「事業計画書」の作成

会社プロフィール

 事業計画書は、経営者自身のためや従業員のために作成する面もありますが、社外の人向けに作成する面もあります。その場合、事業計画書の中に、事業の内容だけでなく「事業を行う会社自体がどんな会社なのか?」、「経営者はどのような人なのか?」を伝える必要が出てきます。そのために、「会社プロフィール」のページを設けることがあります。

 ここには、会社の概要だけでなく、事業を行う上で相応しい会社どうかという点についても書いていきます。

 また、事業の内容だけでなく、「代表者(経営者)のプロフィール」も掲載したほうがよいでしょう。特に、起業したばかりの場合や従業員数が少ない場合は、会社イコール代表者(経営者)でもあるので、会社プロフィールより代表者(経営者)のプロフィールを充実させるべきです。

会社プロフィールの内容

1 基本事項

 会社の基本的な事項を書きます。

 会社の正式名称、本店所在地、支店住所、代表者名、役員、ホームページアドレスなどです。

2 変遷、略歴

 会社の変遷を書く部分です。

 こと細かく書く必要はありませんが、現在および今後の事業に関係している部分を略歴としてまとめます。

3 許認可、資格、実績

 事業を行うに相応しい会社かどうかを伝えるために、必要な許認可、資格、実績などを伝えます。

4 代表者(経営者)プロフィール

 経営者のプロフィールをまとめます。

 その事業を行うことが相応しい経営者かどうかを伝えるために記載します。事業と直接関係ない部分については記載の必要はありません。

5 PRポイント

 上記以外でPRのポイントがあれば記載します。

 プロフィールは、「この事業を行うのに相応しいかどうかを伝えるため」という目的を忘れないようにして作成していきます。

 

事業コンセプト

 事業計画書を作成する上で、まずは「事業コンセプト」および「ビジョン」を作ります。

 事業コンセプトとは、「事業の存在意義」であり、「この事業は何のために行い、どのようなものなのか」を一文で表したものです。ビジョンは事業の目的地です。

 よって、事業コンセプトはそのビジョン(事業の目的地)を「どのように達成するのか?」と言う枠組みのことを言います。

 事業計画書では、まず「ビジョン」と「事業コンセプト」で全体像を伝え、その詳細を後に説明をしていきます。

 事業コンセプトが決まっていなければ事業計画書もないですし、そもそも事業自体が成り立ちません。

 もし、事業コンセプトが明確になっていないまま事業をしているのであれば、どの方向に進むのかも分からず、迷走してしまうことになります。

 このように、事業コンセプトを明確にすることは大切です。

 事業コンセプトは「事業の存在意義」であり、「この事業は何のために行い、どのようなものなのか」を書いていきます。

 この詳細を書いていくこと自体が「事業計画書を書くこと」です。事業計画書=事業コンセプトと言い換えてもよいほどです。

 この事業コンセプトを聞いただけで、「この事業は何をしていくのか」が分かることになります。

 そのためには、まずは「この事業はどんな事業なのか?」を明確にします。

 1.どの市場、どの業界なのか?

 2.どんな製品、商品、サービスを提供するのか?

 3.事業の強みは何か?

 4.他社との差別化のポイントは何か?

 5.それによってどんな存在意義が生まれるのか?

 事業コンセプトを明確にすることによって、従業員、顧客、取引先などにどのような事業なのかを明示することができるようになります。事業計画書の最初にキャッチコピーで書かれていれば、興味を持って詳細の内容を読むようになるのです。

 

ビジョン

 「ビジョン」とは、「事業の最終目的地(ゴール)」であり、「事業のあるべき姿」です。 

 事業コンセプトが「事業は何のために行い、どのようなものなのか」を一文で表したものであれば、ビジョンは「その事業コンセプトのゴール」です。

 よって、ビジョンがなければどの方向に進んでよいか分からず、事業運営が迷走してしまいます。

 ビジョンを明確にすることは、ゴールを決めるということだけでなく、方向性まで決めることにもなるのです。

1 あるべき姿を想像する

 「ビジョンは最終目的地である」と言うように、その事業のゴールを想像してみます。

 そして、そのゴールと事業コンセプトには整合性がなければいけません。

 事業コンセプトは事業の枠組みですので、それを実行した先にゴール(ビジョン)があります。

 よって、事業コンセプトとビジョンに全くつながりがないということは、どちらかがズレているということです。

 事業コンセプトだけで成り立たないですし、ビジョンだけでも成り立たないということが分かります。両者をしっかり踏まえてイメージする必要があります。

2 具体的に言葉にしてみる

 あるべき姿を想像しただけですと、まだ頭の中のイメージであり人に伝えることができません。ビジョンも事業コンセプトと同様に、経営者のビジョンを従業員や社外の人に伝える必要があります。そのため、思い描いているビジョンを言葉にしてまとめてみる必要があります。

 ビジョンに共感することによって、従業員のモチベーションが上がったり、取引先が取引を開始してくれたりします。

3 数値にできるのであれば数値にしてみる

 ビジョンは最終ゴールですので、できるだけ具体的に示した方がよいでしょう。 

 言葉だけでなく数値化するとより具体的になります。数値にできるのであれば、数値にしていきます。

 注意が必要なのは、ビジョンを数値で表した場合、「事業計画書の後半の数値計画との整合性が必要だ」という点です。これを忘れると、ビジョンと後半の数値計画のどちらを信じてよいのか分からない状態なり、それを読んだ人からの信頼を失うことにもなりかねません。

 ビジョンで数値目標が決定できれば、それを計画に落とし込んで進捗管理もでき、組織としての目標が明確になります。

 ゴールを具体的に示す設定方法には、言葉で表現する定性的な目標と数字で表現する定量的な目標があります。

(1)定性的な目標の設定

 事業でめざす将来の姿を言葉で表現します。「産地にこだわった手打ち蕎麦店を全国展開させる」とか「学生一人ひとりの目標設定にコミットできる学習塾」といった表現でまとめてみましょう。もう少し平易なかたちで「地域で行列のできる人気店になる」、「同業種では地域で一番店になる」といった設定でもよいでしょう。

 起業仲間や従業員と一緒に事業を始めるのであれば、目標を聞いたときに自分も参加したいと思うようなワクワク感があると、一緒に事業する人たちと共感できる目標になります。

(2)定量的な目標の設定

 数字で示す場合は、「売上高○○万円」や「経常利益○○万円」というかたちで具体的な売上高、経常利益などの数値を使って記載します。その他にも、市場全体や商圏における占有率、顧客獲得数、展開店舗数などの項目も考えられます。例えば、「5年後にお店を任せられる店長を育成し、地域に10店舗展開する」といった書き方が考えられます。

 目標は、可能な限り定性的・定量的な目標の2つを設定できるとよいでしょう。

ビジョン・目標の設定タイミング

 事業計画を書き始めるときは、「ビジョン・目標」の数値がはっきりと決まっている場合もあれば、ぼんやりとイメージしている場合もあると思います。ぼんやりとイメージしている状況でも、一度仮でゴールを決めてみましょう。    ゴール地点である「ビジョン・目標」を設定することで、スタート地点である「現状」とのギャップが明確になります。例えば、ビジョン・目標を「売上高3億円」とした場合と これを「売上高3百万円」とした場合では、それぞれ取り組む内容が変わってきます。  まずは、どれだけの売上を目標にするかを決めるだけでも、具体的な事業内容が明確になってきます。

