企業の経営成果を測る5つの財務指標
企業の経営成果を測るのに、普遍性、汎用性が高い財務指標は以下に示す5つです。
特に、ROEとROAは密接に関係しています。
ROE(Return on equity):自己資本純利益率
ROE=当期純利益÷自己資本
この指標は、株主の総投資額に対する企業の当期純利益の比率を計算したもので、「株主の期待する利回り」を上回っていれば良い経営を行っていると判断されます。
高度成長期時代の日本の製造業は、ROEが10%を超えており、銀行に預金するよりも高利益を生み出していました。そのため、当時の企業は稼いだキャッシュを再投資することで収益を拡大させていました。
しかし、バブル崩壊後はROEが5%を割り込んでいます。株主の視点からすると、投資の仕方が間違っていたのではないかと考えてしまうような数値です。
収益力(当期純利益を稼ぎ出す力)が同じ場合、財務リスクは高まってしまいますが、借入金(有利子負債)を増やしてレバレッジをを活かすことができれば、ROEを高めることができます。
一方、ROEは一時点での数値評価となっており、将来的な見込は含まれていません。
当期純利益は償却方法や在庫評価の方法などでコントロールすることも可能となっているため、本質的な企業の収益力といえない側面もあります。そのため、キャッシュフロー計算書の方が重視されることもあります。
ROA(Return on assets):総資産利益率
ROA=経常利益÷総資産
ROAは、事業推進に使われている全ての資産をベースにして考えています。
利益額は経常利益を使用されることが多い。
ROAは、「資産をいかに有効活用して利益を創出しているか」ということを把握するための指標となっています。
この数値から利益を生み出していない資産は処分(=圧縮)しようという流れになります。
例えば、日本企業における福利厚生施設などは利益を生むわけではないため、業績悪化の際には真っ先に処分の対象となってしまいます。ROAの分子に当たる経常利益も、ROEと同様の問題点を抱えています。
EVA((Economic value added):経済的付加価値
EVA=NOPAT(税引後営業利益)-資本コスト額 =NOPAT(税引後営業利益)-投下資本✕資本コスト(率)
この指標は、ROEやROAのように比率で考えるのではなく、投下された資産に期待される1年間の収益に対して、実際に生み出された利益が上回っているか否かを絶対額であらわしたものです。
IRR((Internal rate of return):内部収益率
この指標は、投資案件の意思決定で使用されることの多い指標になります。
実際の資金の投入と回収が長期間通じて実質利回りで何%となったかという数字になります
同様に、意思決定に用いられる指標としてNPV(Net Present Value:正味現在価値)も使用される。
投資額と未来のキャッシュ回収を見積もって、IRRやNPVを試算することになります。
CFROI(Cash flow return on investment):投下資本キャッシュフロー比率
CFROI=キャッシュフロー÷投下資本
キャッシュフローを将来の予測に依存することなく、一時点の数字で表すのに用いられます。
1年間に生み出されているキャッシュフローを投下資本で割ってます。
この指標は、一時点の状況しかつかめないという課題を抱えているが、一方、同じ一時点の情報としては、ROAやROEよりも企業の実態をつかみやすいとも言われています。