営業とマーケティング

 営業はマーケティングの一部という位置づけです。同じ意味で、開発もマーケティングの一部です。お客様のために開発され、あるいは仕入れされたものを、①その価値をお客様に伝える、②価値にふさわしいお金をいただく、③お客様にご満足いただくことが営業の目的であり役割です。

 マーケティングは営業の上位概念で、営業はマーケティングの非常に重要な一部なのです。

 営業マンの行動には、意識的・無意識的にマーケティング戦略が反映されています。

 ・営業が誰のところに行くか=顧客ターゲット戦略  

 ・営業がどの商品を売るか=商品戦略  

 ・営業がどのくらい値引きするか=価格戦略  

 ・営業がどのような資料を使うか=広告戦略  

 ・営業がどのようなセールストークを使うか=プロモーション戦略

 営業マンの教育・行動管理がマーケティングの非常に大きい部分を占めることになりえます。特に、エンドユーザーなどへの直接訴求をしない場合には、営業マンの活動がマーケティングそのものとなる場合が多いと思います。

 出来る営業マンは、意識的にせよ、無意識的にせよ、マーケティングをしている。「お客様は、自分の得にならなければ買わない」からです。セオドア・レビットの「Marketing Myopia」が喝破したように、「お客様はドリルではなく、穴が欲しい」のです。営業マンは、「ドリルを売る」のではなく、「穴をあけるためには、キリでもナイフでも釘と金槌でもなく、ドリルがお客様の一番役に立てる」ことを伝え、お金をいただくのが仕事の目的なわけです。

 

営業にマーケティングを活かす

 お客様は、その商品が自分にとって、どう便利なのかはわかりません。ですから、営業マン=価値の翻訳機でもあるのです。自分の商品がいかにお客様の生活を豊かにするか、仕事を楽にするかと翻訳してあげるのです。

その価値はお客様に伝わっているか?

 お客様は、言われなければ価値はわかりません。「言わなくてもわかっているだろう」というのは通用しない。お客様に価値を伝えるように説明し、実際に使っていただいたりして体感してもらい、はじめて納得できるわけです。

 

売上を上げる方法 5つ

  利益=売上-費用

 当然ですが、利益を上げるには、売上を上げるか費用を下げるかの2つです。

売上を上げる基本: 売上=顧客数(A)×顧客単価(B)

 これも当たり前ですが、売上を上げるには、顧客数を増やすか、顧客単価を上げるか、のどちらか(あるいは両方)です。

(A)顧客数を増やす基本:増加顧客数=新規顧客-流出顧客×購買頻度

 お客様の母数を増やすのとお客様の購買頻度を高める以外には顧客数は増えません。

 意外と忘れがちなのが流出顧客の防止策です。これを行うだけで利益が劇的に増加する場合があります。

(A)式より、顧客数を増やすには、以下の3つであることがわかります。 

 1) 新規顧客を獲得する  

 2) 既存顧客の流出を防止する  

 3) 購買頻度を高める

 (B)顧客単価の増大 :顧客単価=買上点数X1点当たり価格  

これも方法は2つです。

 4) 買上点数を上げる  

 5) 1点(1商品)当たりの価格を上げる

 売上の原則   

  1) 新規顧客の獲得   

  2) 顧客の流出防止   

  3) 購買頻度向上   

  4) 買上点数の増加   

  5) 1点(1商品)当たりの価格向上

 上記の5つを、長期・短期効果のバランスを取りつつ、効果的・効率的に行うかということです。

 売上を上げるには、上の5つと組み合わせて、自社の強み、顧客ターゲット、競合商品などを考え、上の5つとどう組み合わせるか、戦略と整合させそれを効果的・効率的に行う方法を考えるということです。市場分析、SWOT分析などツールは色々ありますが、その目的は、あくまで5つの売上向上策を行うことです。本末転倒になってはいけません。

 マーケティングにも目的があります。その目的を達成するのが戦略です。マーケティングにも戦略が必要なのです。

 経営もある意味戦いです。顧客の満足、価値を満たすのがマーケティングではありますが、その一方で、競合他社と顧客を巡って争うという冷徹な事実も存在します。自分が頑張っても、競合がそれ以上に頑張れば、お客様はそちらに行ってしまいます。顧客満足も、絶対評価ではなく、競合に対する相対評価なのです。ですから、マーケティングでも「戦略」は重要です。

 ターゲットによって、何を言うかは全く違ってくるのです。とにかく、自分の強みを考え、それを評価するターゲットを選ぶことが、売り文句を考えるよりは先に来るのです。売り文句は重要です。しかし、まずは戦略です。ターゲットが間違っていれば的はずれなわけです。

 戦略的に俯瞰的にマーケティングを考えることが重要なのです。「今やっていることは、目的達成に近づけてくれるのか?」を問い続けるのが戦略的な考え方で、マーケティングでも同じです。そもそもターゲットは誰か?という問いに答えないと、どんなに頑張っても空回りしてしまいます。

 そもそも誰に売りたいのか? 広告を出した媒体はそのターゲットに合っているのか?  資料請求の内容は、自分の強みに合っているのか? 自分が提供したいサービスは何か? ターゲットはそれを求めているのか? という問題に答える必要があります。

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