 ゴールの決め方にルールはありません。人によって、「無理を承知で、高ければ高いほど良い」という考えもありますし、「達成可能なラインで設定すべき」という考えもあります。 迷った場合には、無理に高い目標を掲げる必要はありませんが、がんばって達成できるような目標がよいでしょう。計画どおり達成できた場合には、経営者自身の達成感やモチベーションの向上にもつながります。  また、理想とする大きな目標と より現実的な目標に分けて考えることも一つの方法です。金融機関向けに提出する事業計画書であれば、現実的な目標を掲げて実現性を重視した目標設定を優先することも考えられます。

 

事業ドメインの決定

 事業計画書の中では、「どの事業ドメインで事業を行っていくか」を明確にします。

 事業ドメインとは、「だれに」「どこで」「どうやって」事業を行っていくかを決めるものです。

 事業ドメインが決まっていると、事業がスムーズに進むことになります。事業ドメインがあいまいですと、競合他社との差がつかず、売上に結びつかなくなってしまいます。

 「どんなお客様を対象にしていくか?」を絞っていくことになります。

 ただし、ここで注意が必要です。「事業ドメインを一度決めると簡単には変更できない」ということです。「あまりに絞り過ぎて、対象顧客が少なすぎた」とか「ビジョンやコンセプトと事業ドメインとの整合性を考えなかったので、事業ドメインの選択を間違えた」ということのないようにしていきます。

 

ターゲットの記載

 ターゲットは、事業コンセプトでいう「誰に」にあたる部分です。提供する商品・サービスを使ってくれるお客さんのことです。ターゲットの記載で、そのお客さんのプロフィールを明らかにしていきます。例えば、お客さんの性別や年代、住んできる場所、職業、趣味、価値観やライフスタイルの考え方、提供する商品・サービス群の利用頻度などについて検討します。 ターゲットを、より明確にするやり方として、想定するお客さんを究極の一人に絞り、ペルソナとして、プロフィールの詳細を作り上げていく方法もあります。

 事業計画にターゲットを記載する場合には、お客さんの数が算定できる書き方ができるとよいでしょう。例えば、「出店地から半径5km圏内に居住する幼児、小学校低学年の生徒」「年収800万円以上の家庭の母親と子供」といった具合に、お客さんになってもらえそうな人の分母の数がイメージできることが大切です。  もちろん、数値計画をつくる上でも、実際にどのくらいの数のお客さんを確保できれば、目標が到達できるかといったことが明らかになります。そのため、数値計画との整合性にも留意しながら記載するとよいでしょう。

 

外部環境を明確にする

 事業計画書の中で「外部環境の把握・分析」は重要です。

 企業が周りの環境に影響を受けず、単体で成り立っているのであれば、外部環境のことを無視してもよいでしょう。しかし、外部との関係なしにビジネスは成り立ちません。したがって、外部の環境を把握して分析し、「自社の事業が求められている背景」を事業計画書の中でも書いていくことになります。

 外部環境とはどのようなものでしょうか。主に以下の4つを見ていきます。

1 経済の状況

 事業に直接関わってくる外部環境が「経済」です。

 地域の経済状況、日本の経済状況、世界の経済状況と、それぞれ関わってくる度合は違いますが、最も直接的に影響を受けやすい外部環境と言えるでしょう。

 株価や為替の動向などの短期的なものや、GDPや消費者物価指数などの動向も含まれます。

 このような経済の状況を把握・分析をします。

2 社会の情勢

 社会情勢も影響を受ける外部環境です。

 人々の思考や嗜好がどのように変化しているかなどを把握することになります。

 少子高齢化などによる社会構造の変化などもここで調査・分析していきます。

 調査機関などが調査したデータを活用したり、国などが発行している白書を活用したりすることで社会情勢を把握することができます。

3 政治の情勢

 政治(国)の方針が事業に影響を及ぼすことも多くあります。

 業種によっては規制を強めたり、規制緩和が起きたりすることによって事業の将来に大きな影響を与えます。直接影響を受けない場合でも、原油などのエネルギー資源が政治的な理由で高騰・下落すれば、間接的に影響を受けるような場合もあります。そのため、政治(国)の情勢も把握しておく必要があります。

4 技術革新

 技術革新の状況からも影響を受けます。

 これまで最新の技術を活用して事業をしていたとしても、それが技術革新によって時代遅れになる可能性もあるからです。

 特に、情報技術(IT)は技術革新のスピードが速いので、情報把握もリアルタイムに行う必要があります。

 以上の4つの外部環境を把握・分析し、事業計画書に盛り込んでいきます。その際、信憑性のあるデータや最新のデータを使う必要があります。「事業が求められている背景」の説明の信頼度が上がるからです。

 

市場規模を把握する

 事業計画書において、「市場規模」を作成することは必要です。自社が対象としている市場の規模が分かれば、自社がどのくらいの市場占有率になるかで売上予想をすることができるからです。

 例えば、市場規模が1,000億円で、市場占有率が0.1%であれば、売上は1億円となります。その時に、市場規模が将来に渡って拡大していく予想であれば、市場占有率が同じでも売上は伸びていくと予想されます。市場占有率が0.1%で変化がなくても、市場規模が1,000億円から2倍の2,000億円になれば売上は2億円となります。市場占有率に変化がなくても、市場規模が縮小すれば売上が減少してしまうともいえます。

 「自社の対象としている市場はどこか?」「その市場規模がどのくらいか?」、そして「その市場規模が拡大傾向なのか?縮小傾向なのか?」を把握することで、自社の売上の状況も予測がつくのです。

 事業計画書において、売上の将来予測の信頼度を高めるためにも、市場規模を把握することは必要です。しかし、市場規模の把握は意外に難しい。自社が対象としている市場において、正しい市場の統計があるとは限らないからです。費用をかければ独自調査をすることはできるかもしれませんが、市場規模だけに多くの費用をかけるわけにはいきません。そこで、国や地方自治体の調査したものや、シンクタンク(調査機関)が調査したものを使うことになります。国などの公共団体が調査したものは信用度が高いのですが、ちょうど合うものが見つかりにくかったり、将来性の分析があまりされていなかったりすることがあります。シンクタンクのほうは、詳細に市場を分けて調査していたり、市場の将来性も分析していたりしますが、費用が高くなる傾向にあります。よって、市場規模を調べるためには、上記の方法やインターネットなどを含めて様々な資料に当たることが大切です。

 最終的には、正しい統計がない限り、それらの資料から市場規模を類推していくことになります。 

 

業界・競合分析

 業界・競合分析では、起業したい事業の業界のトレンドや市場規模、同じような事業を行う競合企業の状況を確認します。  将来の業界の変化も意識しながら、そのプラス面やマイナス面を考えていきます。事業計画を記載する上では、それらの事象のどこに着目し活かしていくのかといったことが大切です。

業界情報の収集と活用

 業界のトレンド情報は、インターネットや専門誌、業界のイベントへの参加や知人、友人から収集が可能です。あるいは、起業する業界が会社勤めをしていたときと同じであれば、かつての同僚や取引先の関係者などからの情報も考えられます。  事業計画書の作成に活用する場合は、収集したすべての情報を網羅的に記載するのではなく、収集した業界のトレンド情報のうち、事業展開に繋がる部分をクローズアップして示すことが大切です。例えば、「業界の中でも計画している事業分野の商品に注目が集まっている」とか、「業界の調査では、他人に紹介したい商品の第一位になっている」といった情報を事業計画に記載していきます。

