お互いの考えに違いがあることを知って愕然とされるはずです。組織で仕事をしている以上、行動のもととなる考えに食い違いがあれば、仕事はうまくいきません。そうなってしまえば、喜んでもらえる人を増やせなくなってしまいます。喜んでもらえる人を増やせなくなるということは、事業の存続に危険が及ぶということです。使命とは事業の存続に関わる重要なものなのです。喜んでもらえる人を増やしていくためにも、事業の繁栄のためにも仕事をしてくれている社員のためにも、「われわれの使命は何か」という問いを共有し、共通の考えを確定させてください。

 また、ドラッカーは、「すき焼き」というたとえで説明しておられます。みんながごちそうを食べられないという意味で「平等」な社会と、貧乏になる自由も金持ちになる自由もあるが、みんなが発展していく可能性がある「自由」な社会とでは、どちらがいいのか、という大事な論点が最初に語っておられます。

 そして、「統制経済」のもとにある社会は、貧乏さの平等が行き渡った社会であるわけで、そのような社会は政治が成熟していないと、ドラッカー先生は考えておられるんだと思います。

 そこに企業の役割が登場するわけで、企業原理が介在していくことで国際的なチェックを働かせることができると、ハンバーガーのマクドナルドを例にあげて、説いておられるわけです。

 大川隆法総裁は、『ドラッカー霊言による「国家と経営」』でドラッカーの霊の言葉(「霊言」)を、次のように伝えておられます。

「「ほとんどの人たちがすき焼きを食べられない時代に、一部の人だけがすき焼きを食べるのはけしからんから、すき焼きを食べてはいけない」という法律をつくれば、誰もが平等になるでしょう? これが一つです。
 また、「うちは、初めから毎週は食べられなくとも、一カ月に一回は食べられるようになりたい。そして、だんだん、毎週一回、食べられるようにしていきたい」と思い、それに向けて努力すれば、実際にそうなっていく。このような社会をつくる方法が一つですね。
 では、すき焼きが食べられる日を、毎月一回から毎週一回にするには、どうしたらいいかというと、パパの収入が上がっていけばいいわけです。企業の繁栄があって、雇用が生まれ、給料が増えていけば、そうなるわけですね。
 これは、「どちらの社会が好ましいと思うか」という踏み絵です。
 北朝鮮であれば、今のところ、経済的発展の見込みが全然ありませんので、やることは、もう決まっています。すき焼きを食べた人を銃殺にしてしまえばいいわけですよ。
 「あの家は、本来なら牛肉が手に入るはずがないのに、すき焼きを食べた。何か悪いことをしているに違いない」というように密告をさせる。それに基づいて、その家族を連れ出し、五家族ぐらいでも公開の場で銃殺にすれば、誰も、すき焼きを食べなくなります。
 そして、「これで、誰もが平等になった。ユートピアが出現した」というように宣伝することは可能です。
 しかし、それは幸福な世界ではありませんね。こういうやり方よりは、やはり、誰もがすき焼きを食べられるような国づくりをしなければいけないんです。だから、企業の活動によって、国際的なチェックが働くのは、いいことなのです。
 例えば、マクドナルド、マックは世界に広がっていますが、北朝鮮に店を出しても、商売にならなかったら、当然、撤退しますね。店を閉めます。
 北朝鮮の国民のほうは、マックの商品を食べたいのに、店を閉められてしまったら、困りますね。マックのものを食べられるようにしてほしいでしょう。
 また、マックのものを食べたくても、収入が少ないから買えない。そのため、「収入がもっと欲しい」という欲が出て、政治家への不満が生じてくる。「なぜ、国家の予算の大部分を軍事予算に充てるのか。まだ起きてもいない戦争に備え、多額の軍事予算を使っているために、われわれの所得は増えないのだ」という不満が生じるようになります。
 だから、個人と国家の間に企業原理が介在し、国際的なチェックが働くことによって、その国の政治の成熟度、あるいは、「その国が統制経済下にあるかどうか」ということが、実によく分かるのです。これをやらなければいけません。」
(62~66ページ)

