国の障害年金 交通事故などの第三者行為

 第三者行為が原因で障害が残った場合、多くのケースは加害者から賠償金や給付を受け取とることが多い。第三者行為が原因の障害で障害年金を受給した場合、1つの事故について加害者からの賠償金と国からの年金という二重の補償を受けることになります。そのため、障害年金を一定期間支給停止にすることで、二重の補償を受けることがないよう支給調整がされています。

 保険会社から損害賠償金が支払われている場合と支払われていない場合で、障害年金の調整の仕方が異なります。

1 損害賠償金より先に障害年金を受給した場合

 交通事故により、被害者の方の収入に影響が出ることも珍しくありません。保険会社との示談が進まなかったり、訴訟中で長期間にわたって損害賠償金を受け取れなかったりする場合、被害者の生活費が圧迫されるケースも見られます。損害賠償金が払われるまで生活の保障を受けられなければ、被害者の救済になりません。そこで、損害賠償金が支払われないことで被害者の生活に影響が出てくる場合は、先に障害年金を申請することもできます。損害賠償金の支払いがあった後に、この期間に支払われた年金を返還します。ただし、一括して返金するわけではありません。通常、障害年金支給額の半額程度が差し引かれて支給され、支給停止額に達するまで調整が続きます。返還終了後は満額が支給されるようになります。

なお、国は支給した障害年金の額の範囲内で、その額を加害者に請求することにしております。

 

2 障害年金を受給する前に損害賠償金を受けた場合

 先に損害賠償金の支払いを受けたときは、国が損害賠償の額の範囲内で障害年金の支給を停止します。

 休業補償や逸失利益など、生活面での保障について金額を調整し、障害年金の金額を決定します。ただし、損害賠償金といっても、全額ではなく、「逸失利益」「休業保障」のような生活保障に相当する額のみが調整対象となり、医療費や葬祭費などの実際に支出した費用や慰謝料については調整の対象外です。

 支給停止期間は最長で36ヵ月とされており、その後は障害年金が全額支給されます。

 支給停止月数 =36月 - 事故日から障害認定日までの月数

         - {損害賠償額 -(実出費+慰謝料)}÷1月当たりの基準生活費

 

第三者行為 事故状況届

 交通事故などの第三者行為災害の場合、「第三者行為 事故状況届」を提出します。

 同時に、「確認書」「同意書」を被災者本人(またはその遺族)が署名し、提出します。

 交通事故で自賠責保険を使っている場合は、「交通事故証明書」など事故が確認できる書類と共に、自賠責保険等の損害賠償金等支払い証明書または保険金支払い通知書(写しでも可)なども提出します。「交通事故証明書」は、原則として自動車安全運転センターで交付されます。