市場規模データの収集と活用

 市場規模については、公開されている国の統計調査データ(総務省統計局)や事業の立ち上げを考えている業界団体のデータを活用することにより、ある程度の収集が可能です。該当する業界の統計データがない場合は、分類を少し広めに見たときに使えるデータはないか、例えば「ラーメン店」でデータが見つからなければ、「麺類業界」のデータを探索してみるといった方法で確認してみるとよいでしょう。  これらを事業計画書の作成に活用する場合も、業界のトレンド情報と同じように、事業展開に繋がる部分をクローズアップしましょう。例えば、「市場規模が直近3年間で拡大傾向にある」「一世帯あたりの消費額が増加傾向にある」といった情報などを捉えて記載していくとよいでしょう。  また、店舗を出店する計画の場合は、事業計画書の「業界のトレンドや市場規模」の欄の中に「出店エリアの状況」として、出店予定地や商圏内の居住人口、客層などを記載しておくのもよいでしょう。

競合他社の動向

 事業を進めて行く中で、競合他社が「どのような会社」で「どのような動向なのか」を押さえておく必要があります。市場において自社1社だけが存在しているのであればよいのですが、競合他社が存在します。全く新しい分野の進出で競合他社がいない場合もありますが、その場合は「お客様自体もいなくて存続できない」か、「いずれ競合他社がでてくるか」のどちらであるためです。

「競合他社」の把握

 では、その競合他社をどのように把握していくのでしょうか。まずは、自社の対象としている市場を明確化する必要があります。市場が明確なっていないと、そもそもの自社の競合他社すら間違ってしまいます。

 自動車を作っているから自動車会社が競合他社になるとは限りません。ターゲットが40代であれば、自動車を買うのか、家を買うのか迷っている層が市場となります。この場合、自社は自動車会社でも、競合他社は不動産会社かもしれないのです。

 次に、その市場の中で、自社及び競合他社がどのような立ち位置なのかを把握します。自動車業界の例でいえば、トップ企業はトヨタで、それを追うチャレンジャーが日産とホンダ、ニッチを狙うのがスズキとします。自社の立ち位置はチャレンジャーになるのか、ニッチになるのかを判断していきます。

「競合他社の動向」の把握

 動向とは競合他社の状況です。そして、把握できる限りの事を調査します。

 ビジョンや事業コンセプト、ビジネスモデル、事業計画などが分かれば、その「競合他社の動向」の精度が上がります。

 競合他社が上場企業や企業PRを積極的にしている企業であれば、これらの情報の多くを手に入れることができます。

 しかし、中小企業の場合は公表していないことも多い。その場合、取引業者に調査をしたり、信用調査機関に調査を依頼したりと、できる限りの方法で競合他社の動向を捉え、自社の事業計画書の中の競合他社の動向の精度を高めます。

 

事業の優位性

 事業の優位性とは、自社・事業の強みを踏まえた上で、競合他社と比較したときの優れた点を明らかにすることです。  

 先ず、自社・事業の強みを整理、分析していきます。自社の取り巻く経営環境のうち、将来の変化を踏まえながら、直接的なコントロールが利く事象についてピックアップします。その後、事象のプラス面に着目し、競合他社と比較していきます。

自社・事業の強み

 自社・事業の強みとは、具体的には「ヒト、モノ、カネ、ノウハウ」のなかで優れている点です。例えば、「経営者が幅広いネットワークを持っている」「特殊なノウハウで商品・サービスを提供している」「潤沢な自己資金を準備している」「事業に係わる特許権を得ている」といったことです。すべてのことを列挙するのではなく、事業を展開する上で優先度の高いものを記載しています。

優位性

 競合他社や自社・事業の強みを整理、分析したら、市場の中で起業して実施する事業のどこに優位性があるのかといったことを明らかにしていきます。事業計画書に記載するときは、ことばで記載するだけでなく、自社を含めた商品・サービスについての比較一覧表や十字線の図表などを用いるとわかりやすくなります。

 例えば、店舗を開店するときに、商圏内における優位性を十字線の図表で表現する場合は、十字線の縦軸と横軸の項目を設定し、商圏を大きく4の象限に分類します。その上で、競合店、自店を十字線の中に位置づけていきます。どのような軸を設定するのか、「ターゲットとするお客さんの属性」「品揃えの幅」「価格帯」「サービス提供速度」など、様々な軸の設定が可能でしょう。

 ここで留意することは、設定した軸で市場を分類した場合、4つの象限に空白(該当する店舗が存在しない)がでないような軸を設定することがポイントです。商圏内に多数の競合企業が存在する場合、明確に優位性を表現するのであれば、自店の最も特徴的な点を軸の項目として用いれば、自ずと自店が軸の先端側に位置づけられることになり、競合店との比較がはっきりと表現されます。  また、競合状況の確認のために作成した表に自社欄を追加することで、優位性を表現するのもよいでしょう。

 

顧客のメリット

 事業を進めて行く中で、自社と競合他社しかいなければ、自社の状況と競合他社の状況を把握しておくだけでよいかもしれません。 

 しかし、そこに顧客がいなければ事業自体が成り立ちません。「顧客の立場」での視点も事業計画書に盛り込む必要があります。どのような「顧客のメリット」があるかを書いていくことになります。

マーケティングの4C 

 顧客の目線でマーケティングを考える方法として、「マーケティングの4C」があります。

 4つの異なる視点で見ていくと、「顧客のメリット」が明確になるというものです。

 ・Customer Value(顧客にとっての価値)

 ・Cost to the Customer(顧客にとってのコスト)

 ・Convenience(顧客にとっての利便性)

 ・Communication(顧客とのコミュニケーション)

Customer Value(顧客にとっての価値) 

 生産者だけの視点で考えると、顧客の立場を忘れた製品・商品となってしまい、売上が上がらなくなってしまいます。そこで、「顧客にとっての価値」を考えることから始めます。

 「顧客にとっての価値」とは、その製品・サービスが「顧客のどのようなニーズを満たしているか」という観点で見ることができます。

 その製品・サービスを使うことによって、「顧客のどのような不安・不満を解消するのか?」また、「顧客がどのような楽しみや満足を得られるのか?」を徹底的に考えていくことになります。製品・サービスの性能がいくら良くても、顧客にとっての価値に合致していなければいけないということです。

Cost to the Customer(顧客にとってのコスト) 

 「顧客にとってのコスト」とは、顧客がその製品・サービスを手に入れるために、どのくらいのコスト・負担を支払うのかという視点です。

 生産者視点で見ると、「これだけの原価がかかっているのでこの価格」と考えるかもしれませんが、その価格を顧客が許容できなければ売上につながらないのです。

Convenience(顧客にとっての利便性) 

 次は、「顧客にとっての利便性」があるかという視点です。その製品・サービスを入手する時の利便性が良いかどうかという点です。

 「わざわざ遠くまで買い物に行くのではなく、家の近くに24時間開いているお店があれば助かる」という利便性を追求した結果、コンビニエンスストアが誕生しました。

 このように、提供側の視点でなく、購入側の視点(利便性)を考えることが必要になります。

Communication(顧客とのコミュニケーション) 

 「生産すれば売れる」という時代は、顧客とのコミュニケーションがなくてもよい時代でした。しかし、徐々に「双方向のコミュニケーション」を図らないと売れない時代になりました。そして、インターネットの発達によりその傾向が加速しています。今では、顧客とのコミュニケーションなしではモノは売れない時代です。したがって、どのように「顧客とのコミュニケーション」を図っていくかという視点が必要になります。

 以上のように、4つの視点から「自社の製品・商品には顧客にとってのメリットがある」ということを記載していくことになります。 

 

