製造業(メーカー)の事業計画書
製造業は、飲食業やサービス業のように一般の人が普段接することができる業種と違い、外から見えにくい業種です。よって、事業計画書もそれを前提に書いていくことになります。
製造業(メーカー)の事業計画書では、以下のポイントに気をつけてください。
・どのようなビジネスモデルか
・市場・顧客のニーズを把握しているか
・設備投資(売上・利益計画及び資金計画)は反映できているかどうか
1 どのようなビジネスモデルか
製造業では、サービス業や新しい業種のような「複雑なビジネスモデル」や「革新的なビジネスモデル」は少ないと思われます。
しかし、いくつかの代表的なビジネスモデルのうち どれに当たるかは記載が必要です。
製造業は外部から見えにくい業界です。そのため、携わっている人には当たり前の話でも、しっかりと説明を加えなければ他の業界の人に理解してもらうことができません。
例えば、以下のどの業態に当たるのかを明示する必要があります。
(ア)自社で開発して製造まで行う (販売先は、卸売業者や小売業者)
(イ)他社で開発した設計書に基づき、製造だけを行う (顧客は開発メーカー)
(ウ)自社では開発と販売を行う。製造は外注する (販売先は、卸売り業者や小売業者)
これらのような説明がないと、「製造業」と一口に言っても、全く異なるビジネスモデルになってくるので注意が必要です。
ビジネスモデルによって事業計画書の記載事項が大きく異なってきます。分かりやすく、かつ明確に記入してください。
2 市場・顧客のニーズを把握しているか
ビジネスモデルとも関連しますが、市場・顧客のニーズを把握して記入する必要があります。
飲食業や小売業の場合であれば、目の前に顧客がいるので分かりやすいのですが、製造業の場合は少し注意が必要です。
例えば、上記のビジネスモデルで(ア)や(ウ)のモデルであれば、対象となる最終ユーザーの市場性を分析して記載していきます。
しかし、モデルが(イ)であれば、自社が作っているものの最終ユーザーは消費者であったとしても、営業先は開発メーカーとなります。よって、事業計画書での顧客分析は、最終ユーザーだけでなく開発メーカーについても記載が必要となります。
3 設備投資(売上・利益計画及び資金計画)は反映できているかどうか
製造業は設備投資額が大きいことが特徴です。この部分を売上・利益計画や資金計画にも反映させる必要があります。
リースで設備投資をするのか、銀行から借入をして返済していくのか、さまざまな方法が考えられます。
例えば、「自己資金と銀行借入で設備投資をした場合」を考えてみましょう。
売上・利益計画では、設備投資したとしてもすぐに費用化(製造原価の増加)されません。減価償却費として毎年少しずつ費用化されていくからです。よって、事業計画書の中でも、設備投資した後の製造原価は増加することになります。
また、新規事業への設備投資であれば、工場の人員を増加させたり、材料費も多くかかったりするので、製造原価は増加していくことなります。
では、資金計画としてはどうなるのでしょうか。資金計画は設備投資した時点で銀行借入をするので、財務収支は大きなプラスになります。
一方、その資金と手元の自己資金で設備投資を行うので、投資収支は大きくマイナスになります。そして、その後は銀行の返済が始まりますので、財務収支はマイナスが発生することになります。
このように、設備投資一つをとっても、様々な箇所に影響があるので、それらの整合性に注意して作成します。
製造業には業界特有の注意事項がありますので、注意して事業計画書を作成していく必要があります。