成果を上げるには 貢献に焦点を合わせる

 成果をあげる為には、常に貢献に焦点を合わせなければなりません。努力に焦点を合わせる人は多いのですが、貢献に焦点を合わせている人は少ないように思います。例えば「毎日遅くまで残業しているのに評価してもらえない」や「あんなに時間をかけてプレゼンの準備をしたのに、コンペで負けてしまった」などと言っている人は、貢献ではなく努力に焦点を合わせている人です。自分がどれほど努力したとしても、相手に対する貢献を意識しなければ、それに見合った成果をあげることはできないのです。

 また、貢献ではなく肩書や権限に焦点を合わせている人も多い。例えば、「あなたの仕事は何ですか」と尋ねられて、「企業のマーケティング部門で働いています」や「人事部長をしています」と言う人は多いと思います。しかし「市場のニーズをつかみ、新製品の開発に必要な情報を提供しています」や「企業の成長の為に将来の経営を担う優秀な人材の育成と発掘をしています」などと言う人は圧倒的に少ないと思います。

 自分の肩書や権限に焦点を合わせているうちは、自らにとっても組織にとっても成果のあがる仕事はできません。

 貢献に焦点を合わせることによって、組織全体の成果に注意を向けるようになり、外の世界に注意を向けるようになり、顧客の観点から物事を考えるようになります。その結果、与えられる仕事や仕事への取り組み方が大きく変わってくるのです。したがって、常に「どのような貢献ができるか」を自問しなければなりません。

 そして、あらゆる組織が三つの領域の成果に対する貢献を必要としています。それは、「直接の成果」と「価値への取り組み」と「人材の育成」の3つです。 

 直接の成果とは、企業でいえば売上や利益などの経営上の業績です。直接の成果をあげられなければ組織は生き残っていくことはできません。

 価値への取り組みとは、世界一の技術力を獲得することであったり、一般家庭に最も安く良質な財やサービスを提供することであったりと、その組織の理念によって違うものです。

 人材の育成ですが、組織は明日のマネジメントにあたるべき人間を準備しなければ、どんどん衰退していき、存続自体がままならなくなってしまいます。それも、現在の世代が築いた成果を維持するだけでなく、それを超える新たな価値を生み出せる人材を育成しなければなりません。

 成長を続ける組織とは、継続的に優秀な人材の育成に取り組む組織です。組織に働くのであれば、これら三つの成果に対する貢献を意識しなければなりません。

 知識労働者とは、自らの知識領域における専門家です。経理部で働く人は経理の専門家であり人事部で働く人は人事の専門家です。専門家であるが故に、自分一人では成果をあげることができません。経理部の人は、トップマネジメントの経営判断に必要な情報を提供しています。しかし、その情報を生み出すだけでは何の成果も生まれないのです。自らのアウトプットは、他の専門家に活用されて初めて成果に結びつくのです。したがって、我々は、組織もしくは一緒に働く人に対して、「自分はどのような貢献ができるか」を意識しなければならないことがわかります。それは、他の人がどのようなものを求めているのかを考えることから始まります。貢献に責任を持つ人は、自らの専門分野を全体に関係づけることができる人です。また、仕事における良い人間関係とは、貢献に焦点を合わせた人間関係です。

 成果をあげるために、お互いがどのような貢献ができるかを常に考えていれば、仕事において良好な人間関係を長く保てます。たとえ、お互いの仲が良くなかったとしても、仕事においては良い人間関係であると言えます。

 また、他の人に対して、組織に対して、どのような貢献ができるかを考えることは、どのような自己開発が必要かということを浮き彫りにします。自分が貢献する為に、どのような知識や能力を身につけるべきかを考えることになります。そして、それを身につけることによって、成果をあげられる人間になりますし、組織が成果をあげることにもつながってくるのです。

 成果をあげる為に、常に貢献に焦点を合わせることが必要不可欠なのです。

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