自社の強み

 顧客から選ばれる事業となるには、「自社の強み」が明確になっている必要があります。競合他社より強い点がないと、顧客がその製品・サービスを選ばないためです。

 このとき、「強み」には2つのパターンがあります。「製品・サービス自体に強みがある」パターンと、「事業自体(もしくは会社自体)に強みがある」パターンです。

 自動車メーカーは独自の開発力を使って独自の車を作り出します。車自体に他社にない強みがある必要があります。

 インターネット通販大手のアマゾンは、扱っている商品自体は本などの他社でも売っているものなので、他社との差がありません。しかし、注文の仕組みや物流網の整備など、会社全体が他社と違う強みを持っていることになります。

強みの把握

 次に、「強み」をどのように把握するかという点です。

 「強み」だけを強調しても、第三者から見ればそれが「本当に強みなのか」と疑問に思うかもしれません。また、「強み」があるということは「弱み」もあります。

 ここで、あえて「強み」以外の部分も総合的に分析することによって、結果として「本当の強み」を発見したり明確にすることができます。

 これらを総合的に把握分析する方法が「SWOT分析」と呼ばれます。「強み」「弱み」「機会」「脅威」の英語の頭文字を取ったものです。

 「強み」「弱み」が会社内部のことで、「機会」「脅威」が外部のことになります。 

 「機会」とは、自社にとってどんな事がチャンスになるかという点です。景気がよい時には売上が上がりやすいので、それをチャンスととらえることができます。

 「脅威」とは、自社にとってどんな事がピンチになるのかという点です。法律の改正によってその事業がマイナスの影響を受けるのであれば、それをピンチととらえることができます。

 このように、「自社が強い」と思っていることだけを書いても説得力が低いのですが、「強み」「弱み」「機会」「脅威」まで把握分析していく中で、「強み」を記入することによって説得力が増すことになります。

 なかなか「自社の強み」が分からないこともあります。そのようなときに、SWOT分析を行い、「機会」「脅威」の外部分析をしているうちに、「自社の強み」に気付いたり、「弱み」を分析している中で「自社の強み」が明確になったりすることもあります。

 もちろん、「競合他社」が明確になっていないと、そもそも自社の強みと弱みが分かりません。「市場」が明確になっていないと「機会」「脅威」も分かりませんので、「競合他社」や「市場」を明確にしておく必要はあります。

 

商品・サービス

 事業計画書の中で「商品・サービスの説明」をしていきます。

 大企業の商品・サービスであれば、多くの人がテレビCMなどで知っているので簡単かもしれません。しかし、ほとんどの中小企業では、なかなか商品・サービスを知ってもらえていない場合が多いので、説明するのに以下のようなことを理解してもらう必要があります。

 1 どんなコンセプトに基づいて生み出された商品・サービスなのか?

 2 どんな自社の強みが生かされた商品・サービスなのか?

 3 他社の商品・サービスと何が違うのか?(どこが差別化されているのか?)

 これを説明することによって、事業計画書の売上や利益の予想の信用性が上がることになります。

 また、上記の説明の仕方も重要になります。商品・サービスの説明を文章だけで表そうとしても難しいですし、読み手としてはイメージがわきにくいからです。そのような場合には、図や写真を使うことで分かりやすさが増します。例えば、「和菓子」が商品だとして、その商品の「良さ」を文章だけで表すより、写真を掲載したほうが一目瞭然です。また、「和菓子」が商品だとしても、差別化のポイントが価格や配送であれば、図式化して説明した方がわかりやすくなります。

 差別化ポイントがサービスの場合は、しっかりとした文章で説明するほうがよい場合もあります。サービスの説明を図や写真で行うと曖昧になりやすいためです。

 

提供方法・仕組み

 昨今では、提供する商品・サービスは、競合相手と同質化しやすいことから、提供方法や仕組みについては事業者がそれぞれ創意工夫を凝らしているところかと思います。そのため、説明はなるべく簡潔に記載することが大切です。商品・サービスの提供方法や手順など、モノやお金の流れ、仕組みなどは、ことばだけでなく図表化するとよいでしょう。 ま た、商品・サービスの提供によるお客さんの気持ちの変化やメリットなどもフローチャートを加えると、さらにわかりやすくなります。例えば、飲食サービス、食料品販売、クッキング教室サービスなどを展開する店舗で、「最初に飲食施設のレストランで料理を知ってもらい、興味が沸いて食材を購入して自宅で再現してもらい、さらに興味が深まり、より美味しく調理する方法を学ぶためにクッキング教室に通ってもらう」仕組みがあるとすると、フローチャートで示すと一目瞭然でしょう。

 

販売戦略

 事業計画書の中では「販売戦略」を盛り込んでいきます。商品・サービスが良くても販売戦略を間違えば、「商品・サービスが売れない」または「余計な経費をかけてしまう」ことになるからです。

 販売戦略を間違ってしまうケースには以下のようなことが考えられます。

 ・ニーズがあるのに提供できない

 ・顧客に「良さ」が伝わっていない

 ・ニーズがないのに販売しようとする

1 ニーズがあるのに提供できない

 顧客がその商品やサービスを欲しいと思っている(ニーズがある)状態であるのに、商品・サービスを提供できない状態です。

 商品・サービスの開発の遅れという意味ではなく、販売戦略にミス(販売経路を確保していない、販売体制が整っていないなど)がある場合です。これではせっかく良い商品・サービスがあっても販売できません。従って、どのように販売をしていくのか(販売経路、販売体制)を早急に整える必要があります。

2 顧客に「良さ」が伝わっていない

 質の良い商品・サービスがあり、さらに顧客ニーズがあるにも関わらず売れないということもあります。他社商品に比べて性能は自社商品の方が良いのに、それを販売戦略(マーケティング)で伝えきれていないがために、他社商品に顧客が流れていってしまっているパターンです。

 単に商品・サービスを並べているだけではその「良さ」は伝わりません。

 どのように顧客ニーズに合致した商品・サービスであるかを訴えるのか、その方法を検討する必要があるのです。

3 ニーズがないのに販売しようとしている

 顧客のニーズがないのに販売しようとしても売れません。しかし、顧客のニーズをつかまずに販売戦略を立てればこのようなことになりかねません。

 例えば、冬物のコートを夏に売ろうとしても売れません。また、小学生向けの商品を大人に売ろうとしても売れません。顧客のニーズをつかまないまま販売戦略を立てているということは、まさにこれらと同様の事をしているのです。よって、顧客のニーズを先に知っておく必要があります。

 以上のことからわかるように、以下の3点が正しい販売戦略となります。

 ・「販売経路、販売体制を整備する」

 ・「商品・サービスの良さを伝える」

 ・「顧客のニーズを把握する」

 これらがいかに整っているか、または、どのように整えていくのかを事業計画書に書くことによって、その事業の販売・売上の状況が想定できるようになるのです。

 

ビジネスモデル

 ビジネスモデルとは、その事業がどのような仕組みで利益を出していくのかを表したものとなります。

 具体的には、「どんな商品の流れ」で、「どんな取引の流れ」で「どんな資金の流れ」なのか、ビジネス全体の流れを図式化していきます。

 ビジネスモデルの作成では、ビジネス全体の流れを図式化していきますので、個々が分断されていては流れになりません。

 ビジネスのスタートからゴールまでをつなぐストーリーを作っていくと言い換えることもできます。

 ストーリーですので、登場人物は一人(自社)だけではありません。従業員、顧客、取引先、支援者など多くの関係者が登場します。

 そして、それらを巻き込んでコンセプトに共感してもらい、購入してもらい、利益を出していくというストーリーになるのです。

 この中で、「利益を得るポイント」を明確にしておく必要があります。例えば、映像コンテンツを作成・提供するビジネスでも、映画のように観客から料金を取るビジネスモデルもあれば、テレビにように視聴者からは直接料金を取らず、スポンサーから広告収入を取るビジネスモデルもあるのです。