 この世の中では、世間様から見てお役に立つことをしていれば、それなりに経済的な報酬が与えられるようになっています。業種を問わず そうなのです。

 人々の役に立ち、人々から感謝されていて、経済的な報酬がないということはあり得ないのです。本当に不思議なことですが、この事実に対しては謙虚でなければならないのです。

 自分の会社の業績が横ばい、あるいは後退してきているなら、この言葉をよく味わうべきです。

 業績不振は、不況のせいでも競合企業のせいでもなく、「世間様からお役に立っていない」と見なされているということです。もし、「世間のお役に立ちたい」と思うなら、わが社の使命を改めて問い直すことが必要です。(参考『智慧の経営』P-26~28)

「「『絶対、うちの会社がなければ困るのだ』というものを考え出せ。その哲学をつくり出せ」と言わなければいけません。

 そういう使命感のもとにあるのは、「なぜ、わが社は必要なのか」という根源的な問いを持ち続ける、経営者なり管理者なりがいることでしょう。そういう問いを持ってください。」(『智慧の経営』P-32)

 今、経営が厳しい場合は、「この問いに答えることができますか?」と自問自答することです。とても辛いことですが、胸に手を当てて考えてみるのです。「世の中から無くなっても構わない会社になっていませんか」と問われた時に、「いや、そんなことはない。わが社は絶対に必要だ」と言えるものを考え出さなければなりません。ここは経営者として一番だいじなところでしょう。

 使命感を見失ってしまえば、従業員も力がでませんし、社長も仕事に腰が入りません。ですから、社長は必死になって古い自分を脱ぎ捨てて、新しい自分に生まれ変わってほしいと思います。

 経営者は本当に大変な立場ですが、その苦しみの中で魂は磨かれるものです。その苦しみは、多くの人を幸福にするための「富を生み出す」悟りをつかもうとしているから生じているものです。

 ですから、あきらめてはいけません。もし、悲観的な想念に負けそうになったときには、それに負けないだけの肯定的な想念を自家発電しなければいけません。それは、気力を出すことであり、努力をすることです。そして、今日できることをやり、明日の希望を考えるということを胸に刻み込んでください。

 たとえ、現実がどうであれ、積極的な思いは持つことができます。「明日、手形が落ちない。もう潰れる」という時でさえ、心の力を使って活路を見出すのです。この力の使い方こそ、智慧の経営の真骨頂です。

 人様のお役に立つことを心掛けながら、その結果については、大いなるものに委ねて祈ってください。そうすれば道は必ず開けてきます。(参考『智慧の経営』P-28~29)

 普通の人は、「成功させてください。お金持ちにしてください」と神に祈ってから、「では、どうやって人様のお役に立とうかな」と考えたりします。これはプロセスが逆です。

 何も努力しないで、いきなり祈るのではなく、経営に関しては、人様にお役に立つことを心がけながら、一生懸命頑張って働き、それから祈るのです。もし、会社が苦境にあって、道が閉ざされ、「それでも私は使命を果たしたいのだ」という時は、ぜひ祈っていただきたいと思います。必ず救いの道は開けてきます。

 

成功と失敗を通してミッション経営を目指せ

 企業経営において、特に重要視されるのがイノベーションである。会社が大きくなるにつれて、財務や人事、リスクマネジメントなど、規模相応の仕組みをつくらなければいけなくなる。

 このイノベーションに関して、大川隆法総裁は、経営者自身の成長という観点から、「熱心さを超えて、やはり使命感を持たなければいけない」「過去の成功、失敗をいろいろ踏まえた上での経営理念が出てくると思います。経営者は、それを絞り出して、結晶化させねばならないのです」と説き、ミッション経営への脱皮について強調した。

参考

 

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