統合失調症 治療方法

何科を受診すればよいか

 統合失調症も他の病気と同様、「早期発見・早期治療」がポイントです。早く発見し早く治療すれば回復もすみやかです。治療が遅れると症状もこじれ、薬を飲んでもなかなか改善しません。急性期の患者では、自分が病気だとは感じていないため、病院へ行くのを拒否する人が多く見られます。本人の様子がおかしいと思ったら、家族や周囲の人が医師や保健所などに相談しましょう。家の中で抱え込まず外に助けを求めることが大切です。  

 統合失調症は心の病気ですので、心の専門医がいるところを受診します。総合病院であれば「精神科」「神経科」「精神神経科」が専門です。個人医院なら「精神科」「メンタルクリニック」などの名称を使っているところです。なお、「神経内科」「脳神経外科」は名前がよく似ていますが、治療する病気は異なります。

 受診する際は、なるべく患者と一緒に周囲の人がつき添って行くのが望ましい。発症の時期や患者の様子などについては、周囲の人の情報が診断のうえで役立つからです。患者によっては、家族が診察に同席することを嫌がる場合があります。そのような時は、席を外して患者と医師が話し、家族はカウンセラーやソーシャルワーカーなどの医療スタッフと面談するとよいでしょう。患者の家での普段の様子や既往歴、また、ささいな事で気づいたことを率直に伝えるようにします。

 精神科に行くことをためらう人もまだ多いようです。かつての「精神分裂病」のイメージのためかもしれません。精神科に行くのを拒んだら、地域の保健所や精神保健福祉センターなどに相談するのもひとつの方法です。保健所から相談員や医師が訪問してくれて、患者と面談したり、受診を促したりしてくれます。

 統合失調症の治療は、長期間にわたりますので、患者と医師との相性も大切なポイントになります。転院を繰り返していると、治療も十分できなくなり、病気の回復にも影響してきます。

 興奮が激しいときや、不安感で疑い深くなっているときは、患者は病院へ行くのを拒むことがあります。そのような時、家族は本人に対して決して受診を強要したり、叱ったりしないことです。「調子が悪そうだから、病院で診てもらった方がいいよ」と、理由をはっきりさせて受診をすすめます。また、「あなたのことを心配しているの」と伝えると、その時は嫌がっても、後になって自分から「病院へ行ってくる」と言い出すこともあります。患者の興奮がひどく、家族とのあつれきが生じているような時は、本人と親しくて信頼関係のある人に同席してもらうと良い場合があります。患者自身が不眠などの不調を感じているような場合は、「それを医師に相談してみよう」とか、「症状の背景には神経の疲れがあるようだ」と言って、精神科への受診を勧めます。

 精神科と聞くだけでショックを受ける患者もいます。周囲の人が「この先生のもとで治療をすれば、絶対によくなる」と患者に伝えることで、通院治療を受け入れることもあります。  

 受診をしたがらないからと言って、散歩や買い物に行くと言って病院へ連れていくのはやめたいものです。うそをついて病院へ行っても、家族への不信感を植え付けるだけです。一方、入院を嫌がる患者の場合は、医師も交えて話し合うことが大事です。「先生が入院するように言っていたから」ではなく、「私たち家族も入院に賛成している」という意思を伝えるようにします。入院治療が望ましいのに、本人の同意が得られない場合には、医師と家族の合意によって、入院が決められる医療保護入院もあります。入院を勧める場合は「入院があなたにとって一番良いことである」と、根気よく簡潔な言葉で伝えるようにします。入院が必要な場合というのは、患者の興奮がひどく、暴力を振るったり自分を傷つけたりするような場合です。入院は家族にとっても疲労が解消されたり、イライラした気持にゆとりができたりします。入院したら、今後の見通しについて医師から説明を受け、治療についての情報を、患者と家族が共有しておく必要があります。入院先も「ここなら大丈夫」と思えるところを選ぶことが大切です。

薬物療法 に続く