 

社内体制(組織図)

 事業計画書の中に社内体制を書くことがあります。もちろん、一人でビジネスを行っている場合は社内体制を書く必要はありませんが、複数人でビジネスをしている場合であれば、社内体制は必要となります。

 事業計画書は、社内向け(実行者向け)でもあり、社外向け(投資家、銀行、補助金をだす省庁など向け)でもあります。

 社内の人にとっては、「自分たちは何をすれば良いか」などの役割分担が明確になり、スムーズに事業計画書を実行できるようになります。社外の人々にとっては、どんなに良いビジネスモデルでも「それを実行できる社内体制かどうか」「もし不都合なことが起きたときに対応できる組織かどうか」などを知りたいからです。

 すなわち、複数の人が介在してそれを実行できるかどうかを判断するためのものです。

社内体制の作成方法

 「社内体制」を作成していくには手順があります。

 この事業においてどのような役割分担が発生するか検討します。

 その役割分担をどの部署または誰が行うかを検討していきます。規模が大きければ部署単位となりますし、数人規模であれば個人として誰が行うかを検討します。部署の場合は何人体制なのか、個人の場合であれば個人名まで記入すると、読み手は「この社内体制で実行できるかどうか」の判断がしやすくなります。

 検討した結果、修正が必要であれば修正します。実行できるとなれば、その役割・分担で決定します。

 決定した役割分担を社内体制として文章または図にまとめます。

 以上の手順で社内体制を作成していきます。

 実際に実行するための事業計画書であるので、しっかり検討したうえで決定することが大切です。後から「この体制では実行できなかった」では社内が混乱しますし、社外の人からの信用も失ってしまいます。もちろん、これは計画ですので、実行したときに修正・変更することはあり得えます。そのため、事業計画書に記載したあとに修正・変更できないということではありませんが、初めから混乱を引き起こすような社内体制にはしないほうがよいと言えます。 

 

販売計画

 販売計画は、いくらのものを何個売るかを予定したもので、売上をどうつくっていくかという計画です。販売計画を作成するうえでは、売上がどのような積算で成り立つかを考える必要があります。

 業界や競合企業の状況、地域の事情、業歴(認知度)を踏まえて、1年目、2年目、3年目の売上を設定していきます。

(1)取扱商品・サービスのアイテム数が少ないとき、又は顧客数が限定されているとき

  平均商品単価×年間販売数

 平均商品単価は、品揃え商品の平均単価です。年間販売数は、お客さんの数や一度に購入するボリュームも含めて予測します。また、取扱商品の詳細が決まっていないときは、主力商品とその他の商品群にわけて積算してみるのもよいでしょう。

(2)取扱商品・サービスの幅が広く、顧客数が多いとき

  1日あたりの客数×客単価×年間営業日数

    客単価は、一人のお客さんが一度の利用で購入してくれる金額

 このときの客数、客単価は予測になりますが、希望的観測ではなく、客数であれば、店舗がある通りの通行量や商品の特性(日常的に購入する商品か、そうでないのか)を考慮したりする必要があります。

(3) 店舗販売が中心のとき

  1坪(3.3m2)あたりの年間売上高×売場面積

 このときの1坪(3.3m2)あたりの年間売上高は、日本政策金融公庫のHP小企業の経営指標調査などで確認ができます。

(4) 飲食店や理美容店などのとき

  客単価×席数×回転率×営業日数

 回転率は、設置してある座席数がどのくらい回転したかといったことを図る指標です。例えば10席ある店舗で100人のお客さんが来店したら10回転したことになります。一般的に、客単価が高ければ、回転率は低く、客単価が低ければ、回転率は高く設定するといった考え方になります。

 事業計画書の中では数値計画が重要です。特に、売上に関する計画(=売上計画)は重要性が高い。最終的には利益を出すことが目的ですが、利益の一番の元になっているのは売上だからです。いくら経費削減や原価低減をしても、売上がなければ利益が出ることはありません。

 売上計画の基本的な考え方を見ていきます。

 売上を分解すると、「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」となります。

 例えば、1万円の商品1,000個を月に2回購入する取引先があるとします。

 この時、月の売上を計算すると「1万円×1,000個×2回=2,000万円」となります。

 事業計画書の中で売上を伸ばしていくことを考えれば、これらのうちのいずれか、または全部を伸ばしていくことになります。

 例えば、パソコンメーカーであれば「機能を充実させた新製品を開発し、単価を上げる」、パン屋であれば「朝食用のパンを購入する人におやつ用パンを促すことによって、購入数量を増やす」、ラーメン屋であれば「今まで月1回しか来ない顧客に対して特典カードを発行することで、月2回に来店頻度を増やす」などです。

 このように考えると、自社がどのような業態かを考える必要があります。

 自社の業態から分析すると、以下のように分けて考えることもできます。

 ・営業を仕掛けてこちらからPRする

 ・店舗で顧客が来るのを待っている

 ・それらの複合系である

 どの企業に対してどのような対策を行うかということまで考えます。 

 新規営業であれば、どのような企業を対象にするのか、その市場規模はどのくらいかなど具体的に調べていきます。既存の取引先があるのであれば、「売り上げシェア上位2割の取引先に対してどんな対策を打つのか」「下位の企業に対してはどのように対応するのか」などを具体的にしていきます。そうすることによって、売上計画の精度が高まります。

 店舗型の場合、来店を増やしたり、購入数を増やしたりすることを考えるのと同時に、効率化を考えます。

 例えば、10席しかない飲食店では同時に入れる顧客数は限られます。そのため、顧客の回転率を考えなければなりません。

 旅館などでは、週末の稼働率が100%であれば、週末の売上はこれ以上伸びないということになりますが、平日の稼働率を上げることによって、売上全体の底上げを図っていきます。 

 よって、基本は「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」ですが、各業種、各企業によってさらに細かく分析し、売上の計画を立てていくことなるのです。

売上原価計画

 売上計画を作成したら、次は売上原価の計画も立てましょう。

 売上原価とは、売上に対して直接掛かっている費用のことです。

 売上から売上原価をマイナスすると、売上総利益が計算できます。

 売上総利益は「粗利」とも呼ばれ、利益の中でも基礎となるものです。

  売上総利益=売上−売上原価

 売上総利益から一般の費用(販売費および一般管理費)や営業外に掛かった費用などが引かれ、利益を算出していくので、売上総利益が黒字でないと経営が成り立ちません。

 その売上総利益を計算するためには、売上原価が必要です。

売上原価に含まれる要素

 売上原価にはどのようなものが該当するのでしょうか。これは業種によって変わります。

・商品を仕入れてそのまま販売する業種の場合

 この業種が一番売上原価を計算しやすいです。

 例えば、10万円のパソコンを仕入れて15万円で売るような業種です。

 「売上15万円-売上原価10万円=売上総利益5万円」となります。

 なお、仕入れても売上なければ在庫となり、売上原価になりません。

・材料を仕入れて加工し販売する業種の場合 

 この業種は少し複雑です。同じ費用でも製造に掛かる費用は原価であり、その他の費用と区別します。

 例えば、同じ人件費でもその製造工程に掛かる人件費は原価であり、本社の経理をしている人などは原価に入りません。

 これらを製造原価と言います。

 オーダーメイド製品のように、一品一品個別に製造する場合は、「その製品を作るためにどの材料を使ったか、どのくらい人件費が掛かったか」を計算できます。

 これを個別原価計算といい、直接かかった分を原価に組み入れます。

 しかし、大きな工場のように大量に多品種の物を製造している場合、どれがどの製品に費やされたかが分かりません。

 そのため、計算上で一個当たりの製造原価を算出します。これが総合原価計算です。

・その他の業種の場合

 サービス業などのその他の業種では、売上原価はそれぞれの業種によって異なります。 

 例えば、飲食店では材料費を原価にします。人件費や家賃なども基本的には原価に含めます。

 しかし、直接売上に関係しない作業をすることもあるので、それぞれの企業の判断によって例外的に原価を含めない場合があります。

 基本的な考え方としては、「売上に直接関係する費用については売上原価とすべき」ということです。

 

