認知症の診断

認知症の診断と検査方法

 認知症の診断の方法や基準には、いろいろなものが研究されています。その代表的なものが下記の3つです。

 (1)認知症の診断基準(厚生省研究班、1989年)

 (2)DSM-IV-TR(アメリカ精神医学会)

 (3)ICD-10(WHO)

  これらの基準に基づき、次のような検査が行われます。

 

一般的身体検査

 治療可能な認知症との鑑別が重要になりますので、原因である身体的疾病の有無を調べるために身体的検査が必要になります。

 主に行われる検査は、 (1)尿検査(2)血液検査(3)内分泌検査(4)血清梅毒反応(5)胸部X線写真(6)心電図検査 などです。

脳の一般検査

 (1)腱反射などの神経学的検査(2)脳波検査(3)脳脊髄液検査 などが行われます。

脳画像診断検査

 (1)X線検査(2)コンピューター断層撮影(CT)(3)電磁線を応用したMRI、アイソトープを用いて脳の血流の状態を調べるSPECT、脳糖代謝量を調べるPET などがあります。

知的機能を測定する心理テスト

 (1)ウエクセラ成人用知能検査第三版(WAIS-III)(2)新長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)(3)Mini-Mental State Examination(MMSE)(4)アルツハイマーアセスメントスケール日本語版(ADAS-Jcog)

その他

 (1)遺伝子検査 (2)病理検査

 重要なことは、どのような精密な検査であっても、検査だけで診断はできないということです。広く利用されるようになった長谷川式スケールについても、非専門化がテストの特徴を理解しないまま行っても全く信頼性のない結果がでる場合もあります。医師は、検査結果と問診から、基準にもとづき診断します。また、この診断結果に併せて、本人や家族と治療方針を決めていきます。認知症で初めて病院にかかるのは怖いものですが、不安を感じたら、まずは医療機関に相談してみましょう。

認知症の治療方法 に続く