仕入計画

 販売計画は、いくらのものを何個売るかを予定したもので、売上をどうつくっていくかという計画です。販売計画を作成するうえでは、売上がどのような積算で成り立つかを考える必要があります。

 原材料や販売する仕入品全体の仕入金額や仕入先が何社あって、どのくらいの数や金額を仕入れるのかといったことを予定します。  計画作成時に詳細が決まっていなければ、仕入先の名称や仕入先数を書いておきましょう。また、既に仕入先毎の仕入原価率が決まっているときは、それぞれの仕入金額まで予定しておきましょう。支払い条件なども決まっていれば記載しておきます。

販促・集客方法

 どのような販促や集客方法を活用し、どのように顧客に販売するかを具体的に検討します。

 

人員計画

 「売上計画」を作成していきましたが、それを実現するためには人員計画も必要となります。

 数人の会社や売上規模の小さな会社であれば、人員計画もそれほど複雑ではありません。しかし、通常は売上を伸ばそうとすれば、それだけ人員も必要となります。

 売上計画を立てたとしても、人員が足りずにそれが達成できないとなれば、そもそもの売上計画が意味を成しません。売上計画を無視して必要以上の人員を雇いすぎれば、利益圧迫、赤字の原因にもなりかねません。そのため、売上計画だけでなく人員計画も重要なのです。

 人員は、売上に比例して増やせばよいというわけではありません。

 例えば、3年後に売上を1億円増やす計画を立てるとします。そこで、現状では「1人当たり100万円の売上を上げている」ため、この計算をもとに「人員を100人増やせばよいか」というと、そうではありません。それらを支える間接部門の採用も必要かもしれませんし、すでに在籍している人員とこれから採用する人員が同じだけの能力があるかもわからないからです。これから採用する人材の方が能力が落ちることもあります。その際には、教育研修費が余分にかかるかもしれません。これから採用する人材の方が能力が高いという場合であれば、一人当たりの人件費が高くなるかもしれません。

 業種や景気によっては採用予定通りに進まない可能性もあるので、それらを見込んだ計画にしていく必要もあります。

 さらに、人員計画は人数だけでなく、人件費の計画でもあります。人件費が利益に大きなインパクトを与えるからです。

 どのくらいの給与が必要で、どの程度の法定福利費(社会保険など)や福利厚生費(通勤費など)がかかるかまでを計画をすることになります。

 人員計画は「売上計画や利益計画(人件費の計画)との整合性」を意識して作成する必要があるのです。

人件費の算出

 人件費は、設定した年間の給与に人員の人数を掛けて算出します。また、パート・アルバイトについては、時給を年間の時間数で掛けて算出します。社会保険の会社負担分などの法定福利費、残業代についても、一定の割合(例えば給与額の25~30%程度)を見積もり、人件費を算出しておくとよいでしょう。  また、経費の中でも人件費は割合が高い項目ですので、損益計画が仕上がった段階で起業する業種の経営指標と比較してみましょう。人件費が絡む経営指標として、人件費対売上高比率や従業員一人あたり人件費を確認してみるとよいでしょう。日本政策金融公庫のHP小企業の経営指標調査などで確認ができます。

 

設備計画

 次に、設備計画を作成していきます。設備計画は企業によっては不必要なこともあります。

 設備計画とは、固定資産などの設備に「いつ」「どのくらい」投資するかを計画するものです。事業活動の中で固定資産が必要でない企業であれば、設備計画も必要ではありません。

 ここで気を付けなければいけないのは、設備投資を「工場などを建てる製造業だけが対象だと考えてしまうこと」です。ただし、この考え方は誤りです。

 例えば、「自社は飲食店なので工場も機械も購入する予定はない」と考えたとしても、企業成長に伴って大型の冷蔵庫を購入したり、新店舗を建てたり、改装したりする可能性もあるのです。

 よって、「この業種だから必要だ・不必要だ」という観点ではなく、自社の事業計画書の内容によって、設備計画が必要か不必要かが分かれるのです。

 ところで、設備とは具体的にどんなものを指すのでしょうか。一般的には固定資産を差します。

 固定資産とは、長期に渡って使用・保有する購入金額が10万円以上の資産を言います。よって、設備計画では「固定資産をいつ、どのくらい購入・投資していくか」を計画していきます。

 設備計画は「利益計画」や「資金計画」とも大きく関わってきます。固定資産は購入時に費用化せず、耐用年数に応じて費用化していくからです。これを減価償却といいます。そのため、固定資産の購入時期や購入金額が利益計画に大きく影響するのです。

 さらに、固定資産の費用化の方法(減価償却費の計算方法)は、定額法と定率法という方法があり、どちらを採用するかによって各年度の利益は大きく変わります。耐用年数も固定資産の種類によって違います。

 厳密に計算するのであれば、税理士と相談して耐用年数と減価償却の方法を加味して計画してください。

 次に、設備計画がどうして資金計画に関係するのかという点です。

 固定資産を購入する際の支払いについては様々な方法が考えられます。

 自己資金で一括支払いする場合やリースを組む場合、分割で支払う場合、金融機関から資金調達してその資金で支払う場合などです。

 固定資産を買うことを決定するだけでは不十分で、事業計画書全体としては、「どのように支払うか」という資金計画までを決めておく必要があるのです。

 設備計画も事業計画書全体で考える必要がありますし、利益計画、資金計画との整合性が重要となるわけです。

投資・調達計画

 店舗の内装や什器、飲食業であれば、店舗の内装に加え、ホールの客席のテーブルや椅子、調理作業台やグリルなどの厨房の機器、サービス業であれば、事務所のデスクやパソコンなどにかかる資金です。また、形のあるものだけではなく、ホームページの開設や回線の設置にかかる費用が含まれます。  次に考えるのは、どのくらいのレベルのものを準備したらよいかです。事業のコンセプトや提供する商品・サービスに欠かせないものについては、それに見合う有益なものを検討すべきです。しかし、起業時には様々な費用がかかります。中古やリースも含めて検討し、なるべく支出を抑えていきましょう。  「小さく産んで大きく育てる」という発想を持ち、必要最低限で投資を計画していくとよいでしょう。

運転資金の考え方

 運転資金は、事業を行うために日常的に必要なお金のことです。例えば、人件費、外注費、広告費などの諸経費が該当します。また、商品や材料の仕入れ代、賃料や納付する税金も運転資金になります。  起業時においての必要な運転資金は、これらの費用の3~6ヵ月分、月商の2倍前後といった見方があります。いざ事業を開始してみるとなかなか売上が伸びない、あるいは、予定以上の費用がかさむといった事態もありえますので、運転資金は余裕をもって準備するようにしましょう。

自己資金の考え方

 自己資金については、起業前に十分に準備しておくことが大切です。 起業時にある程度の初期投資が必要な飲食業などの業種は、500~1,000万円程度、その他の業種でも数百万円は準備しておくとよいでしょう。

借入による調達

 金融機関からの借入を検討する場合は、起業に必要な資金総額の3~5割程度の自己資金を確保するようにしましょう。自己資金がしっかりと準備されているということは、事業計画が練られているのと同じように、本気度が高いう印象につながります。起業するために、資金をコツコツと貯めてきた人は、借入を依頼する金融機関からも良い評価を得られるはずです。親族からの借入を検討する場合は、対外的には自己資金と同等に見られることもありますが、厳密に考えれば、将来返済が必要になる借入です。親族とはいえ、むやみに借りるのではなく、自己資金を確保したうえで必要額を借入することが大切です。

 

利益計画

 売上がいくらあっても、利益がなければ経営は成り立ちません。利益計画は大変重要です。 

 しかし、「3年後、5年後には利益はこのくらいになっている」というような利益の予想だけを立てても意味がありません。

 では、「利益計画」はどのように立てるのでしょうか?

 利益は段階によっていくつかの種類に分かれます。

 売上から原価を引いたものが「売上総利益」、または「粗利益」と言います。

  売上-売上原価=売上総利益

 売上総利益から「販売費および一般管理費」を引いたものを営業利益といいます。

  売上総利益-販売費および一般管理費=営業利益

 販売費および一般管理費は、販売費と一般管理費に分かれます。

 販売費は広告宣伝費など販売に掛かる費用で、一般管理費はバックオフィス機能など、事業活動を行う上で一般管理に掛かる費用全般をいいます。

 営業利益は「事業活動で生み出した利益」という意味を持っていますので、ここが赤字ですと、事業活動で利益を生み出していないともいえます。

 さらに、営業利益から営業外収益をプラスして、営業外費用をマイナスしたものが「経常利益」です。

  営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益

 営業外収益・営業外費用は、事業活動以外で経常的に発生する収益・費用です。

 例えば、長期に銀行借入をしている企業であれば、支払利息が営業外費用の代表的なものです。

 経常利益から特別利益と特別損失をプラスマイナスしたものが、「税引き前当期純利益」となります。

  経常利益+特別利益-特別損失=税引き前当期純利益

 特別利益・特別損失は「経常的ではない特別な理由で起きたもの」です。

 例えば、固定資産を売却した時の売却益・売却損などがそれにあたります。

 税引き前当期純利益から税金を引いたものが当期純利益となります。 

  税引き前当期純利益-税金=当期純利益

 事業計画書の利益計画は、詳細に作るのであれば「当期純利益」までを作成するのがよいでしょう。 

 そこまで詳細に作成しない場合でも、事業活動で利益が出ているかどうかを判断できる「営業利益」までは最低限作成するべきです。

 このように見ていくと、利益計画は「売上計画」「原価計画」「人員計画」「設備計画」ができていないと作成できないことがわかります。

 販売費および一般管理費も、「売上に関わらず発生する固定費」と「売上に応じて発生する変動費」に分かれます。売上計画をしっかりと作成していないと「経費の計画=利益計画」が作成できないのです。

 なお、起業時に詳細の試算が難しい場合には、同じ業界の平均的な売上原価率(売上原価÷売上)の指標を参考にするのも一つの方法です。 日本政策金融公庫のHP小企業の経営指標調査などで確認ができます。

 

資金計画

 「利益が出ていること」と「資金があること」はイコールではありません。

 例えば、利益計画で3年後に利益が出るようになるとしても、1年目や2年目に資金が不足してしまえば、3年目まで事業を継続することができないからです。また、3年という長いスパンの話だけでなく、短期的にも重要となります。

 例えば、黒字経営をしていたとしても、今月の支払いのための資金が不足すれば倒産してしまう可能性があるのです。

 利益計画は、損益計算書の計算方法に合わせて発生主義で計算されています。

 発生主義とは、資金の動きではなく、その事象の発生に合わせて計算をする方法です。

 例えば、11月1日に30円分仕入を行い、その商品を100円で販売します。その取引を掛取引にして、支払いも入金も翌月の12月末日だとします。利益計画では、11月に売上高100円、原価30円なので、利益70円となります。しかし、11月末の時点で利益が70円あっても、手元に現金があるわけではないので、それを使って他の支払いに充てることができません。

 このように、利益(損益計算書)の動きと資金の動きは違うので、資金計画が必要となってくるのです。

 売上計画と利益計画で出てきた数値を、資金の増減に合わせて表を作り直したものが資金計画となります。

 例えば、売上が100万円の取引があったとしても、取引先によって入金のペース(入金サイト)が違えば、資金計画も大きく変わります。 

 売上100万円の入金のペースが「A社50万円分は即入金、B社50万円分は1ヵ月後入金」の場合と、「A社30万円分は即入金、B社30万円分は1ヵ月後、C社40万分は3ヵ月後」の資金計画では、資金計画はまったく異なるものになります。

 これは支払いの場合も同様です。仕入を30万円分したとして、すべてが同じ条件での支払いペースでないのであれば、それぞれの取引を反映した資金計画になるようにします。

 このように、販売先や仕入れ先毎の取引を加味して計算することになるので、売上計画、利益計画も詳細に作成しておかないと、資金計画の精度が低くなってしまいます。

 資金計画では「いつ、いくら資金が不足するのか」ということが分かります。これが分かることによって、「銀行からの借入の資金調達や返済をどのようにしていくのか」という、さらに精度の高い資金計画が立てられるようになるわけです。 

 

リスク計画

 ここで言うリスクとは、「計画通りに進まない可能性」のことです。

 リスク計画とは、もし計画通りに進まない場合にはどのような対処をするのかを初めから検討しておくことです。 

 これによって、もし事業計画書通りに進まないときは、すぐに対応策を講じることができ、リスクを最小限に抑えることができるようになります。

 リスク(計画通りに進まない可能性)は、大きく分けると2つに分かれます。自社で「コントロール不可能なリスク」か「コントロール可能なリスク」かです。

 「コントロール不可能なリスク」とは、リスク自体を自社の事業計画の範疇で避けることができなかったり、軽減できなかったりするものです。例えば、「景気の低迷」「地震などの天災」「銀行の倒産」「取引先の倒産」「流行り廃り」などです。これらのリスクは自社でコントロールできません。

 よって、リスク自体を避けたり軽減したりはできませんが、「それらが起きたときにどのような対処ができるか」を考えておくことが大切です。

 「コントロール可能なリスク」は、リスク自体を自社で避けたり、軽減できたりするものです。例えば、従業員の退社、顧客からのクレーム、オペレーションミスによる誤配送、納期の遅れなどです。これらのリスクは社内の取り組みによってそれ自体を避けたり、軽減できたりする可能性があります。さらに、もし起きてしまった場合の対処も検討しておく必要があります。

 「コントロール不可能なリスク」と「可能なリスク」は、不可能なリスクの方が大きな影響を与えやすい。しかし、昨今では、可能なリスクでも大きな影響を与える場合があります。例えば、クレーム対応を疎かにしたことでネット上に悪口を書かれ、大きな売上減につながることなどです。

 よって、どのリスクにも真摯に対応することが求められます。

 なお、リスク計画は「それが起きない可能性」もあるので、売上計画や利益計画などに比べて後回しにされやすい。しかし、それが起きた際に「何も準備していない」のと「準備している」のとでは、対応も結果も全く変わります。

 さらに、銀行や投資家などの第三者に事業計画書を見せる場合には、リスク計画までしっかりと立てられている方が、安心して融資や投資がされやすいというメリットもあるのです。

 

アクション・プラン(PDCA)

 事業計画書をいくら綿密に作成しても、それが実行されなければ意味がありません。

 そこで、実際に「誰が」「いつ」「どのように」実行するのかを具体的なプランにする必要があります。これを「アクションプラン」といいます。

 さらに、アクションプランは、単に実行するだけではなく、それをチェックして改善までつなげることが求められます。これを「PDCAサイクル」といいます。 

 1.計画を立てる(PLan)

 2.実行する(Do)

 3.評価・検証する(Cheak)

 4.改善する(Action)

 アクションプランは、このPDCAサイクルがしっかりと回るように作成されます。

 とは言っても、いきなり一つ一つの作業のアクションプランを作ろうとすると、漏れやダブりが出てしまうかもしれません。漏れなく、ダブりなく作成するためには、最初に大きな分類を作り、ブレイクダウンして徐々に一つ一つのアクションプランにしていきます。

 企業規模にもよりますが、「大分類⇒中分類⇒各項目」という流れがよいでしょう。

 大分類は企業や業種によっても変わりますので、自社に合った大分類にします。飲食業であれば、「仕入、調理、接客、広報、店舗管理、在庫管理、顧客管理、財務」が考えられます。営業会社であれば「仕入、物流、販売在庫管理、人事管理、財務」になるかもしれませんし、製造業であれば「製品開発、製造管理、物流管理、材料管理、広報、人事管理、財務」になるかもしれません。漏れやダブりがないように、大きな分類にすることがポイントです。

 次に、その大分類を基にして中分類に分けていき、最終的に各アクションにブレイクダウンしていきます。

 例えば、上記例の飲食店の「仕入」を、中分類で「発注」「受け入れ」「保管」としていきます。

 そして、中分類の「発注」を具体的な作業に分けていきます。「見積もり依頼」「相見積もり調査」「発注量決定」「FAXにて発注」などです。

 ここまでが完成したら、その具体的な作業を「いつ」「誰が」「どのように」行うのか、というアクションプランを立てていくことになります。

 これにより、漏れがなく、ダブりのない具体的なアクションプランが作成できます。

 アクションプランが作成できると、皆が迷いなく実行することができますし、実行の進み具合もチェックが行いやすい。

 そして、このアクションプラン通りに実行できているかどうかをチェックするのが「評価、検証(Cheak)」です。このチェックによって、アクションプランが良かったか悪かったかが評価出来ます。

 さらに、実行の評価を・検証をするだけでは終わりません。評価・検証をしたことを、次の対策(次のアクションプラン)を立てる時に役立てます。これが、「改善(Action)」になります。 

 

スケジュール

 事業計画書の中にスケジュールを記載していきます。

 新規事業の場合であれば、スケジュールをしっかり立てないと遅れが出て、予定通り事業がスタートできないこともあります。

 また、スケジュールは自分自身が何をしていくかという確認になります。

 さらに、社内(部下やメンバー)のスケジュール管理にも使えますし、社外の人に依頼・協力を求める際にも使えます。

 スケジュールは表形式を用いて一覧にし、時系列で見ることができるようにすると便利です。

 「いつ、どんなことをしなければならないのか」、「いつ、どのようなことが必要なのか」などを表に記入していくことで、スケジュール表ができあがっていきます。

 複数の人が関わっている場合は、「誰が(どの部署が)その作業を行うのか」なども明確にしておくべきです。そうすると、プロジェクト管理の要領で「いずれの作業も遅れがないか」の進捗管理ができます。万が一遅れが出た場合でも、すぐにその担当者(担当部署)に対応を指示・依頼できます。

 このように、スケジュールを一覧にしておくことで、自分のスケジュール管理、事業全体のスケジュール管理ができるのです。

 

補足資料

 「事業計画書」に補足資料を添付することがあります。

 補足資料は大きく分けて2種類あります。

 1つは「事業計画書の中で追加説明があったほうがよいもの」です。例えば、高度な技術の説明などで使われます。エッセンスは事業計画書の中で説明が必要ですが、詳細は補足資料として添付した方が、全体の流れとして説明しやすい場合などです。

 もう1つは「会社、事業の概要の裏付けデータ」です。

・商業登記簿謄本

 会社の正式名称や本店所在地、目的、資本金などが記載されています。

・会社定款

 会社を設立したばかりであれば、設立時の目的や事業内容が書かれています。長く会社を経営している場合、定款内容に変更があると商業登記簿謄本に記載されていることもありますので、これら2つは補足資料として添付した方がよいです。

・決算書(法人税申告書控含む直近3期分)

 事業計画書の中では今後の売上や利益の成長性を記載していきますが、その元となる現状の決算状況を伝えるためのものです。

 株主名簿が必要な場合でも、別途必要だと言われない限りは、決算書の中で株主構成が記載されているので代用可能です。

・資金繰り表

 資金調達する場合などは、資金の状況(過去1年分から今後1年分ほど)を伝えることが必要になります。

・月次の試算表

 事業計画書作成時期(提出時)が決算直後であれば不要ですが、決算から数ヵ月たっている場合は直近の月次の試算表がある方がよい。

・役員名簿(略歴含む)

 役員構成も事業の遂行に影響があるので、どのような人がいるのか、どのような経歴なのかを伝えることがあります。

・その他

 営業用資料や会社案内、新聞・雑誌などの掲載記事など

 会社の内容を伝えるために会社案内や営業用資料があれば添付します。

 また、過去に新聞や雑誌などで取り上げられたことがあるのであれば、それを添付するとPRにもなります。

 上記のような、事業計画書の内容を裏付ける資料を添付します。上記以外でも必要なものがあれば添付しておくとよいでしょう。

 

サマリーの作成

 事業計画書がほぼ完成した時点で、その内容を用紙1枚にまとめてみましょう。

 これは事業計画書の要約であり、サマリーと呼ばれます。

 サマリー(要約)は、事業計画書の読み手の立場になると分かるかもしれません。

 事業計画書が何十ページにもわたっている場合、それをすべて読み込むのはとても大変ですし、全体を理解するのに時間がかかってしまいます。よって、最初にサマリーがあれば、その概要を理解したうえで事業計画書を読んでいくので理解も深まります。

 また、投資家や銀行などの融資の判断の場合には、多くの企業の事業計画書を読む必要があるので、詳しく読むかどうかをサマリーを読んで決める場合もあります。

 注意点としては、サマリー自体が長過ぎては「内容を要約する」という目的が達成できませんので、長々と書かずに用紙一枚程度にまとめることです。このときに、事業計画書の中のポイントとなる部分をしっかりと押さえたサマリーにする必要があります。もし分担して事業計画書を作成している場合には、全体を把握している責任者がサマリーを作成するべきでしょう。

 サマリーを入れ込む場所としては、事業計画書の最初の方に綴じることになります。これは読み手が最初の方で読みたいものであるからです。

 なお、サマリーに記載する内容は要約です。事業計画書に書いてきたことをまとめることになります。

 概ね以下の内容になります。

 ・事業についての考え方や経営者の想い

 ・全体戦略、状況の分析、データ

 ・ビジネスモデル、具体的な戦略、戦術

 ・上記を踏まえ数値計画

 サマリーは重要度も高く、事業計画書の総まとめでもあるので、気を抜かずしっかりと作成していきましょう。 

製造業(メーカー)の事業計画書

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飲食業の事業計画書

店舗型サービス業の事業計画書

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